プロの視点

プライベート・アセット


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  • 2021年も投資家が、良好なリターンを持つ資産への投資を引き続き追求するため、プライベート・アセットは投資資金を惹きつけると想定しています。
  • プライベート・アセットはそのような期待に十分に応じることができると考えていますが、その達成には、投資機会へのアクセスの難しい分野や専門的なスキルに注目する必要性がますます高まると考えています。

足元でのワクチンの開発の進捗により、投資家はパンデミック危機を超えてプライベート市場の長期的な投資機会の見通しに注意を向けることができるようになりました。プライベート市場は、相対的には回復力はありますが、Covid-19によって引き起こされたより広範な経済減速とは無縁ではありませんでした。足元までの実績を見る限り、業界全体で2020年のファンドレイジング額は落ち込みました。今後、数四半期にかけて更なる経済的苦痛が予想されます。しかしながら、私たちの経験に基づく想定では、多くのプライベート市場は、その特徴でもある安定性を示し、良好な価値創造の機会が出現すると考えています。

今回の危機の真っ只中に実施した私たちの調査では、投資家が2021年もプライベート市場により多くの資金を割当てることを計画していることが示されています。実際、今後5年間でプライベート市場の規模は2倍になると予想されています。2021年が開始するとともに市場規模の拡大余地があると確信しています。投資家をプライベート市場に惹きつける要因でもある追加的なリターンの獲得機会は、投資機会へのアクセスが難しく、詳細な専門知識を必要とする傾向がより高まるなか、今後も存在すると予想されます。

以下では、シュローダーのプライベート市場ビジネスの専門家が、足元の市場における課題と2021年(およびそれ以降)の投資機会についてのそれぞれの見通しを説明します。

 

プライベートエクイティ:

ニルス・ロード, CIO, シュローダー・アドベック

プライベートエクイティは、2008年から2009年にかけて発生した世界金融危機時と同様にCovid-19危機においても安定性を示しました。グローバル株式市場は、2020年第1四半期に20%以上下落しましたが、バイアウト投資戦略においてはその約半分しか下落しませんでした。ベンチャーキャピタル戦略のバリュエーションは更に大きな回復力を示し、株式市場が大幅に修正されてもほとんど変化しませんでした。

2021年にかけてワクチン開発の進捗による経済正常化への復帰が想定される中、プライベートエクイティはCovid-19危機後に果たしてどのように推移するのでしょうか。過去12か月は幸いなことに良好に推移したもののそれぞれの資産クラスに適した長期的な視点が依然として重要であると考えています。

長期的な視点からは人口動態と成長の点で世界は非常に異なるスピードで動いています。さまざまなリターンドライバーが存在することを考えると、プライベートエクイティはこのような状況に非常に適しており、様々な方法で付加価値を生み出すことができます。この点は、特に実質金利がゼロもしくは非常に低い環境にある足元では殊更重要であり、長期間にわたって当てはまる可能性があります。

プライベートエクイティはまた、長期的成長または経済動向と感応度の低い成長機会を捉えるのに適しており、上場株式市場を通じてアクセス可能となるよりも早い段階からそれらの成長機会にアクセスすることが可能です。

最後に重要なことですが、投資管理の特性と長期間にわたるデューデリジェンスプロセスを背景として、プライベートエクイティは、財務目標だけでなく、昨今重要性の高まるESGおよびインパクト目標を達成するのに適しています。

これらすべての要因がプライベートエクイティ投資に支援的ですが、1つの大きなリスクがあります。それは市場において過度な資本流入の懸念があることです。ますます多くの投資家が非流動性を受け入れ、積極的に投資するようになっているため、測定が困難ではあるものの一般的には非流動性プレミアムが低下していると考えるのが保守的な姿勢となります。

そのため、専門的な経験を必要とし、アクセスが困難な市場セグメントに見られる「複雑性プレミアム」を享受することがより重要になると考えています。これらは複雑性の高い投資案件は、引き続き、付加価値が得られる分野であると考えられ以下のような事例があります。

  •  小型バイアウト
  •  新興マネージャー
  •  少数のLPマネージャーによる直接投資/共同投資
  •  特殊な状況下でのセカンダリー投資
  •  ターンアラウンド
  •  シードおよびアーリーステージのハイテク、バイオテクノロジー投資
  •  アジアのアーリー・グロース投資および中国のRMB建てオンショア投資

投資家がこれらの変化する市場ダイナミクスを念頭に置き、プライベートエクイティのポートフォリオを幅広い要因からなるリターンドライバーとして位置付ける限り、2021年もプライベートエクイティへの投資は非常に魅力的なものであると考えています。

 

インパクト投資: 

フィリップ・ミュラー, CEO, ブルー・オーチャード

エマージング市場は、Covid-19パンデミックにおいて懸念されていたよりも堅調に推移しました。貿易および観光業への打撃、商品価格の低下、海外直接投資(FDI)の減速が相まって特に途上国の経済は甚大な損害を受ける可能性があると当初懸念されていました。

