騎手のいない競走馬


先月、あるニュースを目にしました。165回天皇賞・春において、スタート直後にシルバーソニックの騎手は落馬してしまったのですが、シルバーソニックは騎手なしでレースを続けたのです。 その馬はなんと2位でレースを終えました。ルール上、騎手がいなかったので失格となりましたが、私は馬の勝利への執念に感銘を受けました。

私は、この話に投資との類似点があると思いました。 理想的な世界では、最高の騎手と最高の馬の組み合わせが存在し、そのコンビが勝つことが期待されます。時には良い騎手が悪い馬に乗ることもありますが、これはリスクが高いです。一方でシルバーソニックは、良馬は騎手の良しあしによらず、また、そもそも騎手を必要としないことを示したのです。

投資において、馬はビジネスであり、騎手は経営陣です。 負け馬にも二種類あり、単に太りすぎか訓練されていないだけで改善が見込める馬と、改善が見込めない馬です。後者は、どんな騎手が乗っても勝てる可能性はありません。 同様に、一部の企業ではバランスシートが大きすぎたり、経営陣の事業や財務指標に対する理解が不十分であったり、優れた騎手、すなわち優れたCEOを起用することで企業が改善する可能性があります。私がカバーしている化学セクターでこのような例はいくつか見ることができ、一部のCEOは業績の悪い伝統的なビジネスを売却し、「馬」を強くしています。

シルバーソニックの例に戻ると、シルバーソニックは経営陣の質に関係なくうまく運営できるビジネスです。これらのビジネスは強力な参入障壁を有しています。 この参入障壁は、一般的に規模、技術、ブランド、ネットワーク効果、独占資産、その他の特性などによって築かれています。この参入障壁が高い営業利益率と高いROICをもたらしているのです。

私がカバーしている化学セクターに戻りますと、明確な勝ち組企業の条件は、高い技術力を持ち、顧客が必要とする材料を供給できる唯一または数少ない企業の1つであることです。化学セクターの顧客にはテクノロジー(半導体、ディスプレイ、LiB)分野、バイオテクノロジー分野、化粧品会社がいます。テクノロジー分野の企業は、高い生産歩留まりを享受し、最高の性能を得るために最高品質の材料が必要としています。バイオテクノロジー分野における顧客は一般的にコストよりも品質、時間、GMP認証に関心を持つ製薬会社などです。化粧品企業は保湿、アンチエイジングなどの特定の機能を必要としており、特定の原材料も必要としています。このように顧客から要求される高い技術水準に加え、多くの場合、製品はサプライヤーと顧客によって共同開発されているため、競合他社が市場に参入することをより困難にしています。このような参入障壁に裏打ちされた良馬は、不必要に太らせる騎手、すなわち無意味なM&Aや資金調達などをする経営陣を連れてこないかぎり、一人でも走り続けることができるはずです。

  本コラムでは日本株式運用チームのファンドマネジャーやアナリストが毎月入れ替わりで、市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。

 

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