日本株運用者の視点

企業体質の年齢

2016年06月07日

岩下 哲夫

岩下 哲夫

日本株式 アナリスト

私はアナリストとして自動車・機械セクターを担当しています。まずはクイズです。以下の数字(%)は、何を表しているでしょうか?

A社:7.2%、B社:6.6%、C社:3.5%、D社:2.0%、E社:-0.8%、F社:-1.5%

答えは、年率換算したEPS(1株当たり当期利益)成長率です。機械セクター内で、ファクトリーオートメーションと呼ばれるカテゴリーに属する代表的な企業群における、2007年度から2016年度予想の10年間における成長率(年間複利)で、最高だったA社では10年間でEPSが2倍に拡大した一方、F社では13%減少しています。類似した業界内で、為替レベルも同水準にもかかわらず、なぜ、これほどの利益成長率格差が生じてしまうのでしょうか?

様々な要因から、あえて1つ挙げるとすれば、私は企業体質の年齢(若さ)を想起します。人間と同様、企業も加齢します。若い体質を持つ企業のほうが、高成長を目指すには有利です。一方、企業体質については、すぐれた経営者(経営陣)の知恵と努力により、若返るケースも散見されます。1~2年ではなく、10年間という比較的まとまった期間の数字を見ると、企業体質に関する経営陣の知恵と努力の成果なども残酷なほど浮き彫りになってきます。

A社:11.3%、B社:8.3%、C社:5.3%、D社:6.5%、E社:5.0%、F社:1.8%

この数字は、営業キャッシュフローから設備投資金額を引いたフリーキャッシュフローの年率換算成長率(過去10年、簡易版、D社、F社については07年の数字が極端なので一部調整を実施)です。株主還元のベースに密接に関連する現金創出力においても、EPS同様、大きな差が見てとれます。今後についても、過去10年間とは異なるものの、上記のような優劣の発生は必然です。むしろ、世界経済の成長エリアのシフトなどにより、過去よりも格差が拡大する可能性が高いと予想します。企業業績に関しては、製品やサービスの競争力、ビジネスモデル、展開する地域、コストコントロールやM&A巧拙など多様な要因からの影響を受けるでしょう。私は、経営陣の体質改善への知恵と努力(どれだけ体質を若く保てるか)に引き続き注目していきたいと思っています。

 

本コラムでは、日本株式運用チームのファンドマネジャー、アナリストが毎月入れ替わりで市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。

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