臨時レポート

FEDは金利の正常化を果たせるか?

2015年12月17日

 米連邦準備理事会(FRB)は12月16日の連邦公開市場委員会(FOMC)において、0.25%の利上げを決定しました。これを受け、シュローダーのチーフ・エコノミスト、キース・ウェイドの見解をお知らせいたします。

FRBが利上げを実施

 おそらく史上最も待たれた0.25%の利上げと言えるでしょう。FRBはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%引き上げ、0.25~0.5%へ引き上げることによって、引き金を引きました。

 発表された声明において、FRBは労働市場の一層の改善を指摘し、「未活用の労働資源は明らかに減少した」と述べました。インフレは依然目標に到達してないものの、エネルギー価格と輸入品価格の下落の一時的な影響がやわらいでいくなかで、年率2%へ上昇していくと予想されています。米国内外の諸要因を考慮に入れ、「経済の見通しに対するリスクは安定的」と述べました。
 今回の利上げは適切に伝達されており、市場を驚かすものではありませんでした。現時点での疑問は「金利はどの方向に向かうのか?」でしょう。
 FRBの声明は今後の動きは経済データに依存し、「経済状況はFF金利の緩やかな引き上げしか正当化しないだろう」と述べています。これは過去のFRBの声明と整合した内容ですが、昨日の声明に付随していたFRBの新たな見通しにスポットライトを当てるものです。内容はほとんど変わっていませんが、米国経済は来年2.4%成長し、失業率は4.7%へ下がり、インフレ率は来年末までに年率1.6%に達するというものです。

政策の道筋

 9月以降の米ドルや原油価格の動向を受け、インフレ見通しは若干下方修正されています。予測される政策の道筋も若干下方修正となり、FF金利は来年末までに1.4%、2017年末までに2.4%となっています。

 しかし長期的には依然3.5%とされています。つまりゆっくりとした利上げと、後のより大きな引き締めを示唆しています。こうした政策金利の見通しはガイダンスを意味するものではありませんが、市場は注視しており、その点で本来期待される内容より若干穏健度が抑えられているかもしれません。
 長期的な均衡水準の金利は2%(つまりインフレ率を考慮した実質金利ベースでは0%)近辺という多くの証左があるので、上記の長期の予測を下方修正することもできたと思われます。
 イエレン議長とFRBは、依然として緩やかな金融引き締めにコミットしています。しかし市場が織り込んでいる非常に低い期待よりタカ派的(強硬的)と見られた場合、米ドルが上昇し、インフレを一層引き下げるというのがリスクです。
 このようにして、金利の正常化が立ち往生する可能性があることには注意が必要です。

 

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