臨時レポート

英国総選挙、与党敗北-英国株式市場への影響について

2017年06月12日

英国経済の見方

英国で6月8日に行われた下院議員選挙は、与党保守党の過半数割れに終わりました。メイ首相は続投を目指す考えを表明しましたが、今回の選挙結果を受けて、保守党は引き続き第1党の座を維持するものの、今後は少数政党の協力を得て政権運営を行う必要があり、小さな法改正に際しても、議会内での譲歩や合意を得ながら進めなければならず、安定的な政権運営は難しくなるものとみられます。

英国経済
個人も企業も政治的不透明感が高まることには警戒感を強めています。従って、今後個人の消費支出や企業の設備投資の減退が見込まれ、景気減速局面に入ることも予想されます。ただし、政府と議会が「ねじれ」状態となることで、急速な変化も生まれにくくなり、経済・財政政策についても現状維持となる可能性もあるとの見方もあります。

英国ポンドや金融政策
どの政権も過半数を握れず「ハングパーラメント(宙づり議会)」となったため、英国ポンドの下落は、予想よりも小幅に留まりました。ただし、今後英国ポンドがさらに下落する可能性もあり、その結果、英国内のインフレ圧力が強まり、個人の消費支出に多少の悪影響を与える可能性もあります。こうした状況を踏まえ、短期的にはイングランド銀行(英中央銀行)が金融政策を変更する可能性は低いものの、万が一金融不安が高まった場合には、行動を執る準備があるとのスタンスを示す可能性があります。

英国のEU離脱問題
今回の選挙結果を受けて、英国の欧州連合(EU)との離脱の交渉力は低下したと考えます。統一の強い権限がなければ、EUは英国の要求を跳ね除ける可能性すらあると言えます。

 

英国株式市場の見方

今後の英国株式市場の勝ち組と負け組み
今回の選挙結果を受けて、英国株式市場において「安全への逃避」が起こると考えられます。その結果、英国外から収益をあげている企業に対する市場参加者の選好が高まるものと予想します。一方、英国ポンドが下落する局面では、英国内経済・個人消費に対する感応度の高い小売業などの内需企業は、厳しい状況に陥ると考えます。これは為替動向が、こうした企業の利益率に直結しているほか、個人の実質可処分所得の動向にも影響を及ぼすと考えられるためです。その他、銀行や住宅、不動産などの企業にとっても逆風になる可能性があります。

英国のEU離脱や課税、政府の介入など
一方、今後、市場参加者が英国のEU離脱の実現が後退したと捉えれば、中長期的に英国ポンドが回復する可能性があると考えます。また、野党による財政支出拡大の議論が現実味を帯びてくれば、英国内経済の押し上げ要因となる可能性もあります。しかしながら、労働党がより力を持つことで、市場参加者は、労働党の政権公約に掲げられた課税や政府介入などによる企業への影響を織り込みにかかると考えます。
このような投資環境下、株式投資においては政治的なイベントに加えて、世界的な経済情勢や、英国株式の株価バリュエーションの水準を考慮しつつ、個別企業の調査・分析に基づく銘柄選択がより一層重要になると考えます。

 

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