日本株運用者の視点

今後の食品業界の変化に期待


滑川 晃

滑川 晃

日本株式 セクターアナリスト

すべて見る

2018年10月より従来の通信、ソフトウェア業界などに加えて、食品業界を担当しています。久しぶりに新しい業界を担当して、新鮮な感じがします。

食品業界は商品が身近なため、親しみがあります。始めは取り掛かりやすい業界かと思いました。しかし、実際に担当すると非常に難しい事を実感しています。食品株は株式市場でディフェンシブと見られていますが、収益の変動は意外に大きいです。食品は生活必需品とはいえ、消費の動向を受けます。業界内の競争は厳しく、シェア変動がよく起こります。また、原材料などのコスト変動が大きく、為替の影響も受けます。海外事業の動きは見えにくいため、決算発表時にサプライズが起こる事があります。

それでも、2019年は飲料、乳製品、加工食品など多くの分野で値上げが順調に進んだ点で比較的安定した年でした。消費税の引き上げがありましたが、食品には軽減税率が適用されました。

今後を展望すると、上記の問題に加えて、一段と各社の経営力を見る必要がありそうです。構造的に気になるのは、日本の人口動態です。日本の人口は既に2008年にピークアウトしていますが、今後減少幅が少し拡大する傾向にあります。インバウンド需要があっても、収益源の内需が伸びにくい環境になります。どのように消費者に支持される商品を作り、付加価値を上げて収益性を高めていけるのか、あるいは新しい市場を作り出せるのかに注目しています。これまで各社とも研究開発に力を入れ、多くの独自技術や強みを持っている事に驚かされています。これを業績拡大につなげて欲しいと思います。

また、M&Aなどで海外に成長を求める会社が多いですが、トラックレコードは会社によりかなりの差があります。改めて自社の強みや経営リソースを分析して、今後は事業展開して欲しいと考えています。

ESGは食品セクターでも重要な投資テーマです。食品ロス、プラスチックパッケージ、持続的な原材料調達などは既に広く議論されています。全体的にESG意識の高まりで情報開示は進んでいます。しかし、ESGへの取り組みをどのように収益拡大、企業価値向上につなげていくのかは、まだこれからでしょうか。今後は顧客との関係、ブランド力育成、従業員の多様性に注目しています。

食品と他の担当業界の調査には直接的なシナジーはないので、今は増えた仕事を効率良くこなす事が課題です。それでも幅広く業界を見る事による視野の広がりに面白さを感じています。

 

  本コラムでは日本株式運用チームのファンドマネジャーやアナリストが毎月入れ替わりで、市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。

 

【本ページに関するご留意事項】 本ページは、情報提供を目的として、シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社(以下「弊社」といいます。)が作成、あるいはシュローダー・グループの関係会社等が作成した資料を弊社が和訳および編集したものであり、いかなる有価証券の売買の申し込み、その他勧誘を目的とするものではありません。英語原文と本ページの内容に相違がある場合には、原文が優先します。本ページに示されている運用実績、データ等は過去のものであり、将来の投資成果等を示唆あるいは保証するものではありません。投資資産および投資によりもたらされる収益の価値は上方にも下方にも変動し、投資元本を毀損する場合があります。また外貨建て資産の場合は、為替レートの変動により投資価値が変動します。本ページは、作成時点において弊社が信頼できると判断した情報に基づいて作成されておりますが、弊社はその内容の正確性あるいは完全性について、これを保証するものではありません。本ページ中に記載されたシュローダーの見解は、策定時点で知りうる範囲内の妥当な前提に基づく所見や展望を示すものであり、将来の動向や予測の実現を保証するものではありません。市場環境やその他の状況等によって将来予告なく変更する場合があります。本ページ中に個別銘柄、業種、国、地域等についての言及がある場合は例示を目的とするものであり、当該個別銘柄等の購入、売却などいかなる投資推奨を目的とするものではありません。また当該銘柄の株価の上昇または下落等を示唆するものでもありません。予測値は将来の傾向を例示することを目的とするものであり、その実現を示唆あるいは保証するものではりません。実際には予測値と異なる結果になる場合があります。本ページに記載された予測値は、様々な仮定を元にした統計モデルにより導出された結果です。予測値は将来の経済や市場の要因に関する高い不確実性により変動し、将来の投資成果に影響を与える可能性があります。これらの予測値は、本ページ使用時点における情報提供を目的とするものです。今後、経済や市場の状況が変化するのに伴い、予測値の前提となっている仮定が変わり、その結果予測値が大きく変動する場合があります。シュローダーは予測値、前提となる仮定、経済および市場状況の変化、予測モデルその他に関する変更や更新について情報提供を行う義務を有しません。本ページ中に含まれる第三者機関提供のデータは、データ提供者の同意なく再製、抽出、あるいは使用することが禁じられている場合があります。第三者機関提供データはいかなる保証も提供いたしません。第三者提供データに関して、弊社はいかなる責任を負うものではありません。シュローダー/Schroders とは、シュローダー plcおよびシュローダー・グループに属する同社の子会社および関連会社等を意味します。本ページを弊社の許諾なく複製、転用、配布することを禁じます。