働き方改革とマネジメントの質


好きな日に連絡無しで出勤・欠勤することができ、出勤・退勤及び休憩時間は自由、そのすべてにおいて報告は禁止とする『フリースケジュール制』。昨年、WORK DESIGN AWARD (SmartHR主催)のグランプリを受賞した海産物加工会社の取り組みです。在宅勤務が不可能な、数十名の工場勤務の職員が対象の制度ですが、 導入後5年の間、日々人員不足による欠品もなく、離職率は0に低下し作業効率が上昇する効果が出ています。シフトを組んで従業員を管理しなければ、生産性が上がらないと通常考えられている工場での働き方の大変革といえます。この例に限らず、働き方改革は、コロナ禍を経て加速度的に進んでいます。

多くのオフィスワーカーは、在宅勤務を余儀なくされた結果、多様な働き方の可能性に気付き、ライフ・ワークバランスをより重視するようになりました。Gallop社の調査では、コロナ後、米国人の労働者の半数以上は、仕事に特段の熱意を持たず、必要以上に働かないquiet quittingの状態となったとしています。調査結果を読み解くのは簡単ではありませんが、人生における人々の優先事項の変化を示唆しています。このような労働者の意識変化に対し、雇い主である企業の対応は爬行色の強い試行錯誤の段階です。

Back to Officeを宣言する投資銀行、完全在宅勤務を定着させるIT企業など様々でありますが、大方は、世の中のコンセンサスを追いつつ、従業員からの不満を最小限に抑えられる、消去法的な働き方改革をトップダウンで進めているように見えます。しかし、この変化の流れを大きなチャンスと捉え、本質的な変革を実行できるかどうかで、企業の中長期的な競争力に大きな差が出てくると予想します。働く時間と場所の柔軟性を深化させるため、競争力の重要な要素としてのデジタルトランスフォーメーションが必然的に加速し、また様々なライフスタイルを持つ従業員の雇用を通じダイバーシティが促進され、環境の変化に対応できる革新的な商品やサービスを生み出せる人材プールが醸成されます。

このようなポジティブな効果の出る改革は、業種や企業文化などにより最適解は異なりますが、重要な共通ポイントがいくつかあると考えます。第一に、仕組みの構築にあたり、個々の従業員の意見を吸い上げ、そのライフスタイルを把握することです。冒頭の水産会社をはじめ成功例とされる改革は、民主的なプロセスによるものが多くみられます。また、職種によって異なりますが、集中を要する個人作業時間と、集合知を生かすコラボレーションの時間の望ましい比率を探ることも重要です。これらの要素に、長期企業戦略に基づく方向性を加味できれば理想的です。

働き方改革への取り組みは、企業のマネジメントが、従業員をどのように処遇しているか、また事業の本質と事業環境の変化をどれだけ理解しているかを示す試金石となると考えます。私達が日々取り組んでいる、サステイナブルな成長を遂げる会社の発掘に際しても、今後ますます重要性を増すチェックポイントと認識しています。

  本コラムでは日本株式運用チームのファンドマネジャーやアナリストが毎月入れ替わりで、市場や業界での注目点、気になった話題などをご紹介します。

 

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