臨時レポート

これからの新興国株式市場の投資機会について

2015年02月16日

アラン・コンウェイ

アラン・コンウェイ

エマージング株式ヘッド

世界的に低い経済成長に加えて原油安などの影響を受けて、新興国経済の先行きへの悲観論もある中、BRICsを代表とする新興国の経済見通しと、新興国株式市場の投資機会について、シュローダー・グループのエマージング株式ヘッド、アラン・コンウェイが解説します。

新興国経済の先行きを不安視する見方もありますが、足元の市場環境をどう見ますか。

新興国株式市場は1998年以来初めて2年連続(2013年・2014年)で先進国株式を下回り、資金流出も続きました。ただし、投資家は過度に弱気になり過ぎており、新興国市場におけるプラス要因を見落としていると考えます。

一般的に景気拡張期には金利の上昇、企業業績の拡大などに伴い、株式市場も上昇する傾向にあります。通常であれば先進国の景気拡大を受けて、新興国経済への恩恵も見込めます。しかし、足元では各国の景気の先行き見通しにバラつきがあり、景気回復軌道を順調に進む米国に比べて、日本、欧州の景気の足取りは重いと言えます。また、新興国の中でも中国の景気減速も懸念されます。ただし、世界の経済成長の7割強を新興国市場が支えている状況に変わりはありません。

原油安による新興国株式市場への影響はどうですか。

投資家は原油価格下落が世界経済にもたらす恩恵を、過小評価していると考えます。原油安が新興国諸国すべてにマイナスの影響を及ぼすとは限りません。ロシアについては慎重な見方を維持しているものの、中国、インドをはじめ、新興国の多くは原油安の恩恵が期待できます。新興国株式市場に占めるエネルギーおよび素材関連業種は、ここ数年大幅に減少しています。

歴史的に、原油価格の下落に続きG7諸国の経済成長は上向く傾向にありました。米国は経済成長見通しを上方修正しており、他の先進国経済もこれに追随することが予想されます。先進国経済が回復に向かえば、新興国の輸出にも弾みが付き、新興国の経済成長を押し上げると見ています。また、注目すべき点としてここ数年、新興国市場の主な輸出先が対先進国から対新興国に移行し、堅調に伸びていることが挙げられます。

足元の原油価格下落は、需要低下によるものではなく、供給増加によるものであり、こうした観点からも、原油価格下落は総じて世界経済に恩恵をもらすことが期待されます。

中国の景気減速が懸念されますが、どう考えますか。

中国に関する悪材料はほぼ出尽くしたと見ています。ただし、中国はすでに経済規模が拡大したことから、これまでのような2桁の高い成長率は見込めないでしょう。5年後には5%程度の成長率まで低下する可能性もありますが、それでも先進国を上回る成長率が引き続き見込めると考えます。

新興国市場の経済成長をけん引するプラス要因は何ですか。

まず、新興国市場の中間所得者層の増加を背景とする、内需の拡大に注目すべきでしょう。現在、新興国市場は世界の中間所得者層の半分を占めており、約15年後には9割に拡大すると予想されます。中間所得者層の拡大は消費を大きくけん引すると考えます。

さらに、新興国の中でも中国、ブラジル、インドなどでは経済構造改革を推し進めることが期待され、今後改革が進展すれば、長期的に新興国の経済成長を押し上げる効果があると見ています。

新興国株式市場の見通しについてはどう見ますか。

バリュエーション観点では、依然として新興国株式市場は相対的に割安であると見ています。

一方、米ドル高の進行が、新興国株式の下振れ要因になる恐れがあります。米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを開始した場合、為替市場では一段と米ドル高が進む可能性があり、今後米ドルの動向に留意する必要があると考えます。なお、米ドルの実質実効為替レートは、2014年を通じて10%上昇しました。2015年も米ドルは底堅く推移するとみられますが、2014年ほどのペースで上昇する可能性は低いと予想します。

また、FRBが利上げを開始したとしても、緩やかなペースで上昇するとみられ、市場はすでに将来の利上げを織り込んでいることから、新興国株式市場への影響は限定的と見ています。当面は、欧州や日本の緩和的な金融政策とそれによる流動性が、新興国株式市場の支援材料になると予想します。

世界的な景気の先行き不透明感を背景に、短期的には不安定な市場展開も予想されますが、新興国株式市場は概ね懸念材料を織り込んでいるとみられます。ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は総じて堅調であり、株価が割安な水準にあることなどから、新興国株式市場は引き続き魅力的な投資対象として注目しており、2015年は先進国市場を上回るパフォーマンスも期待できると考えます。

本資料中シュローダー/Schroders とは、シュローダーplcおよび同社が直接的または間接的に株式または持分の50%以上を保有する会社等の法人を意味します。
本資料はシュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社が作成したものであり、法令に基づく開示書類ではありません。また、如何なる有価証券の売買の申し込み、その他勧誘を目的とするものではありません。なお、本資料は、作成時点における弊社が信頼できると判断した情報に基づき構成されておりますが、内容の正確性あるいは完全性については、これを保証するものではありません。また、本資料に示した運用実績、データ等は過去のものであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。本資料中のコメントはシュローダー独自のものであり、必ずしも一般的なものであるとは限りません。本資料で示した見通しおよび分析結果等は、作成時点の考えに基づくものであり、将来、予告なく変更する場合があります。