シュローダー定期便

2015年市場展望 日本株式

2014年12月01日

前田 正吾

前田 正吾

取締役 日本株式運用統括

  • 円安を受けて、企業収益の拡大が加速すると予想されます。
  • コーポレートガバナンス改善にさらなる進展が期待されます。
  • 中長期的な企業の利益成長と株価バリュエーションに着目した個別銘柄選択で、超過収益の獲得を目指します。

はじめに

2015年も引き続き、堅調な企業の利益成長と円安が、日本株式市場の支援材料になる見込みです。

2014年の日本株式市場は、4月の消費税率引き上げ以降、景気指標の悪化などを受けて一時株価が低迷するなど、期待を十分に実現したとは言えませんでした。しかしながら、マクロ景気が停滞する中においても、ミクロでの企業業績は堅調に推移しています。

2014年4月に施行された消費税率引き上げは、想定以上に日本の経済成長を下押しする要因となり、実質GDP成長率が4-6月および7-9月の2四半期連続でマイナスという結果をもたらしました。ただし、円安の進行が日本株式市場の後押しにつながり、2014年後半には株価が大幅に上昇し、2014年を通じたTOPIXのリターンもプラスの領域に入ってきました。

消費税増税延期と総選挙を受けて

一方、2014年後半には株式市場にとって重要なニュースが相次ぎ発表されました。10月末に発表された日銀による追加金融緩和は、長期国債買い入れ額を大幅に増やすだけでなく、上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT)といったリスク性資産の購入額増加も含まれました。また、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国内債券の組入比率を引き下げる一方、国内外株式の組入比率を引き上げるという基本ポートフォリオの見直しを発表しました。さらに、その3週間後には安倍首相が2015年10月に予定されていた消費税率引き上げを延期し、衆議院の解散総選挙を12月に実施する旨を表明しました。また、消費税率10%への引き上げ時期が2017年4月に延期されるとともに、再延期はしないとも言及しました。これらの発表を受けて、10月末から11月にかけて円安傾向に拍車がかかり、日本株式市場は大幅に上昇しました。12月14日の総選挙の結果は概ね市場の予想通りとなり、2015年に向けて安倍政権の安定が成長戦略の推進につながることが期待されます。

回復が継続する日本経済

日本経済の見通しについては、2014年4月の消費税率引き上げ以降GDP成長率が2四半期連続でマイナスとなるなど、想定以上の景気悪化がみられたものの、回復軌道から大きく逸れてはいないと考えます。労働市場のひっ迫は持続的な賃金の上昇を促し、日銀が掲げるインフレ目標を後押しするとみられます。次回の消費税率引き上げが延期されたことを背景に、今後2年間にわたり賃金上昇の効果が実体経済に浸透することが見込まれ、2015年の国内消費は堅調となることが期待されます。さらに、日本企業の動向にも前向きな材料が散見されます。日本企業は総じて収益の過半を海外で稼いでいます。昨今の急激な原油安はグローバル経済の成長が鈍化していることに起因するとの意見もありますが、一方で原油安は米国をはじめとして経済成長にプラスの面もあります。日本企業の業績にとっては、当面米国経済の成長がけん引役となり、一定の成長軌道を描くことが可能です。さらに、2015年は消費が回復するとともに、企業の潤沢な余剰資金を背景とした設備投資の拡大が見込まれ、日本の国内需要においても前向きな循環が期待されます。

企業収益の上方修正期待

前述のとおり、日本企業の利益成長は堅調に拡大しており、今後上方修正が期待できると見ています。

そのひとつには、現在の企業の業績予想には円安による収益の押し上げ効果がまだ十分に織り込まれていないことが挙げられます。また、安倍政権が成長戦略の一つとして掲げている、法人税の引き下げも注目されます。日本の法人税率は先進国の中で米国に次いで高い水準にあります。今後数年のうちに法人税の実効税率を35%程度から30%を下回る水準に引き下げることが実現すれば、企業収益を中期的に下支えする材料になると言えます。

さらに、中長期的に重要な点としては、日本のコーポレートガバナンスに顕著な改善が見込まれることです。2014年はいくつかの具体的な取り組みが実現しました。自己資本利益率(ROE)を含む定量・定性両面の基準を取り入れたインデックス「JPX日経インデックス400」の算出が開始され、GPIFが採用するなど浸透してきたことや、機関投資家の行動規範である「日本版スチュワードシップ・コード」の導入などが挙げられます。また、東京証券取引所は企業経営の規範として「コーポレートガバナンス・コード」を2015年に導入する予定で、有識者による協議が進んでいます。これら一連の動きを背景に、経営目標としてROEを挙げる企業が増えてきており、実際にROE改善を意図した自社株買いや巨額の内部留保の圧縮などの動きもみられました。

個別企業の投資アイデアに注力

2015年の日本株式市場において、どのような投資機会を見出すことできるでしょうか。

個別銘柄の選別では、中長期的な企業の利益成長と株価バリュエーションに注目しています。これは即ち、景気の循環的な変動や円安などのマクロ経済要因のみを判断の拠り所とするのではなく、企業個別の成長要因を見極めることを重視するアプローチです。現状、景気循環的に魅力があるとみられる銘柄は、業績の上方修正の可能性がある自動車や電機、機械の一部などですが、こうした企業においてもバリュエーション上の魅力が投資の判断材料となります。また、バリュエーションの観点からは、商社や金融の銘柄の一部に割安な投資機会があると考えます。現状では投資機会を見出すことが難しい銘柄群の中にも、企業改革や再編、再建など何らかのきっかけが生じれば、新しい投資アイデアが発掘できる可能性もあると見ています。

まとめ

  • 日本企業の利益成長は堅調に拡大しており、さらに重要な点として、日本のコーポレートガバナンスに顕著な改善が進んでいることが挙げられます。
  • 個別銘柄の選別においては、中長期的な企業の利益成長と株価バリュエーションに注目し投資を行います。

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