日本株運用者の視点

新製品/新技術の評価

2017年06月09日

竹爪 正樹

竹爪 正樹

日本株式 セクターアナリスト

今回はテクノロジーセクターのリサーチや銘柄選択においての『新製品/新技術の評価』の重要性についてお話します。テクノロジーセクターは、産業の性格上、日々、様々な新製品、新技術が生み出されていますが、その評価にあたっては、そうした新製品、新技術の顧客への提供価値や、それが当該産業のビジネスモデルや関連産業に及ぼす影響などを考慮することが重要ではないかと感じています。
半導体デバイスの一つであるNANDフラッシュを例にとると、ごく最近までのNANDフラッシュの提供価値は、既存の記憶媒体と比べて利便性が高くTCO(Total Cost of Ownership:総保有コスト)が安いという点にありました。そのため、NANDフラッシュ産業のビジネスモデルも、技術進化や規模拡大により、コストすなわち価格を継続的に低下させ、それにより数量成長を果たして、規模と利益の拡大を目指すというものでした。したがって、関連産業においても、いかにNANDフラッシュのコスト低下に寄与するかが主要な論点となっていました。
しかし、昨今、データセンター内部での通信遅延の問題が顕在化する中、HDD(ハードディスクドライブ)と比してのNANDフラッシュのデータ入出力速度の優位性が注目され、データセンターでのNANDフラッシュの採用が進んでいます。ここでのNANDフラッシュの提供価値は、これまでと異なり、データ入出力速度やデータセンターの高い要求を満たすような製品品質の高さなどとなります。そのため、NANDフラッシュの技術進化の方向性も変化し、コストダウンの追求だけでなく、通信速度や信頼性などの製品性能の改善も重視されるようになりました。また顧客側でも、こうした製品性能の高さと引き換えに、一定の価格プレミアムも許容する傾向がみられます。それに伴って、NANDフラッシュ産業のビジネスモデルも変化し、製品性能改善による付加価値拡大、それによる利益率の改善が重視されるようになり、関連産業においても、こうした性能改善に寄与するような原材料や半導体製造装置では、単価ならびに利益率の上昇が許容されるようになっています。
このように、同じNANDフラッシュという新技術、新製品でも、顧客への提供価値が変わることで、当該産業のビジネスモデルや関連産業への影響も大きく変化し、我々の行う投資判断や銘柄選択も様変わりすることになります。
テクノロジーセクターを担当していると、流行の「新しい技術やモノ」にやみくもに飛びついてしまう恐れが常にありますが、「この技術や製品の提供価値は何か?」「それは産業全体にどうのような影響を与えるのか?」という視点を忘れずに、日々のリサーチや銘柄選択に取り組んでいきたいと思います。

本コラムでは、日本株式運用チームのファンドマネジャー、アナリストが毎月入れ替わりで市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。

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