臨時レポート

グローバル株式:2016年の見通し

2015年12月18日

アレックス・テダー

アレックス・テダー

グローバル株式ヘッド

  • 2016年は世界経済の先行きに対する不透明感が払拭されない状況が続くと見ていますが、グローバル株式運用では、業績の上方修正サプライズが見込める企業の発掘に引き続き注力する方針です。
  • 技術革新が過去に前例のない速度で進む中、幅広いセクターにおいて企業は前例のない変化への対応を求められており、新たな投資機会を生み出しています。
  • 競争が激しいセクターにあって、過剰設備に直面しながらもコスト削減によりバランスシートを強化している企業の市場での評価は高まると考えています。 

 グローバル株式を取り巻く市場環境は依然として厳しい状況にあり、世界経済の先行きは依然として不透明と言えます。各国中央銀行が大規模な量的緩和を実施した結果、金利はかつてない低位で推移し、大規模な資産買入れは資産価格の高騰を招いています。今後は、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げの影響を見極めることが重要であると考えています。さらに、中央銀行の介入による為替市場の歪み、軟調なコモディティ価格、中国経済の減速、強弱入り混じる欧州や米国のマクロ指標が、世界経済の先行きに対する不透明感をさらに増す結果となっており、グローバル株式運用にとっては、絶対収益が低く、ボラティリティの高まる市場環境を意味しています。したがって、2016年のグローバル株式運用においては、先行き不透明な環境にあっても収益の上方修正が見込める企業の発掘が重要であると考えています。

新しい技術がもたらす変化

 技術革新が過去に前例のない速度で進行し、インターネット等の新しい技術を最大限に活用した携帯電話サービスなど新しいビジネス・モデルが生まれる中、産業は様々な形で変化を求められています。Amazon、Google、Facebook、Alibaba、Tencent は、今やそれぞれの分野で誰もが知る企業にまで成長し、売上規模や時価総額では世界最大級の企業に成長しています。一方、従来のビジネス・モデルの変化を求められている産業分野の数は、eコマースやソーシャル・メディア、小型端末機器の分野に留まらず、急速に拡大しています。技術革新は、自動車、アパレルや食品小売り、ホスピタリティ、雇用サービスといった従来の産業にも変化を及ぼしています。また、今後、ヘルスケアや銀行サービスの分野でも変化が起こる見通しです。

価格設定力からサービス・セクターを選好

 2016年の世界経済は、デフレ圧力が引き続き残る状況が想定されます。セクターにおいては、製造業セクターにおけるデフレ圧力と、サービス・セクターにおけるインフレ圧力のかい離が進行しています。製造業セクターでは、競争激化や過剰設備を背景に企業の価格設定力は失われています。対照的に、サービス・セクターにおいては多くの分野において代替サービスを見つけることが難しいことから、企業は価格設定力を維持しています。製造業セクターにおいは、修理や部品供給など、収益性が高く継続的収益が見込める企業において、いくつか魅力ある投資機会が存在します。こうした企業については、過去10年以上にわたり中国での設備投資ブームの恩恵を受けてきた産業にあっても、設備投資の減少に伴うマイナスの影響を抑える対応ができると考えています。

進む企業の「自助努力」

 資本財、エネルギー、鉱業など厳しい環境に置かれているセクターにおいては、企業が収益確保に向けた自助努力の動きを見せ始めており、2016年もこの傾向が続くと考えています。需要や価格動向が不透明な環境に対応すべく、コスト削減やバランスシートの強化を通じた再編を目指す中、企業の間では「自助努力」が注目を集めています。例えば、資源関連会社 BHP Billiton や、石油ガス会社 Royal Dutch Shell は、資源価格の急落や収益の落ち込みに対応すべく、大幅なコスト削減や設備投資の抑制に取り組んでいます。資本財セクターでは、これまで景気減速や過剰在庫から企業収益が落ち込んでいましたが、在庫については、多少の需要拡大が収益改善につながる水準にまで改善されています。コスト削減に成功している企業にとっては、わずかな売上の拡大も大幅な収益の改善につながると見ています。コスト削減で遅れを取っている企業にとっては、評価が見直される可能性が高いと考えています。

革新性を有する企業を重視

 2016年は、セクターを問わず企業の革新性が重要な要素になると考えています。斬新かつ魅力と持続可能性を有するビジネスの成長・拡大を模索しつつも、市場での評価はこれからという企業の発掘に注力します。ヘルスケア・セクターを例にとりますと、各企業は病気が発症する仕組みの解明を進めており、生存率を高めるため様々な治療方法を開発、根本的な治療法の確立に努力しています。医療分野を取り巻く規制環境が厳しさを増す中、革新的治療法を生み出す企業は市場での価格設定力を獲得することになると考えています。競争の激しい食品・飲料セクターにおいては、各企業が市場での価格設定力を獲得するためには、自社商品・サービスを差別化することが重要です。例えば、Starbucks を例にとりますと、同社は顧客の維持・拡大や収益性の確保に向け、革新的な商品の投入や、モバイル媒体での支払い方法導入といったサービスの質的向上を通じて、様々な顧客満足度の改善に取り組んでいます。

業績の上方修正サプライズが見込める企業の発掘

 世界経済を取り巻く環境は依然として不透明であり、2016年の世界の景気動向をはじめ株式やコモディティ、為替市場の先行きを的確に見通すことは困難であると考えています。したがって、個別企業の綿密な調査を通じて、収益の上方修正が見込め、厳しい環境下であっても市場をアウトパフォームする可能性がある企業を見極めることが非常に重要であると考えています。

 

本資料は情報提供を目的として、シュローダー・インベストメント・マネージメント・リミテッドが作成した資料をシュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社が抄訳・編集したものであり、如何なる有価証券の売買の申し込み、その他勧誘を目的とするものではありません。なお、本資料は、作成時点における弊社が信頼できると判断した情報に基づき構成されておりますが、内容の正確性あるいは完全性については、これを保証するものではありません。また、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。本資料中のコメントはシュローダー独自のものであり、必ずしも一般的なものであるとは限りません。本資料で示した見通しおよび分析結果等は、作成時点の考えに基づくものであり、将来、予告なく変更する場合があります。シュローダー/Schrodersとは、シュローダーplcおよびシュローダーグループに属する同社の子会社および関連会社等を意味します。