臨時レポート

ギリシャ債務問題とユーロ株式

2015年06月16日

6月末の国際通貨基金(IMF)に対する債務返済期限を前に、市場ではギリシャのデフォルト(債務不履行)が懸念されています。ギリシャの債務返済に不可欠な追加支援に合意するための債務交渉が続けられていますが、14日に行われたギリシャとユーロ圏各国との協議は物別れに終わりました。

今後の債務交渉の行方を注視する必要がありますが、仮にギリシャがデフォルトした場合には、以下のような影響が予想されます。

金融システムリスクは低下

1,000億ユーロを超える債務削減を行った2012年に比べ、ギリシャの債務問題がユーロ圏の金融システムに及ぼす影響の度合いは大幅に低下しています。現在は、ギリシャの債務の多くを欧州金融安定化基金(EFSF)や欧州中央銀行(ECB)などの公的部門が保有していることから、もし、ギリシャがデフォルトしたとしても、ギリシャ以外の国々の民間部門への直接的な影響は限定的と考えられます。

EFSFは、1,600億ユーロを超えるギリシャ債務を保有していますが、これはEFSFへの保証提供国であるユーロ圏各国に今後数十年かけて吸収されます。また、債務借換えなどにより返済期限は延期されており、ギリシャからEFSFへの最初の返済期限は2023年と約8年後になります。ECBが保有するギリシャ債務のほとんどは、緊急流動性支援(ELA)を通じた民間銀行向けの資金供給となっています。欧州投資銀行(EIB)は、約70億ユーロのギリシャの債務を保有していますが、EIBの規模と比較すると少額といえます。

短期的な株式相場の下落局面は、魅力的な銘柄への投資機会

もし、ギリシャがデフォルトしたら、政治的に大きな出来事となることは事実で、一方で、その影響を予測することは困難です。しかし、万が一の際には、ECBは必要な政策を実行し、事態の収束に向けた動きをすることになります。たとえば、欧州安定メカニズム(ESM)は、最大5,000億ユーロの融資能力を持ち、デフォルトの影響を受けた国の流動性確保のために支援を行う用意があります。

ギリシャがデフォルトした場合には、株式市場は短期的には値動きの荒い展開となることが予想されます。しかし、インフレ率の改善、GDP成長率にみられるように、ユーロ圏経済は緩やかながらも着実に回復しつつあります。また、最近発表された第1四半期の決算発表によると、売上と利益がともに改善した企業も多く、コスト削減だけによる業績改善ではなく、経済が自立成長の軌道に入り、企業業績にもそれが表れ始めていることが読み取れます。今後は、こうした好循環がユーロ株式市場を支える好材料となることから、短期的な株式相場の下落局面は、魅力的な銘柄に割安な水準で投資する好機と考えられます

※ユーロ圏とは、EU加盟国のうちユーロを通貨として採用している国の総称と定義します。ユーロ株式とは、ユーロ圏各国の企業が発行する株式です。

 

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