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特別対談

ESG

~将来の勝ち組企業選別に不可欠な視点

 

 

シュローダー 日本株式チーム ファンドマネジャーの豊田一弘が、BSテレ東「日経モーニングプラス」キャスターの八木ひとみ氏とESGをテーマに対談しました。3回シリーズでお伝えします。

第3回 アジアにフォーカスした「ESGファンド」

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八木氏:

これまで2回にわたって、ESGがなぜ資産運用の世界で注目されてきているのかシュローダーがどのようにESG投資に取り組んできたのかについてうかがい、理解が深まってきた気がしています。今回は、シュローダーのESGファンドについて聞かせてください。

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豊田:

シュローダーは、アジアパシフィック地域にフォーカスした「シュローダー・アジアパシフィック・エクセレント・カンパニーズ」というファンドを立ち上げました。成長が期待されるアジアパシフィック地域で、持続的に成長する将来の勝ち組企業に投資することを目指すファンドです。

投資においては、「水準」と「変化」の両方を考えることが大切です。まず、「水準」についていえば、アジアにおいてはまだガバナンスのレベルなどが欧米に比べて劣っている場合が多く、ESGの観点で適切に経営のかじ取りが行われている「経営の質が高い」企業へ投資することが重要です。ESGに関連するリスクが顕在化した場合、企業価値が大きく損なわれることになるからです。

次に「変化」についてですが、もともとよい企業がさらに良くなった場合に比べ、何らかの課題をもつ企業がその課題を解決した場合のほうが、株価の上昇率は非常に高くなります。このように「変化」は投資にとって大切な視点で、私が銘柄選定において重視しているポイントです。

日本はアジアに比べて変化率が低いイメージがあると思いますが、必ずしもそうとは言えません。例えば、欧米の企業と日本の企業を比較すると、もう少し情報開示を強化すれば、もう少しガバナンスに配慮すれば、投資家の懸念がなくなるのに、と思うことが結構あるのです。

八木氏:

これだけ日本でも情報開示やガバナンスについて、うるさく言われるようになっているのに、ですか?

豊田:

はい。形や平均をみると良くなっているのですが、実態は2極化しています。進んでいる企業は、ESGを、企業価値を中長期で高めるための有効な手段として活用しているのに対し、もう一方は、同業他社に劣後しない程度に形を整えているだけに見えます。

ガバナンスはしっかりしている企業とされていたのに、ある日突然、不祥事が表面化するという例が後を絶たないのが日本です。ですから、形式だけなのか、実態が良くなっているのか、見極める必要があります。グローバルな同業他社と比較してみると、ESGへの取り組み姿勢が分かります。

八木氏:

まだまだ日本にも成長の余地があるということですね。

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豊田:

そうです。私は「ガバナンス改革1.0」は終わったと思っています。例えば、社外取締役についていうと、人数を増やしましょう、という段階は終わりました。明らかに社外取締役の数は増えています。「ガバナンス改革2.0」では、本当に社外取締役が少数株主の利益の代弁者として取締役会で機能しているのか、本当にその企業に相応しい手腕を持っている社外取締役が選ばれているのか、など実態を見極める時期にきていると思います。そういった点では、日本のガバナンス改革は始まったばかりと考えています。

長期投資家として、短期的な株価のブレを投資機会に

豊田:

四半期決算が取り入れられた影響で、日本株式市場でも「短期志向」が広がっています。四半期ごとに決算によって振れる株価にどう向き合うかは、長期投資家にとっては大きなチャレンジです。

一方で、長期投資家としては、短期の株価のブレを上手に使って投資機会にしたいとも思っています。中長期的な成長力はあるものの短期的に株価が下がっているのであれば、それは投資機会となります。ただし、そこで自信をもって買い向かうためには、ESGの視点が重要になります。

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八木氏:

自信をもって安値を拾いにいくためにESGの視点は重要なのですね。

豊田:

完璧な企業はなく、どんな企業も変われます。投資家は、企業に対し、もっとこうしたら良くなるのでは?という提案ができると考えています。それをもう少し強化したのが「エンゲージメント」です。

私たちは投資を決めた企業は、5年、10年と長期に保有したいと思っています。そのために、対話を行って一緒に課題を解決していく仕組みがエンゲージメントです。企業が課題を抱えている場合、その分、株価は割安になっていることが多くあります。そうした企業に投資し一緒に課題を解決した場合、常に質の高い経営を行っている企業に投資した場合と比べて、株価はより大きく上昇すると考えられます。このように、中長期投資において、エンゲージメントは投資収益を高める重要な要素です。エンゲージメントによって企業の課題解決が進むことで、ひいては日本株式全体のリターンを高めることにもつながると考えています。

ESGを企業評価に加えることは、企業の中長期的な成長、企業価値の拡大に主眼をおくものです。短期的な利益を求める投資とは対局にあると考えています。将来の勝ち組企業への選別投資を目指すという点で、ESGは長期投資に欠かせないと考えられます。積立投資などを通じて、資産形成を目指すみなさまにぜひご活用いただきたいと考えています。

八木氏:

最近は「人生100年時代」という言い方が出てきているように、長生きに備えた長期の運用が大事だということが言われるようになりました。ESG投資が、これからの資産運用で求められる長期の運用に適っているということが良くわかりました。ありがとうございました。