日本株運用者の視点

コーポレートガバナンスの進展と今後の課題

2016年07月11日

河内 洋和

河内 洋和

日本株式 ファンドマネジャー

6月は3月期決算企業の株主総会が数多く実施され、総会議案や経営のガバナンス体制について会社とミーティングする機会が通常よりも増えます。東証のコーポレートガバナンス・コードでは、上場企業は少なくとも2人以上の独立した社外取締役を選任すべきとしており、導入2年目となる今回の株主総会議案においても社外取締役の増員や監査等委員会設置会社への移行といった議案は多く見られました。社外取締役の複数採用は一般的となり、その役割の重要性が広く認識されたことから、数年前と比べて企業側から社外取締役のプラス面を高く評価する話が多く聞かれるようになったと感じています。

最近の企業との対話においても、取締役会構成の変更議案に関して、ガバナンスに対する前向きな姿勢を確認したことがありました。監査等委員会設置会社に移行するケースで、ある会社では貢献の大きかった社外取締役に、監査等委員である社外取締役となってもらうことで、監査業務を通じてより深く会社の実情を把握してもらいたいとの考えがありました。また、別の会社では、取締役会が部長・支店長クラスの人事の承認等の詳細な案件に時間を取られていたのを見直し、執行役員に大幅に権限委譲することで、取締役会では長期戦略や会社の方向性を決める、より重要な案件を深く議論できるように変えるとの説明を受けました。会社がそれぞれの実情に適したガバナンス体制を独自に見直して強化・再構築していくことは、企業価値向上に向けた動きとして評価できます。このようにガバナンス体制見直しの目的を正しく理解することで議決権行使においても一定の信任を持って判断することができましたし、新しい取締役会が今後どのように機能を発揮していくのか期待して注目したいと思っています。

一方で、このような社外取締役の活用によるガバナンスへの具体的な取り組みについて記載している株主総会の招集通知書はあまりなく、ガバナンス報告書や投資家向け資料・説明会においても分かりやすく説明している会社がまだ少ないのが現状です。今後は社外取締役の数や独立性基準といった形式的な課題から、実際に有効に機能しているのかといった中身の議論に焦点を移して行く必要があります。そのためにも取締役会がどう機能していて、社外取締役がどのような課題認識を持っているのかを理解することが重要となりますし、企業価値向上に向けた株主と会社との対話がより建設的なものになるポイントでもあると考えています。

 

本コラムでは、日本株式運用チームのファンドマネジャー、アナリストが毎月入れ替わりで市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。

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