臨時レポート

中国株式の動きとエマージング株式市場の見通し

2015年08月28日

中国株式市場の乱高下の背景

 年初来、中国人民銀行(中央銀行)による政策金利と預金準備率の引き下げや、政府による地方政府の債務交換等の各種対策の結果、中国の市中銀行は、流動性が増加した一方、有望な融資先が減少、株式に関連した融資を増加する結果となりました。同時に、中国政府は国有企業改革の一環として、国有企業の債務の株式化を推進しました。こうした動きの中、個人投資家を中心に信用取引が増加、2015年3月末にかけて中国株式市場は大幅上昇しました。

 その後、更なる急上昇により株価の割高感が広がったこと、新規株式公開(IPO)件数が増加し株式需給が悪化したこと、中国A株市場のMSCIエマージング株式指数への組み入れが見送られたこと等を背景に、6月以降、中国株式市場は下落に転じました。

 また、足元では中国人民銀行が人民元の実質的な切り下げを実施し、中国に対する先行き不透明感が高まったことも、中国株式市場の下落に影響し、また中国の影響を受けると懸念された世界の株式市場も下落しました。

 なお、過去数年間、人民元は大幅に上昇してきたことから、ある程度の下落はあり得ると考えてきました。但し、これまでの通貨切り下げを経て中国人民銀行は通貨の是正は基本的に終えたと表明していること、中国は経常黒字であり構造的に通貨下落要因に乏しいことから、今後の更なる人民元安は考えにくいと見ています。

エマージング株式市場の見通し

 こうした環境下、当面エマージング株式市場は変動性の高い展開が続くと考えられます。各国政府の積極的な財政政策と中央銀行の金融緩和等が、これまでグローバル株式市場を下支えしてきました。従って、今後見込まれる米国の金融引き締めにより、市場の流動性が収縮するとの懸念が高まる中、株式市場の変動性は高い状態が続くと考えられます。但し、今年9月と見込まれている米国の金融引き締めが先延ばしとなる可能性や、中国政府、中央銀行が、更なる景気刺激策や金融緩和策を執る可能性が考えられ、これらは株式市場にとってプラス要因となると考えられます。

 また、エマージング株式市場の株価は、PER(株価収益率)で見て長期平均を下回る水準にあることや、先進国株式市場と比較しても割安な水準にあることが株価の下支え要因になると考えられます。

 今後のエマージング株式市場について、中長期的には楽観的な見通しを継続しています。その背景として、エマージング株式市場の株価バリュエーションが割安であることや、エマージング諸国は先進国に比べより高い経済成長が期待できることが挙げられます。また、エマージング諸国で行われている各種経済・構造改革も、潜在成長率の引き上げに役立つと考えます。これらを反映し、今後、エマージング諸国の企業業績が回復し利益が成長する局面で、エマージング株式市場は回復軌道を描くと考えられます。

 

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