市場のダイナミズム – This time is different?


市場にはその時々に支配的な言説やトレンドがあり、投資家のそうした発言が頻繁にメディアにも取り上げられます。しかしながら、そうした言説の賞味期限は長いものとは言えず、数週間、あるいは数ヶ月すると新しいストーリーが出てきます。最近では、いわゆる悪い円安論だったり、米国長期金利の上昇を受けた成長株の株価調整なども繰り返し語られています。それでも、それが長続きすると、This time is different. と言われて、バブル的な様相が強くなる印象です。思い起こせば、1年前くらいまではGAFA相場と言われて、米ナスダック市場が史上最高値を更新し続けていました。世界的なゼロ金利でバリュエーション指標が効かなくなり、バリュー投資は終わったと言われたり、コロナ禍の不透明感が強い環境で一握りのグロース株への投資が安心、といった声も聞かれました。それが今ではグロース株の成長鈍化で失望売り、といった解説をよく聞きます。市場で偏った見方が支配的となり、そうした考えに基づいた動き、株価形成などが極端になるのが、いわゆるバブル相場と言えます。市場の長い歴史の中で、幾つものバブル相場とその崩壊を経験してきました。

それでは、投資家はそうした市場での支配的な考えや、それらに基づいた市場の動きに対して、どのように対処すべきなのでしょうか? まずは、どんなに強いトレンドであっても永久ではないことを理解する必要があります。もちろん長期的な構造変化はありますので、そこは見極めが必要です。ただ、多くのケースが短期的なブームで終わる、あるいは最後はやはり市場の原理に立ち返る必要が出てきます。This time is different. と言われ始めたら、それは市場の見方が一方に偏ってしまい、他の見方や反対の意見が耳に入らなくなる状況です。しかし、市場の歴史が示すこととしては、This time is different. では無かったと後になって分かることになります。そのような時、投資家はある一方向に賭けていると大きく損をする可能性が高かくなる訳です。そのため、投資家として心掛けるべきは、偏ったリスクは取らない、つまりはどんなに市場で支配的なトレンドであっても、その一方に偏った投資をすることは回避し、分散投資に努めることです。分散とは、投資対象でも投資アイデアでも当てはまります。多様な見方を踏まえて、正しい投資判断をする必要があります。もちろん、この正しい投資判断というのは簡単なものではありません。しかし、我々投資家は、歴史や学術的な研究などから、様々な理論や論理を理解することで、相応に高い確率で起こる方向性を読むことは出来るはずです。一方的な偏ったトレンドが転換するときは、いわゆる平均回帰が起こるわけですが、その方向性は理論的に実証されたものが多いと言えます。つまり、投資家は学ぶことでいくつかのシナリオを持つことができ、バランスの取れた投資方針を考えることができるわけです。

ロシアのウクライナ侵攻を受けて急騰している資源価格、米金利の上昇を受けた日米金利差を材料に加速した円安、そしてグロース株の株価調整やバリュー相場、さらにはいろいろな理由をつけて売られている小型株なども一方的なトレンドとして捉えると、どこで方向転換するのかにも注意が必要です。それは、投資家にとってはリスクであり、リターン獲得の機会とも言えるかもしれません。

  本コラムでは日本株式運用チームのファンドマネジャーやアナリストが毎月入れ替わりで、市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。

 

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