日本株運用者の視点

カルチャーショック

2016年05月17日

ネイサン・ギブス

ネイサン・ギブス

クライアント・ポートフォリオ・マネジャー(ロンドン勤務)

私はこの4 月に、英国や海外のお客様を担当するクライアント・ポートフォリオ・マネジャーとして勤務するため長年住み親しんだ東京からロンドンに引っ越しをしました。実に17 年ぶりの英国での生活です。日本の何が懐かしいですか、とよく聞かれます。でも、答えは簡単です。清潔で、効率的で、安全な生活環境です。そして、こうも思います。これらはやはり日本の単民族文化から来ているのだと。一方で、ロンドンに移ってまず印象的だったのは、その民族的な多様性です。レストランやカフェで見る人はほとんどが外国人です。海外生活が長いので、いわゆるマイノリティであることに抵抗はありませんが、実際、それを母国で感じることは不思議なことです。そして、日本にいるときと違い、そこで居住している人と旅行者を見分けることも非常に難しいです。

さて、日本では、外国人観光客を増やしてきたことは、安倍政権による経済政策、いわゆるアベノミクスの成功の一つです。日本政府は目標値を設定して、それを概ね達成してきています。そして、それはビザ発行の緩和など比較的簡単な政策によって成功してきました。では、その次は何ができるでしょうか? あるいは日本人はどこまで許容するのでしょうか? 例えば、日本の外国人観光客数の目標は年間2000 万人ですが、英国では2014 年に3400 万人の観光客が来訪しました。日本は英国の2 倍の人口を擁しており、もっと多くの観光客を迎えることができるはずです。それでも、言語や文化的な障害から、英国よりは低い上限があるのかもしれません。しかし、興味深いのは、日本政府は、あるいは日本人はそうした文化的な障害があったとしても、観光客増加の経済的な恩恵を受けるために、どこまで妥協をする用意があるか、という点です。この議論は、もちろん人口動態に関する問題、つまり移民問題についても言えます。英国は、移民によって将来人口が増加していくことが予想されています。もちろん、移民には多くの問題があります。しかし、移民は通常、労働力年齢にあり、高齢化による労働力減少という経済的な問題を解決してくれます。経済学的な理論に則れば、英国における過去数十年にわたる移民受け入れの経験は経済成長に恩恵があったと言えます。では、高齢化が急速に進んできた日本はどうでしょうか? これから政策的な転換ができるのか? いつか、日本でも居住者と旅行者の区別ができなくなるような時代が来るのか、興味深く見ていきたいと思っています。

本コラムでは、日本株式運用チームのファンドマネジャー、アナリストが毎月入れ替わりで市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。

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