Image

特別対談

ESG

~将来の勝ち組企業選別に不可欠な視点

シュローダー 日本株式チーム ファンドマネジャーの豊田一弘が、BSテレ東「日経モーニングプラス」キャスターの八木ひとみ氏とESGをテーマに対談しました。3回シリーズでお伝えします。

第2回 ESG投資でめざすのは、中長期的な投資収益の拡大

Image

八木氏:

前回は、ESGがなぜ資産運用の世界で注目されてきているのか、を伺いました。ESGが「環境」とか「社会」を意味していると聞くと、慈善活動のような印象があって、本当に投資の指標として機能するのかと思えるのですが、お話を聞くと、納得感がありますね。

「エコファンド」というのが一時、大きな話題になったことがありましたが、ESG投資は言葉こそ違いますが、「エコファンド」と同じようなものでしょうか?

Image

豊田:

ESG投資には、いくつかの視点や目標があります。「エコファンド」や「SRIファンド」にあるような「社会や環境にやさしい企業への投資」も一つのタイプと言えます。

しかし、昨今のESG投資の主流は少し異なってきていると考えています。世界的な投資家が重視するESG投資、そして、シュローダーが注力するESG投資では、社会的利益や倫理的な価値観を優先するのではなく、求めるのはあくまでも中長期的な投資収益です。

ESG投資では、企業価値を最大化するために、企業が、企業をとりまくステークホルダーとのバランス良い関係構築にどのように取り組んでいるかを評価することで、将来の勝ち組企業を選別することを目指します。また、同じく最近よく取り上げられているSDGsは、企業の経営者の視点からESGに対する取り組みを経営に落とし込んでいく取り組み、プロセスであり、投資家としては、SDGsの視点も含めて、企業の経営、中長期的な戦略などを評価していく必要があります。

シュローダーのESGの歴史と強み

八木氏:

シュローダーは、ESG投資に長い歴史があると伺いましたが、その経験は、シュローダーの運用の強みになっていますか?

豊田:

はい、そう考えています。1998年にロンドンに最初のESG専任担当者を置いて以来、シュローダーのESG投資の実績は20年以上におよびます。2007年に署名した国連PRIでは、4年連続で最高評価のA+を取得し、実績も評価されています。

ESG投資はシュローダーが目指す長期投資との親和性が高く、アクティブ運用マネジャーとして重要な取り組みであると考えています。最高経営責任者であるピーター・ハリソンのリーダーシップの下、全ての運用チームでESG投資の取り組みが進んでいます。経験豊富で専門性の高い12人のESG専任担当者は、各運用チーム、拠点と連携し、それぞれの運用プロセスにおけるESG評価の精度を高めることに注力しています。英国などのNPO(非営利団体)やESG関係団体とも意見交換し、情報の厚みを増しています。

八木氏:

シュローダーでは、どのようにESG評価を銘柄選択に反映させているのですか?

Image

豊田:

例えば、株式運用では、業績予想や企業評価を反映して投資先企業の「適正株価」を算出し、投資判断にいかしています。ESG評価は、この「適正株価」を引き上げたり引き下げたりする材料になります。例えば、業界平均よりも離職率が高い企業は、今後、日本の人口が一段と減少した時に必要な人材を確保できるのか、という疑問が出てきます。そのようなケースでは、将来の人手不足などのリスクを考慮して、「適正株価」を一定程度引き下げることが必要だと考えます。

Image

八木氏:

先ほど、お話にでた国連PRIはどういったものですか?

豊田:

そもそもESGと投資を結びつける考えが出てきたのは、国連が2006年に責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)を提唱したことに始まります。これが国連PRIです。運用会社や年金基金などの機関投資家は、受託者責任として投資分析や投資の意思決定プロセスにESGの課題を組み入れるべきということがうたわれています。今では、多くの運用会社や年金基金などが、この考え方に同意する旨の署名を行っています。

八木氏:

日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)もESGに力を入れているという報道を耳にしたことがあります。

豊田:

そうですね、最大の機関投資家であるGPIFがPRIに署名し、ESG投資に力を入れ始めたことで、日本のESG投資が加速してきているといえます。

八木氏:

これから日本でもESG投資が広がっていくことになりそうですね。

第3回は実際のESG投資をもっとよく知るために、シュローダーが運用するアジアにフォーカスしたESGファンドについて伺っていきます。