シュローダー定期便

2015年市場展望 グローバル債券

2014年12月01日

ボブ・ジョリー

ボブ・ジョリー

グローバル・マクロ戦略担当ヘッド

  • 市場のボラティリティを抑制させてきた構造が徐々に減退しつつあります。しかしながら、ボラティリティの上昇は正常な動きであり、超過収益を生み出す上で重要であると考えます。
  • 金融市場の緊張が高まる局面においては、債券の中でも流動性の低い資産クラスのポジション解消が、困難になる可能性に留意する必要があります。
  • 米・英両国の債券市場においては、2015年半ばまでの利上げの可能性を、十分に織り込んでいないとの見方を継続します。

利回り低下の継続、金融緩和の度合、主要経済指標の著しい動きなど、市場のサプライズを示唆する内容が揃っていたにもかかわらず、2014年の大半を通して債券市場のボラティリティは低位で推移しました。一方、世界的な経済成長の鈍化懸念が再燃し、また米連邦準備制度理事会(FRB)が量的金融緩和の終了を決定した9月・10月にはボラティリティが上昇しました。

このように金融政策が正常化するに従い、低位に留まっているボラティリティが自然な形で上昇することが予想されます。ただし、ボラティリティは超過収益を生み出す上で重要であり、最近のボラティリティの上昇は2015年の債券市場の見通しを大幅に修正するほどの水準ではないと考えます。

米国・英国における経済成長とは

米国経済は健全なペースで成長しており、今後も継続して拡大すると見ています。雇用状況の改善は消費レベルを押し上げ、今後賃金水準も上昇し始めることが期待されます。原油価格などの下落圧力を受けて、足元の経済指標の発表内容ではインフレ率および賃金の伸び率が低水準となっています。ただし、原油・燃料価格の下落は最終的には消費にとって好材料であり、これを受けてFRBがしばしば言及している「労働資源の活用不足」が解消され、徐々に賃金は上昇していくものと考えます。

これらの動きはFRBによる金融引き締めサイクルの開始にとって、十分な支援材料となるでしょう。現在の債券市場は、2015年半ばまでに金利が上昇する可能性を低く見積もりすぎていると見ています。また、低金利や量的金融緩和により抑制されてきたボラティリティは、2015年の年間を通じて過去の平均水準近辺まで上昇すると考えます。

英国は、不動産市場の沈静化およびユーロ圏の景気低迷が同国の景気回復の妨げになるとの懸念から、経済成長は緩やかになっています。それでもなお、国内成長は需給ギャップの縮小および労働市場の改善に必要なレベルを維持するでしょう。構造要因によりイングランド銀行(英国中央銀行)が長期的、かつ大幅な利上げを実施する可能性は低いと見ていますが、市場はさらに遅い、かつ緩やかな利上げサイクルを予想しているとみられます。

ユーロ圏は依然ぜい弱だが、市場はより現実的

一方、ユーロ圏経済の問題は切迫した状況になっていると考えます。ドイツの主要経済指標の内容が悪化したことを受けて、ユーロ圏の景況感がさらに落ち込んでいることに加えて、同圏のインフレ率は0%近辺で低迷し続けています。また、ロシア・ウクライナ危機や軟調な中国経済は、ドイツの製造業にも少なからず影響を与えました。米国や英国と比べて、ユーロ圏の債券市場は現状のマクロ経済の出来事による影響を受けやすいものの、悪材料は概ね織り込み済みと考えます。

欧州中央銀行(ECB)による資産担保証券(ABS)、カバードボンドの買い入れプログラムが景気を刺激するとの見方には市場は懐疑的であり、政治的なハードルは依然高いものの、2015年には国債購入による量的金融緩和が打ち出されるとの見方が強まっています。こうした投資環境下、米国国債よりもユーロ圏の国債を選好しています。ドイツ国債に対する南欧地域の国債の信用スプレッドは、ECBによる量的金融緩和が明確になれば、さらに縮小すると見ています。また、ユーロ安がさらに進行すると予想します。

エマージング債券市場への投資機会はあるものの、リスクが潜在

エマージング債券市場は、先進国の債券市場と比べてより顕著、かつ多様な形でボラティリティの上昇の影響を受ける傾向があります。こうした環境下では、長期国債などに投資機会が存在すると考えます。原油をはじめとするコモディティ価格の下落は、アジア市場にとっては追い風となりますが、ラテンアメリカ市場にとっては悪材料となっています。また、中央銀行が通貨政策として利上げを実施した一部市場にも投資機会があると見ています。一方、現地通貨建て債券については、エマージング市場の通貨リスクに留意する必要であると考えます。

また、金融市場の緊張が高まる局面においては、中央銀行の対応や規制の変更などにより、流動性の低い資産クラスのポジションを解消することが困難になることが想定されます。したがって、流動性が低下する局面においては、ポートフォリオのポジショニングおよび取り引きサイズが適正であるか注視が必要です。

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