日本株運用者の視点

二極化相場

2016年09月09日

前田 建

前田 建

日本株式 ファンドマネジャー

ここしばらく関心を持って眺めていたのが株式市場の二極化傾向です。特定のグループばかりが人気を集めて株価の上昇が続く一方、対極にあるグループは避けられて大きく割り負ける状況というのが典型例です。低ベータ>高ベータ、ディフェンシブ業種>シクリカル(景気敏感)業種、内需>外需、成長株>割安株、小型株>大型株などの傾向がここ数年のうちに見られています。90年代後半のITバブル時には、一握りの成長株が青天井で上昇して株価指数を大きく押し上げる一方、銘柄数で見ると下落しているものの方が多いくらいという状況で、後世まで語り継がれるような極端な二極化相場が形成されました。二極化の初期の段階では増益率の差が騰落率の差を生み出していると説明できますが、何らかの要因でトレンドが形成され、次第にエスカレートするとバリュエーション(株価指標)で比較した格差の拡大が加速して、騰落率格差の原動力となります。

今回の傾向として特徴的なのはベータ値で分けたグループ間での二極化で、2014年初頭辺りを起点として低ベータグループと高ベータグループとの間に相当なパフォーマンス格差、バリュエーション格差が生じました。海外でも、程度の差はあれ似たような二極化傾向が見られたようです。過去を振り返ると、同様の格差が生まれたのは98年にかけてと08年にかけての2年から2年半の期間で、共に世界的な金融危機と一致しており、株価指数が大きく下落していた時期でした。今回のケースが当初わかりにくかったのは、リスク回避先として買われやすい低ベータ選好トレンドが指数の上昇局面で形成、強化されていたことです。また、結局は金融危機と呼べるような混乱がないまま今に至りますが、そうした時期に匹敵するようなバリュエーション格差がついてしまいました。

一方で、物色の二極化傾向は世界の投資家のリスク許容度や成長期待などを反映する米国の長期金利と連動性が高いようで、投資家心理を増幅して反映しやすい30年債の金利動向を見ると、今回も含めいずれの時期も短期間で急落していました。今年に入ってからは、日銀のマイナス金利政策導入や英国のEU離脱などがトレンドを強化する方向に働いていましたが、7月初旬に発表された米国雇用統計が市場予想を大幅に上回る内容だったことなどを受けて二極化傾向はいったん反転、底打ちした格好になっています。

普段は市場動向にあまりとらわれず、個別銘柄の分析に基づいて中長期の成長性や株価の割安度などを根拠に投資判断を行っておりますが、市場の傾向が大きく偏り過ぎている場合には、長期投資の観点で不人気なグループ、割安サイドの反転に賭けるという選択に魅力が出てくると考えています。

 

本コラムでは、日本株式運用チームのファンドマネジャー、アナリストが毎月入れ替わりで市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。

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