臨時レポート

世界の株式市場における株価下落の背景について

2015年08月25日

 8月24日は、日経平均株価が先週末比で4.61%下落、ダウ工業株30種平均が同3.57%下落、ユーロ・ストックス50指数が同5.35%下落したのをはじめとして、中国の上海総合指数が同8.49%下落するなど、先進国、エマージング国を問わずグローバルの株式市場が大幅に急落しました。

 グローバルの株式市場は先週から徐々に下げ始めましたが、先週金曜日(8月21日)そして昨日(8月24日)と下げ足が加速しました。この期間には、原油、銅、鉄鉱石といった主要なコモディティ(商品)の他、多くのエマージング国の通貨も対米ドルで下落しました。

 グローバル経済の先行きに対する懸念が急速に高まってきたことが、今回の株式市場の下落の最大の要因であると考えられます。そして、このグローバル経済に対する懸念の引き金となった最大の要因は、中国経済の先行きに対する不透明感が高まっていることだと考えられます。中国の代表的な株価指数は、中国政府による株価対策にもかかわらず6月の高値から3割以上下げています。8月中旬に行われた人民元の切り下げは株価対策の一環との解釈もなされていますが、他のエマージング国の間での通貨切り下げ競争を招くのではないかという懸念を生み出しています。こうしたエマージング国の多くは、価格が下落しているコモディティに依存し、資本の流出に見舞われ、自国通貨安は米ドル建て債務の返済を困難にする恐れがあります。このような懸念が懸念を呼ぶという悪循環の過程で、市場の懸念がグローバルに増幅・拡散していったと言えます。

 以上のように、グローバル経済の回復に対する市場の確信度が揺らぎ始めたことが今回のグローバルの株式市場の急落の最大の原因であると考えられます。一方で、経済が比較的堅調な米国は、9月にも利上げに踏み切るとの観測が強まっていました。米国の利上げは米ドル高を招き、既に通貨安そして資本流出に直面しているエマージング国の通貨に対してさらなる下げ圧力を加える可能性があります。先述の通り、これもグローバル経済の先行きに対する不透明感を強めていると考えられます。今回のグローバルの株式市場の急落を受けて、9月の利上げの可能性は低下したと予想する向きも増えているようですが、この余波もあり、今後の米金利高を織り込む形で進んでいた米ドル高円安が反転し、円高米ドル安が急激に進みました。

 現時点で今後のグローバル株式市場に対して確信的に見通すことは大変困難ですが、以下の点は指摘できるとみていることから、引き続き市場の動向を注視する必要があると考えます。

  • 中国はまだ景気刺激策のカードをいくつか持っていると考えられます。例えば預金準備率のさらなる引き下げや利下げ、そして通貨の切り下げです。
  • 米国の利上げ時期の後退はエマージング国の通貨に対する下落圧力を緩和する可能性があります。
  • ヨーロッパではECB(欧州中央銀行)による量的金融緩和が想定以上に延長される可能性があります。

 

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