日本株運用者の視点

マクロとミクロ

2019年3月15日

荒井 卓

荒井 卓

日本株式運用 副責任者 プロダクトマネジャー

私は仕事柄、国内外の投資家の方と話をする機会が多くあります。私どもの運用戦略を紹介したり、運用の状況を説明することが多いですが、同時に日本株式市場の見通し、いわゆるマクロについても話題の中心になります。投資家の皆さまの関心が高いのは当然です。日本株ファンドに投資をする以上、市場の変動に大きく影響を受けます。特に海外の投資家は日本市場の投資魅力をシビアに見ています。アクティブ運用者としては、市場を上回るリターンをあげることに注力をしていますが、それでも常に勝てる訳ではありません。そして、超過リターンの変動よりも、市場全体、日経平均や東証株価指数などの指数の変動が当然大きくなります。一方でアクティブ運用者、特に私どものようなボトムアップでの企業調査を投資判断の根幹に置く運用をしていると、マクロを話すのが必ずしも得意ではありません。投資先企業や産業の見方、つまりミクロを語るのには強くても、マクロに関する質問には、トップダウンの投資はしていませんので、といった回答することもあります。

こうした投資家と運用現場のギャップを埋めるのも自分の仕事と思い、出来る限りマクロを語れるように努力しています。考え方を整理すると、マクロはミクロの集積である、という言葉もあれば、一方でミクロ、つまりは企業業績はマクロの影響を大きく受けるのも事実です。市場見通しを考えるとき、株価=企業業績×株価収益率(バリュエーション)のフレームワークを使います。企業業績が上がれば株価は上がりますし、株価収益率が低い水準から高くなるか、あるいは高すぎる水準から調整をするか、というのも重要なポイントです。市場全体のバリュエーションは、市場の期待度、人気度、あるいはセンチメントとも言えます。そして、このフレームワークで考えると、マクロの要素は業績にもセンチメントにも影響します。運用チーム内でファンドマネジャーやアナリストと話をすると、それぞれがマクロに対する見立てを持って、企業調査をしたり、投資判断をしているのも分かってきます。マクロの見通しで勝負をする訳ではないので、チームや会社として集約的な見方を作る必要は無いかもしれないですが、チームとしての共通理解やいろいろな見解を持って議論をすることは有益だと考えています。ファンドマネジャーにとっては主にポートフォリオがマクロの視点から意図せざるリスクを取っていないか、市場のトレンドから離れていないかといったチェックが重要です。またアナリストにとっては、担当する業界の将来はマクロ経済の動向と切り離せない関係にあります。

市場を動かすマクロの動向や思惑、ニュースは幅広く、マクロ経済の伝統的なフレームワークだけでなく、非伝統的な金融政策があり、政治情勢、また海外の地政学的な問題も大きなインパクトになりますので、精度の高いアンテナをさらに拡げる必要があります。シュローダーではロンドンにマクロ調査チームがあり、日本担当のエコノミストも配置されていますので、海外から見た日本経済という視点も興味深いインプットとして活用しています。投資家の皆さまと知見を共有することで運用や市場の理解を深めて頂くと同時に、運用チームとしてもミクロでのリサーチに強みを発揮しつつ、マクロ視点も強化していきたいと考えています。

 

  本コラムでは日本株式運用チームのファンドマネジャーやアナリストが毎月入れ替わりで、市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。

 

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