欧州情勢アップデート

依然として不透明な英国のEU離脱

2019年3月7日

 依然として不透明な英国のEU離脱

 1月15日、英国下院はメイ首相が欧州連合(EU)との間で昨年合意した離脱協定案を大差で否決しました。その後、21日にメイ首相が明らかにした代替案も本質的には先に否決された協定案の内容とほぼ変わらず、複数の下院議員が政府案に対する修正案を提出する事態となりました。29日には下院で代替案および修正案に対する審議が行われ、合意なき離脱(ノー・ディール)回避を求める案と、アイルランドと北アイルランド間のバックストップの変更を求める案の2つの修正案が賛成多数で可決されました。

 2月以降、メイ首相はEUに対して離脱協定案の修正(アイルランドと北アイルランドとの間に厳格な国境管理が導入されることを防ぐ目的で合意した安全策(バックストップ)に法的拘束力のある変更を加えること)を求める一方、EU側は英国との継続協議には応じる姿勢をみせているもののバックストップを含む協定案の再交渉は行わない姿勢を崩しておらず、こう着状態が続いています。

 今後の先行きについては依然として不透明な状況が続いていますが、英国政府としては現行の協定案についてEUとの再交渉を行い、3月12日までに同案の下院での採決を実施したい考えです。仮に協定案が否決された場合、メイ首相は「合意なき離脱」の是非を問う議会採決を実施する見通しです。「合意なき離脱」が支持された場合、英国は3月29日にEUから離脱することになります。一方、議会採決で否決となった場合には、「離脱時期の延期」を採決する見通しです。尚、離脱時期の延長についてはEU加盟国全ての同意が必要となることから、仮に延期となった場合でも混乱が予想されます。

EU離脱に伴う英国経済への潜在的な影響

 EU離脱についての先行き不透明感が依然として払拭されていない状況下、英国経済への潜在的な影響を見極めることも依然として難しい状況です。例えば、英国の中央銀行にあたるイングランド銀行は、昨年11月に英国経済の2019年および2020年見通しを発表しましたが、先月2月に発表されたインフレーション・リポートではこれら見通しを下方修正しています。

 具体的には、0.2~0.5%程度、経済成長見通しを下方修正しています。また、企業による投資についても、2019年は+2.0%から -2.75%へと大幅な修正を行っています。これら下方修正の主な要因として、離脱協定案の承認を巡る英国内での政治的混乱などが指摘されています。

 3月に入り、英国保守党内ではEUからの離脱を支持する議員から、協定案の受け入れを可能とする3つの条件が提示されるなど、現状打開に向けた動きも出始めています。国内およびEUとの間で合意がなされ、英国が移行期間を経て秩序ある形でEUから離脱する道筋が立った場合には、英国経済の先行きにも明るさが戻ってくるものと思われます。一方、「合意なき離脱」となった場合には、英国経済が後退局面に陥る可能性もあると考えています。何ら合意がないまま英国がEUから離脱することには多くの混乱や困難が伴うことから、英国政府とEUとの間で更なる協議が行われ、合意に達することが強く望まれています。

 


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