2020年市場見通し

グローバル株式


アレックス・テダー

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グローバル株式・米国株式ヘッド兼CIO

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  • 米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱などの政情緊迫化に引き続き注目が集まり、悲観的な市場センチメントによって世界的に設備投資と成長が鈍化する状況が続くと予想されます。
  • 株式市場において相対的に安全・安定とされるセクター(例えば、公益事業、不動産、生活必需品等)と、世界の貿易に関わるセクターとの間にみられる乖離が拡大しています。
  • 株式市場にノイズが多くある中でも、気候変動、エネルギーの転換、サステナビリティ、ディスラプション(創造的破壊)、革新的変化が起こりつつあるヘルスケアなどのグローバル・テーマに関連する分野が魅力的な投資機会として広く認識されると予想しています。

 

2019年は世界の経済成長は減速しましたが、貿易摩擦や政治情勢の混乱を背景にこの傾向は2020年も継続するとみています。経済指標は世界の多くの国で悪化を示す内容となっており、中でも製造業とサービス・セクターの景況感を示す購買担当者景気指数(Purchasing Managers' Index: PMI)が顕著です。

米中貿易摩擦問題が長期化していることから、市場の信頼感やセンチメントが悪化しており、先行き不透明感による影響が当該国以外の国々の株式市場に波及しています。米中間の対抗措置の応酬において、市場主導型経済の米国に対して統制型経済の中国は、米国からの輸入削減等の素早い反応を見せました。米国の輸出セクターは内需と比較すれば大きくはないものの、貿易摩擦の影響は輸出関連企業の設備投資の減少に鮮明にみられます。この傾向は2020年も継続する可能性が高く、特にドイツや日本等の世界貿易との関連が高い国においてその影響が顕著にみられると予想されます。

米国を除く先進国は利下げ実施余地が乏しい

米国は2019年に政策金利の引き下げを3回行いましたが、それでもまだ追加利下げを実施できる余地がある数少ない先進国のうちの1つです。更なる利下げによって経済成長に効果がみられるか、については今後見極める必要があるでしょう。世界の多くの国や地域(例えば日本、ユーロ圏、スイスなど)では、既にマイナス金利となっています。なお、ロシア、ブラジル、インド、中国等のエマージング諸国については、政策金利が相対的に高い水準にあることから、利下げを実施する余地があります。

一方で、景気刺激策として財政支出をする余地がある国は多くあります。韓国、ドイツ、オランダは財政出動を行う余地があるにも関わらず、躊躇しているか、若しくは財政規律に憲法上の制約を維持していることから実施が難しい状況になっています。緊縮財政を実施した国(例えば、スペイン、ギリシャ、イタリア、英国)や、政権交代があった国(例えば、ブラジル、メキシコ、東欧の一部諸国)は、政策を転換し財政を拡大させると予想されます。

株式市場が注目する分野は徐々に変化

市場センチメントは悲観的なマクロ経済見通しを織り込んでおり、2019年の企業利益予想の全体的な水準は切り下がっています。米国企業の7-9月期の利益見通しは、前年同期比の水準から約4%低下したものの、特にエネルギー・セクター等の景気循環に連動するシクリカル・セクターを除けば事前予想に比べればよい水準でした。シクリカル銘柄は、経済全体の変化の影響を受けやすい銘柄です。期待リターンが低く、バリュエーションは歴史的水準でみると極端に割高ではないことから、見通しの不透明感が強い環境においても、株式市場は相対的に堅調な推移を継続しているのであろうと考えています。

短期的には、米国経済は好調な勢いが続く可能性が高いとみています。しかし、2020年に向けて、生産能力の制約(完全雇用の状況において生産する製品の量の上限等)の要因や、コストの上昇、また設備投資の延期等が徐々に景気減速の条件になると予想されます。これらの条件は、例えば秋の選挙での民主党候補が当選すればヘルスケア等の業種に大きな影響を与えるなどのように、政権交代によって悪化する可能性があります。米国企業の利益率は(エネルギー・セクターを除けば)記録的な高水準にあり、ここから長期的には低下傾向になると予想されます。米国企業はS&P株価指数の構成企業でみると利益見通しが前年比で+11%の成長率を示していますが、これも高く見積もった水準であるとみています。

これとは対照的に、景気後退入りした国や、景気後退に近い国(例えば、ドイツ、日本、英国、オーストラリア等)の経済においては、見通しが見えづらくなっています。米国以外の国においては経済が好転する力強いきっかけが見えない状況となっています。そのような中で、市場で選好の対象外となっていたシクリカル企業、特に今後10年間に対処すべき課題を見据えて企業改革等の対策に注力している企業は、株価のアンダーパフォームが続いたこれまでの長い期間を経て、再び投資家の選好の対象となり、株価が上昇すると予想しています。

グローバル・テーマに関連する分野は長期的に魅力ある投資機会

世界経済に影響を与えている先行き不透明感が強いことから、経済状況の結果の振れ幅が大きくなるとみています。過去10年間においてS&P株価指数の収益率は250%に達し、またグローバル株式の株価指数も2倍以上となっており、今後の株式市場のリターンはこれまでより控えめな水準になると予想するのが妥当であると考えます。このような背景から、投資家は長期的な観点からはっきりとした投資機会を示し、多くの場合に伝統的な株価指数とは無相関に動くグローバルのテーマに注目することが有効であると考えています。

例えば、世界の平均気温の上昇が急速に進んでいるという現実が政策決定者をはじめ広く人々に認識されてきた一方、気候変動問題への取り組みに必要な金融の規模は依然として大幅に過小評価されています。国連の組織である気候変動に関する政府間パネルIPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change)で「安全」を脅かさないと定義された基準として、世界の平均気温の上昇を摂氏2度までに抑えるために、温室効果ガスの排出削減への取り組みに必要な支出額は、今後10年間において毎年少なくとも2兆ドルまで増加する必要があると試算されています。このコストは政府、消費者、企業が負担することになります。

サステナブルな活動へ転換することは多くの企業にとって有益になると予想されます。エネルギーの転換は既に本格化していますが、米国をはじめ政府からの支援は十分ではないとみています。幸いなことに、伝統的な発電能力と比較して風力発電や太陽光発電のコストが低下し圧倒的な優位性が確立されつつあることは、経済合理性に基づいて多くの再生可能エネルギー会社にとって業績向上につながるとみています。

将来は電動に

自動車業界でも同じ状況がみられ、多くの国で規制の枠組みが追い風となる中、今後数年間で電気自動車の販売が拡大すると予想されます(例えば、ノルウェーではガソリン・エンジン車の新規販売は2025年までに完全禁止される予定となっています)。ただし、究極的には製品・サービスそのものの魅力度によって需要の大きさが決まるでしょう。消費者がEメールや携帯電話、ネット・ショッピング等を選好していったのと同様に、電気自動車においても更に改良が進み魅力的になるに従って、消費者の選択も確実に移行すると予想しています。

気候変動は広く多くの人々が認識している数多くのテーマの一つに過ぎません。この他に、サステナブル、技術革新、自動化、都市化、人口動態の変化等があり、いずれも長く続く「避けられない真実」である一方、ディスラプション(創造的破壊) が起こる世界において、ますます影響力が強まっています。投資家にとっては、伝統的な株価指数対比の運用だけではなく、資産の一部を構造的に成長する可能性がある分野への投資に振り向けることが有効であると考えています。その意味で、前述のグローバル・テーマは構造的成長が見込まれ機が熟した投資機会と言えるでしょう。

 

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