日本株運用者の視点

”ショートターミズム”という魔物

2015年10月14日

豊田 一弘

豊田 一弘

日本株式 ファンドマネジャー

金融市場における”ショートターミズム”(短期志向)の弊害が語られ始めてから、かなりの時間が経ちますが、その傾向は弱まるどころか更に強まっている感もあります。ファンドマネジャーとして株式ファンドを運用するにあたり、3年を超える投資の時間軸を念頭に置き銘柄選択を行っていますが、市場の短期主義的傾向にいかに対峙していくかはファンドマネジャーにとって現在最も大きなチャレンジの一つと言えます。

その意味において、今回のコーポレートガバナンス改革には期待を寄せています。一つは社外取締役の導入です。改正会社法の施行とコーポレートガバナンス・コードの導入により、東証一部上場企業では9割を超える企業が社外取締役を選任しました。社外取締役は、少数株主の意見を取締役会に届けるという大切な役割を担っており、英国などでは一般的に行われているように、社外取締役は直に投資家とコンタクトを持つべきだと考えています。また、先日、ある成長企業の社長とお会いした際、彼は「日本の企業のトップを社外者にすれば劇的に収益性は高まると思う」とお話しされていました。社内のしがらみの無い社外取締役が機能発揮できるかどうかは、今後の企業の収益力に大きなインパクトをもたらす可能性があると見ています。もう一つが投資家と企業との対話の推進です。市場の短期主義的な傾向が、企業経営を短期主義に向かわせることは何としても避けたいところです。長期的な企業価値の増大を経営の根幹に位置づけるならば、いかに長期的視点で投資家を引き付けるかというポイントは外せないと思います。その点で、「長期投資に適う企業となるためにはどのような改善が必要か」というポイントは対話の大きなテーマと言えます。また、対話を有効に進める上で、上場企業には、コーポレートガバナンス報告書において必須開示の11項目だけではなく、全73項目の開示に取り組んで頂きたいとお願いしています。
今回、スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードの両コードにおいて、建設的な対話の推進が謳われていますが、私はこのような長期的な視点で対話が継続され、日本企業の中から数多くの企業が”ショートターミズム”という魔物から解き放たれることを期待しつつ、これからも対話を実践していきたいと思います。

本コラムでは、日本株式運用チームのファンドマネジャー、アナリストが毎月入れ替わりで市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。

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