印刷する Share

日本株運用者の視点

回顧

2019年6月11日

アンドリュー・ローズ

アンドリュー・ローズ

日本株式 ファンドマネジャー

平成が終わり令和を迎え、平成の30年間を振り返る記事を多く目にするようになりました。私も本稿において今までを振り返りたいと思います。これは、この6月末をもって38年間、シュローダーのアナリスト、ファンドマネージャーとして携わってきた、日本株式運用を引退するためです。

私のキャリアは平成よりも8年早く始まり、史上最大とも言えるバブルの始まりから崩壊までの一部始終を目にすることができました。引退するまでに、もう一度日経平均が1989年に記録した高値を更新すると思っておりましたが、私の予想は外れてしまいました。

このような中、2つのことをよく聞かれます。1つは、これほど長い間(およそ1万営業日!)、どうして日本株式市場に携わる仕事を続けてこられたのか。2つ目は、日本株式市場の将来について楽観的かどうか、です。

1つ目の質問は返答に窮することもありますが、1つ目の質問への返答も2つ目の質問への返答も似た答えになってしまいます。景気低迷、政治的混乱、政策の失敗、悲劇的な自然災害、さらには資産運用業界の大きな変化等に直面しても、ファンドマネジャーとしてすることは結局、企業への投資です。日本産業界の発展、日本企業の成長を見たり、経営陣と会って議論すること、そして何が株価に織り込まれているかを探ることなど、常にやりがいがあり、マクロ環境がいかなる時も私は日本株式運用を楽しんできました。

これは今の状況も同じです。世界的な不確実性が高まり、また日本経済の構造的な逆風も相まって日本株について説得力のあるマクロストーリーを描くことは難しくなっています。しかし、企業レベルで見ると、前向きな変化やバリュエーションの水準等、興味深い時期にあると言えます。特にコーポレートガバナンスや少数株主の実質的権利等はここ数年で大きく向上、改善し、38年前とはその様相が大きく変化しました。一方で、まだまだ改善する余地も見られます。ファンドマネジャーを引退するにあたって、図々しくも一つ、日本の経営者の方々にお願いをできるとしたら、ぜひともこの流れを止めないでください、と申し上げたいです。そして、この変化の流れを加速し、より拡大していくことを期待しています。これらの進展によって、この38年間でその影響力が増大した外国人投資家の日本株への興味を再燃させることができます。

日本株式市場のことを毎日考えてきた38年間でした。これから、日々のお客様の資産を運用する業務から離れることは不思議な感覚であり、さびしくもあります。この38年の間、日本株市場は私がキャリアを始めた頃とは比べものにならないほど、成長してきたと、いまは確信を持って言えます。

 

  本コラムでは日本株式運用チームのファンドマネジャーやアナリストが毎月入れ替わりで、市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。

 

【本ページに関するご留意事項】 本ページは、情報提供を目的として、シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社(以下「弊社」といいます。)が作成、あるいはシュローダー・グループの関係会社等が作成した資料を弊社が和訳および編集したものであり、いかなる有価証券の売買の申し込み、その他勧誘を目的とするものではありません。英語原文と本ページの内容に相違がある場合には、原文が優先します。本ページに示されている運用実績、データ等は過去のものであり、将来の投資成果等を示唆あるいは保証するものではありません。投資資産および投資によりもたらされる収益の価値は上方にも下方にも変動し、投資元本を毀損する場合があります。また外貨建て資産の場合は、為替レートの変動により投資価値が変動します。本ページは、作成時点において弊社が信頼できると判断した情報に基づいて作成されておりますが、弊社はその内容の正確性あるいは完全性について、これを保証するものではありません。本ページ中に記載されたシュローダーの見解は、策定時点で知りうる範囲内の妥当な前提に基づく所見や展望を示すものであり、将来の動向や予測の実現を保証するものではありません。市場環境やその他の状況等によって将来予告なく変更する場合があります。本ページ中に個別銘柄、業種、国、地域等についての言及がある場合は例示を目的とするものであり、当該個別銘柄等の購入、売却などいかなる投資推奨を目的とするものではありません。また当該銘柄の株価の上昇または下落等を示唆するものでもありません。予測値は将来の傾向を例示することを目的とするものであり、その実現を示唆あるいは保証するものではりません。実際には予測値と異なる結果になる場合があります。本ページに記載された予測値は、様々な仮定を元にした統計モデルにより導出された結果です。予測値は将来の経済や市場の要因に関する高い不確実性により変動し、将来の投資成果に影響を与える可能性があります。これらの予測値は、本ページ使用時点における情報提供を目的とするものです。今後、経済や市場の状況が変化するのに伴い、予測値の前提となっている仮定が変わり、その結果予測値が大きく変動する場合があります。シュローダーは予測値、前提となる仮定、経済および市場状況の変化、予測モデルその他に関する変更や更新について情報提供を行う義務を有しません。本ページ中に含まれる第三者機関提供のデータは、データ提供者の同意なく再製、抽出、あるいは使用することが禁じられている場合があります。第三者機関提供データはいかなる保証も提供いたしません。第三者提供データに関して、弊社はいかなる責任を負うものではありません。シュローダー/Schroders とは、シュローダー plcおよびシュローダー・グループに属する同社の子会社および関連会社等を意味します。本ページを弊社の許諾なく複製、転用、配布することを禁じます。

トピック