シュローダー定期便

2015年市場展望 エマージング債券

2014年12月01日

ジェームス・バリノー

ジェームス・バリノー

エマージング債券・対ベンチマーク運用共同ヘッド

  • 新興国間の格差の拡大が、今後も続く見通しです。
  • 通貨ユーロに関連する国や、コモディティ(商品先物)価格下落の影響を受ける国の通貨下落が、今後の大きな課題と言えます。
  • 一方、改革志向の政治家が、多くの新興国の見通しを大きく改善させる可能性があります。

マクロ経済は課題を抱えているものの、エマージング(新興国)債券は引き続き、相対的にグローバル債券より高いリターンをもたらすと見込んでいます。

歴史的に見てエマージング諸国通貨は割安で、同地域の債券の利回りは先進国に比べて魅力的な水準にあります。

一般的に、エマージング市場をひと括りに見てしまいがちですが、各国経済は異なる方向に進んでおり、2015年はその格差が鮮明になるものと見ています。その背景には、コモディティ価格の下落、主要先進国の金融政策の違い、それらの影響に対する各国の対応の違いが挙げられますが、いずれの要因も当面継続するとみられます。

拡大が続く地域格差

エマージング市場は、貿易・経常収支や為替レートなどが比較的良い状態と悪い状態の国に、二極化していると考えます。コモディティ価格の下落は主にアジア諸国にプラスに働く一方、その他地域にはマイナスの影響を及ぼします。コロンビアなどでは貿易条件が悪化する中、経常赤字が膨らんでいます。ナイジェリア、ベネズエラ、ロシアなどの産油国はより直接の影響を受け、原油価格の低迷が長引けばさらなる苦境に立たされると考えます。原油価格が100ドルを超える時期が長く続いたことで、産油国では政府・民間支出が年々増加していましたが、足元の原油価格下落によって削減を迫られています。一方、チリやインドネシアなど通常コモディティの主要輸出国とされる国では、輸入する原油価格の下落というプラス効果が、輸出するコモディティ価格の下落というマイナス効果を上回っています。

通貨下落の可能性

通貨ユーロに直接関連するポーランド、ハンガリー、ルーマニアなど欧州のエマージング諸国の通貨は、欧州中央銀行(ECB)が金融緩和を継続しユーロ安を促す中、長期にわたり下落する可能性があります。また、大幅な円安を受け、韓国などのアジア諸国も輸出競争力の回復のため、自国通貨安政策をとる可能性があります。ラテンアメリカ諸国の通貨は、コモディティ価格の下落や米ドル高により、下落を続けることが予想されます。2014年は、多くのエマージング諸国の中央銀行が景気対策として利下げを行いました。しかし、自国通貨が下落すると輸入物価の上昇でインフレが進行し、さらなる利下げが難しくなります。そのため、景気見通しが悪化しても、利上げを余儀なくされる国が出てくる可能性があります。

市場のプラス要素

エマージング市場におけるプラス要素としては、新興国の多くで構造改革が期待される点が挙げられます。インドネシアやインドでは、2014年に行われた選挙で改革志向のリーダーが生まれ、今後構造改革が前進すれば市場センチメントは改善に転じるとみられます。財政・金融政策の誤りで市場を失望させた現職大統領が再選されたブラジルでさえ、景気低迷で改革を迫られています。2015年下旬に行われるアルゼンチンの選挙では、より市場との関係を重視する大統領が選ばれる可能性が高まっています。

こうした投資環境下、エマージング債券は引き続き、グローバル債券より高いリターンをもたらすと予想します。米国国債に対する信用スプレッド(利回り格差)は平均的な水準にありますが、足元のドイツ10年国債の利回りが1%を下回っていることに加えて、米国ハイイールド債券の発行企業の多くがエネルギー関連のため、原油価格下落の影響を受ける中、エマージング債券の利回りは引き続き相対的に魅力的な水準にあると考えます。

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