投資環境レポート

設備投資の増加が見込まれる欧州

2018年06月06日

生産余力の低下と過去数年間に亘り民間企業が設備投資を手控えてきたことなどを背景に、今後、企業の間では設備投資などへの支出が持続的に拡大する見通しです。

欧州株式チームの分析では、2018年の世界の設備投資額は8.3%程度増加する見込みです。2017年が0.1%程度の増加に留まり、2016年が約8.9%の設備投資額の減少であった状況と比べると、2018年は重要な転換期を迎えているといえるでしょう。

これらの設備投資額は上場企業に限った数字であり、非上場企業や公共部門の設備投資額は含まれていないものの、企業による設備投資を左右する様々な要因を分析した場合、全体として設備投資が拡大方向にあるとする見方は確信度が高いと考えています。

設備投資とは?

設備投資とは、企業が事業活動に必要とする設備や不動産などを取得や更新する目的で行う支出(投資)を指します。設備投資の主な目的は企業の生産能力向上にあることから、設備投資の増加は、企業が自社製品やサービスに対する需要増を見込んでいる、また景気の先行きに対して自信を深めていることを示しています。

近年設備投資が低迷してきた背景

企業が設備投資を手控えてきた背景には、まず、2000年代終盤の世界金融危機以降、世界経済が景気後退局面に入ったことが挙げられます。また、石油など商品価格の騰勢が衰えたことに伴い、企業支出全体に占める割合の大きい石油・ガスや鉱業セクターの企業が設備投資を手控えたことも要因として挙げられます。

欧州については、世界的な景気後退局面からの回復が遅れ、景気の本格的な拡大はここ12カ月間程度とまだ短いこともあり、欧州での設備投資が最近まで低迷してきたとみられます。

図表1は、欧州株式チームが活用している設備投資モデルで、数千社に及ぶ企業の予想設備投資額(市場コンセンサス・ベース)を基に推計した設備投資額の推移を示しています。2011年以降、2016年にかけて投資額の変化率は低下傾向にありましたが、2017年以降は上昇に転じています。2018年の数値は、各社が本決算で示す見通しを加味した値となっていますが、企業による設備投資額は通常数カ月前に決定されることから、同モデルによる数字は実際の投資額に近いと考えています。


欧州の設備稼働率はピークに近い

2018年の欧州企業による設備投資が拡大すると予想される背景には、幅広い産業で企業の設備稼働率が上限に近づきつつあることが挙げられます。図表2は欧州企業の設備稼働率の推移を示しています。設備稼働率は、世界金融危機において大幅に落ち込み、その後のユーロ圏財政危機においても程度は相対的に小さいものの再度落ち込みましたが、その後は上昇に転じており、現在は過去最高水準に迫る状況です。

つまり、欧州では企業の生産能力が上限に近づきつつあることを示しており、今以上に生産を拡大するためには生産能力の拡大ないしは生産性の向上を図る必要がでてきています。

 

また、欧州企業による設備投資の拡大を促す他の要因としては、以下のような点が挙げられます。

  • 労働市場のひっ迫:労働市場にスラック(緩み)が多く存在し、求職者が多く存在している場合、企業は低コストで従業員を雇い、生産量を増加することが可能です。しかし、失業率が低下し労働市場が改善している現状では、企業は単純に雇用者数を増やすのではなく、設備投資を通じた生産性の向上にも注力すると考えられます。
  • 生産拠点の回帰:企業の間では2000年代に生産拠点を先進国から新興国へと移転する動きが顕著にみられましたが、現在ではこの動きに反転の兆しが見え始めています。企業の間で生産拠点を販売拠点により近い場所に移転する動きが拡大することは、新たな設備投資につながります。
  • 自動化の普及:高度なロボット技術の普及に伴い、欧州では高度な自動化によって生産設備を低コストで運営することが可能となっています。一方、世界金融危機以降、企業の間では設備投資を手控えてきたことから、生産設備の多くが近代化の必要に迫られており、潜在的な設備投資の拡大を示唆しています。
  • 米国の税制改革:米国で実施された税制改革とそれに伴う法人税の減税は、企業による設備投資を促進することが期待され、米国で事業を展開する欧州企業にとっても同様の効果が期待されます。

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