臨時レポート

コモディティ:2016年の見通し

2016年01月14日

ジェフ・ブランニング

ジェフ・ブランニング

コモディティ運用ヘッド

過去5年間、コモディティ市場は下落しましたが、以下の要因から上昇に転じる可能性が出ていると考えます。

  • 地政学:歴史的にコモディティ投資家にとって重要な要因ですが、中東もしくはロシアにおけるエネルギー・食料問題に端を発した混乱も想定されます。
  • 米ドル:米ドルの強気見通しが実現しない場合、コモディティ価格の上昇が予想されます。
  • 需給バランス:価格下落に伴い、コモディティの供給調整が進むことが予想されます。

エネルギー

 短期的なリスクは残るものの、2016年、エネルギーは最も上昇の期待できるセクターとみています。昨年、原油市場にとって最大のサプライズは供給面における出来事でした。米国および非OPEC加盟国の原油産出が予想以上に増加したこと、さらに、最も顕著であったのが、サウジアラビアやイラクをはじめとするOPEC加盟国の原油産出量が増加したことです。

 しかし、1バレル35ドル程度であれば、米国だけでなく、その他産油国の産出減少が見込まれます。このため、仮にイランやリビアをはじめとするOPEC加盟国が増産に踏み切ったとしても、中期的にその減少を補うには不十分とみています。そのため、世界的にも緩やかな需要の増加が見込まれるなか、原油価格の回復が見込まれます。

 短期的なリスクとしては、直近のOPEC総会において明確な数量目標の合意がなされなかったため、2016年1-3月期において、産出量が上振れすることがあげられます。その場合、2016年中に見込まれる需給バランス改善が遅れるリスクがあります。しかし、産出量のピークが確認されれば、その後、原油価格は回復するとみています。

 例年よりも温暖な天候から、米国の天然ガス価格は下落しました。しかし、今後1-2年間を見据えた場合、供給減による需給バランス改善が見込まれるため、価格上昇を見込んでいます。欧州においても、ロシア・ウクライナ間の緊張を背景に、価格が強含むとみています。

ベースメタル

 ベースメタルの価格動向は、引き続き中国が鍵を握ると考えています。引き続き慎重な見通しを維持しますが、短期的な反発(特にニッケル)も期待されます。供給調整が進展している兆候もみられることから、足元にかけてベースメタルの価格は安定を取り戻しています。しかし、中国需要の底打ちや明確な供給減が確認されるまでは、本格的な上昇は期待できないとみています。特に銅の下振れリスクは高く、再度安値をうかがう展開も予想されます。

 中国では、いまだGDP対比でみた投資割合は高水準で推移しています。住宅在庫の積み上がりは解消されておらず、需要面の回復は期待できない状況にあります。しかし一方で、中央政府は供給過剰の解消に動き始めており、生産性の低い亜鉛・銅関連企業の操業停止などを進めています。

 また、企業サイドでも負債削減、配当の支払い停止等によるバランスシートの改善などがみられており、価格下落サイクルは底に近づいているとみています。

貴金属

 2016年、金は地政学リスクの高まり、マクロ経済に対する懸念、そして米ドル下落の恩恵を享受できるとみています。金の動向をみるうえで、市場の関心が米国金利・米ドルというテーマから、需給関係に移行するかがポイントと思われます。やや時間を要するものの、米国でインフレ圧力が高まるようであれば、実質金利の低下が金価格のサポート材料になりえます。さらに、投資家は市場リスクを過小評価しています。金は株式市場の下落、ハイイールド市場の下落、中国の金融危機が発生するような局面で選好される資産です。

 プラチナに対する見方は中立としています。約7割のシェアを有する南アフリカの供給調整が遅れたことに加え、ディーゼル車を製造するフォルクスワーゲンの排ガス不正問題による、投資家センチメントの悪化がマイナス要因となりました。本格的な回復に向かうには、在庫調整の進展および実需の増加を背景としたセンチメントの回復が必要とみています。

農産物

 2016年、農作物商品は転機を迎えることが予想されます。なかでも、菜種、パーム油、ココア、砂糖そして天然ゴムの見通しは良好とみています。以下、3つの要因が市場のサポート要因になりうると考えます。

  1. 天候:エルニーニョから転じて、今後6-12か月でラニーニャ現象が起こることが予想されています。ラニーニャ発生期間では、農作物の生産が減少する傾向があります。
  2. インド:穀物、油料種子、サトウキビ等の不作により、再び輸入超過に転じる可能性が出てきています。
  3. 中国:食肉の生産は落ち込んでおり、豚・鶏肉の輸入量が増加することが予想されます。

 穀物、油料種子については、引き続き在庫増、輸出競争、中国需要の減少等のマイナス要因は残るものの、概ね価格に織り込まれたと判断しています。植物油については、パーム油の生産が低調であったことやインドの輸入増加を背景に強気の見方に転じています。ココアについては、低調な供給量もあり中立から強気と評価しています。2015年10-12月に大きく上昇した砂糖についても、生産調整に伴う需給の改善を背景にポジティブにみています。

 食肉については、2016年1-3月期は引き続き低調とみています。しかし、中国の生産が落ち込む中、豚・鶏肉の需要増加が見込まれるため、今後の価格動向は強気にみています。

 

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