日本株運用者の視点

歌手と投資家

2018年4月16日

前田 建

前田 建

日本株式運用 総責任者 ファンドマネジャー

最近対決型やオーディション形式の歌番組を観る機会が増えました。採点方式は従来通りの審査員による採点、カラオケの機械による採点、両方の合算など様々です。機械採点の導入と精度向上によって、主観的な評価となりがちなボーカルの優劣を客観視できるようになったことが、一種の技術革新であり、新たな面白さを提供しているのだと思います。機械採点では音程の正確性が特に重視され、アマチュアがプロを負かしている場面も度々出てきます。番組を観ていると、世の中にはこんなにも歌のうまい人たちがたくさんいるのかと驚かされますが、日々研鑚を重ねてプロ歌手になるチャンスを窺っている10代や20代の若者が出場者の多くを占めています。彼ら彼女らに共感を覚え応援したい気持ちになるのは、私自身にもかつてオーディション的な要素を持つ研修プログラムを経てファンドマネジャーという職を得た経験があるからかもしれません。

全くの畑違いですが、歌と投資の世界に相通ずるものがある気がしたので、両者の対比を通じて投資家という職業を掘り下げて考えてみました。役割で対応表を作るとすれば、アマチュア歌手=個人投資家、プロ歌手=機関投資家、ボーカロイド=ロボアドバイザーやAIといったところでしょうか?どちらの世界でも市場参加者は不特定多数で、お客様も不特定多数となるケースが多くなります。残念ながら金融先進国である英米などと違って、アナリストやファンドマネジャーなどは日本では職業としてあまり認知されていないように思います。プロの歌手を目指す人に比べて、投資のプロを目指す人はさほど多くないかもしれません。一方で自分自身のお金を運用して生計を立てるという意味での投資のプロに憧れている人は相当数いるような気がします。また、個人投資家の中でプロをも凌ぐような実績を挙げて話題になっている人達も存在するようです。プロの歌手になれたとしても、成功する保証はどこにもなく、長期間第一線で活躍し続ける人は更にかなり限られるでしょう。うまくいかなかった際に違う職業に転換しようにも潰しが効きにくい気がしますし、そんな職業を目指す人々は、安定よりも挑戦を優先するリスクテイカーと呼べるのではないでしょうか。こうした点は投資の専門職に就いている自分達のような人間にも当てはまる気がします。また、単純な技術や知識量以上に、感性や創造力が成績や評価を左右する点も似ています。

将来は歌の世界に倣って、機械採点で投資判断の巧拙を得点化するような仕組みができたら、機関投資家と個人投資家とAIが対決したり、優勝した個人投資家のファンドが市販されたりして面白いかもしれません。また、機関投資家が未経験者を採用する際に、学歴や資格、面接での印象に頼るのではなく、シミュレーターとして実戦に限りなく近い仮想金融市場を作って投資推奨や売買を体験してもらい、成績の良い人を選抜する仕組みなどがあると、隠れた才能を発掘したり、適性の高い人材を招き入れるのに役立つかもしれません。

 

  本コラムでは日本株式運用チームのファンドマネジャーやアナリストが毎月入れ替わりで、市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。

 

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