日本株運用者の視点

相場史を振り返る

2019年11月7日

前田 建

前田 建

日本株式運用 総責任者 ファンドマネジャー

これまで日本株のファンドマネジャーとして仕事をする中で、相場史を振り返る機会が何度かありました。投資家としてのキャリア形成初期、ITバブルやリーマンショックなど市場で極端な傾向が出現した時期、運用成績の不振が続いた時などです。

自分の業務の中心にあること、時代や文化的背景が理解しやすいこと、母国語で書かれているものが手に入りやすいことなどから主に振り返りの対象としてきたのは日本の株式市場です。米国株式市場に関するものも度々読み返しています。金融先進国であり、世界の株式市場の中心であり続けているため、日本を含めた他の市場への影響力が大きいからです。重要な研究対象として認知されていて、相当昔の出来事であっても、多くの書籍やレポート、新聞記事などが手に入る利点があります。

投資家の伝記も広い意味では相場史のジャンルに含めてよいと思います。物語としての面白さがあり、大成功を収めた投資家にも例外なく訪れる大ピンチで、彼らが何を考えてどんな行動を取ったのかという話は特に参考になります。失敗から学んで投資家として成長していく姿からは勇気や元気をもらえます。

相場史は学者やジャーナリスト、ストラテジストなどの手によるものが一般的で、出来事を客観視している印象が強いです。投資家を中心に据えたものは、より主観的で主人公の視点というフィルターを通じた一種の疑似体験といった趣です。経験がものをいう世界にあって疑似体験を通じて読み手である私達も経験値を高めることができます。

おそらく相場史を振り返ることの最大の意義は、将来を予測するうえで重要なヒントを与えてくれることにあると思います。株式市場には景気循環と同様、上下動のサイクルがあり、さらに人間の欲や群集心理といったものが波を増幅して、後に○○相場と称される数々の特徴的な場面を生みだしてきました。例えば現在の株式市場に何らかの強い傾向が発生していたとして、過去に似たような局面が見つけられれば、天井や大底の目安、それに対する現在の位置、反転のきっかけとして考えられる要因などについて貴重な手掛かりを得ることができます。

一方で似たような事が繰り返されるとはいえ、相場つきといったある種の傾向は、時を経て少しずつ形を変えて出現することに注意が必要です。過去の経験や歴史に基づいて仮説を立てることは有意義ですが、盲信せず適宜修正を加えていくことが重要です。

最新のニュースを追うことばかりでなく時折株式市場の歴史を振り返ることは、物事を俯瞰し、長期の時間軸で現状を捉える訓練になると思います。長期的な視点に立脚しつつ現状を眺めることで、渦中にあっては難しい循環的な要素と構造的・不可逆的な要素の見極めがつけやすくなります。結果として失敗を避けられたり、大きなチャンスをものにする確率が高まるのではないでしょうか。

 

  本コラムでは日本株式運用チームのファンドマネジャーやアナリストが毎月入れ替わりで、市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。

 

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