臨時レポート

ギリシャ債務問題とユーロ株式

2015年07月02日

ギリシャ債務問題が混迷し、その動向に大きな注目が集まっています。そこで、ギリシャ債務問題が及ぼすユーロ株式相場への影響についてご説明します。

ギリシャのチプラス首相がEU(欧州連合)が求める緊縮策への対応を7月5日の国民投票に委ねることとし、支援交渉が決裂したことから、ギリシャ問題の行方に対する不透明感が高まっています。6月30日はIMF(国際通貨基金)に対する債務返済期限でしたが、ギリシャは返済を行いませんでした。こうした混乱を受けて6月29日、30日のユーロ株式相場は下落し、MSCI EMUインデックス(トータルリターン、ユーロベース)はそれぞれ-3.8%、-1.2%と、前週の上昇分を相殺する形となりました。ギリシャ問題の方向性が見えてくるまでは、変動性の高い相場展開が続く可能性があります。

ギリシャのデフォルト(債務不履行)や資本規制は、ギリシャには打撃となりますが、ユーロ圏経済への影響は限定的と考えられます。しかし、回復基調にある欧州経済への中期的な影響は懸念材料です。他のユーロ圏各国、特に南欧諸国への波及や先行き不透明感が、企業の景況感にどの程度影響するかは、見通しがつきにくい状況にあります。これは、社会不安の広がり、景気後退の度合い、ロシア等の関与など、ギリシャ問題の動向次第といえます。また、ユーロ圏経済への影響が限定的であったとしても、市場がユーロ圏経済の持続的な回復に目を向けるようになるには、時間がかかると思われます。そのため、短期的には、ユーロ株式相場の上値が抑えられる状況が続く可能性があります。

一方で、ユーロ株式相場を支える材料が2つ挙げられます。1つ目は、安全網の充実です。ECB(欧州中央銀行)は、ギリシャの銀行に対する緊急流動性支援(ELA)の上限額引き上げは行いませんでしたが、不測の事態に対応するために市場を注視しているとしています。また、いわゆる「ドラギ発言*」による下支えも健在です。QE(量的金融緩和)による国債買い入れが期待できるため、債券市場への影響は限定的となるでしょう。しかし、QEは時限的な措置であることから、ECBやEU各国政府は、可能な限り早期にギリシャ問題に目途をつける必要があります。2つ目は、ある程度株価に織り込まれてきたものの、多くのユーロ圏の企業には更なる利益拡大の余地が残っていることです。今後の利益拡大を考慮すると、ユーロ株式は米国株式と比較して引き続き割安感があると考えています。

*2012年7月、ECBのドラギ総裁が「ECBはその責務の範囲内で、ユーロ存続のために必要なあらゆる措置を講じる用意がある。」と発言。

※ユーロ圏とは、EU加盟国のうちユーロを通貨として採用している国の総称と定義します。ユーロ株式とは、ユーロ圏各国の企業が発行する株式です。※上記は7月1日現在の情報に基づく見解であり、将来、予告なく変更される場合があります。

 

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