しかしながら全体としてパンデミックに対するエマージング市場の対応は効果的であったことが証明されました。都市封鎖政策は殆どの国で一貫しており、税金の支払繰延べ、公的部門による融資、企業への資本注入など財政的な支援措置が取られました。また、米ドルが下落したことや政策金利の引下げ、流動性ファシリティの導入、預金準備率の引下げなどの一連の金融緩和政策がポジティブに寄与し、エマージング市場の悪化は限定的となりました。2021年に向けて世界の需要は素早く回復し、新興国経済は回復に向かうと予想されます。マクロ経済予測では、2021年のエマージング市場のGDP成長率は前年度比でプラスに転じると想定されています。

それでもパンデミックは、世界の貧困率を高め、途上国の労働市場に甚大な打撃をもたらすなど、持続的な影響を及ぼします。一部ではワクチンの開発が進捗していますが、冷蔵設備へのアクセスの安定性が低いエマージング市場では、ワクチンの流通に課題が残ります。

世界が正常状態に戻るにつれ、資産運用会社がどのように対応するかがエマージング市場においてCovid-19危機による後遺症がどれほど継続するかに大きな影響を及ぼすことになります。途上国経済における小規模な借手を支援しながら投資家が利益を享受することができる投資機会は多く存在すると私たちは考えています。

私たちが協業している多くのマイクロファイナンス機関は、当初に予想されていたよりもはるかにパンデミック危機に対して耐性を示しました。適切に管理されたマイクロファイナンス機関は、必要とされる資金流動性と自己資本比率を維持することができるはずです。インドなどの一部の市場では、パフォーマンスの高いマイクロファイナンス機関は、需要が回復するにつれて市場シェアを拡大できる可能性があります。さらに米ドル安は、ドルで借入れた債務負担を軽減する可能性があります。

また、インパクトボンドは、先進国市場における投資適格社債と比較し、引き続き、魅力的(相対価値のある)な利回り水準で取引されています。それらの特殊な債券への投資がどのような付加価値をもたらすかについては、選択的に見極める必要性がありますが、ソーシャルボンド、インパクトボンド、グリーンボンドの市場がそれぞれ継続的に成長するにつれ、潜在的に提供することができるアウトカムの範囲は拡大していきます。

足元では成長の機会が限られており、資金回収が通常よりも遅れていることに鑑みると、多くのマイクロファイナンス機関は、望ましい水準に満たない準備金で2021年を迎えることになるでしょう。場合によっては、目標としている資本水準を維持するために資本注入が必要になり、これにより、特にプライベートエクイティ投資にとって支援的な投資環境が生まれます。Covid-19危機によってビジネスモデルへの短期的/中期的な影響に関連するリスクがありますが、魅力的な価格設定を伴う投資機会が提供され、リスクについても適切に理解され、管理可能なものであると考えられます。

最後に、今回のCovid-19パンデミックは、気候変動への対応など長期的なテーマの重要性を低下させてはいません。世界人口は増え続けており、私たち一人一人がより多くを消費しています。2021年以降、世界経済の回復を実現する上でも、インフラストラクチャーの開発を目的とした投資は、エマージング市場における持続可能な成長戦略の主な推進力となると考えられます。エネルギー部門、特に再生可能エネルギーは、投資家の注目を引き続き集めています。エマージング市場の人口は、すでに世界全体の65%を占めており、急速に増加しています。このような傾向は、地球上の全ての人のために持続的なインフラストラクチャーの開発に対する需要を生み出します。

 

欧州不動産: 

マーク・カレンダー, ヘッド・オブ・リアルエステート・リサーチ

足元で進捗するワクチンの開発は2021年半ばまでにCovid-19危機がコントロール可能になるという希望を意味します。しかしながら欧州の不動産市場が単に2020年初の状態に完全に戻るとは考えられません。パンデミックは必然的にニューヨーク、ロンドン、パリなどのゲートウェイ都市に最も深刻な影響を及ぼし、都市化が逆転するのではないかという憶測につながっています。1920年代、スペイン風邪に感染拡大後、一部の人口は地方に引っ越しました。一方、都市に流入する人々も存在しました。特に住宅がより手頃な価格になった場合、同様のことが再び起こる可能性があると考えています。

都市は、交通機関への接続性、主要な大学や病院が存在すること、主要な文化および娯楽の観点から優位性を維持すると想定しています。これは、都市がクラスター化することで優位性を発揮する高度なスキルを持つ人々や企業(金融、IT、専門サービスなど)を継続して惹きつけるであろうことを示唆しています。

Covid-19危機は明らかにオンライン・ショッピングの成長を加速させており、サプライチェーンの混乱は、製造業者と小売業者がより多くの生活必需品の在庫を抱える可能性が高いことを意味します。今年、欧州において約2,500万平方メートルに相当する記録的な水準での倉庫の賃貸が実施されました。一方で、小売業における倒産の波や3〜5%の空室率上昇、および食品以外の小売店における10〜15%の賃料低下も予想されます。このような二極化はさらに数年間続くと想定されます。欧州の主要な物流施設物件の利回りが3.5〜4.25%に低下したことを考慮すると、投資家にとって重要な問題設定は「どの時点で倉庫の賃料上昇への期待が楽観的すぎるものになるのか」です。

Covid-19危機が将来のオフィス需要に与える影響は曖昧です。一方、パンデミックは在宅勤務を正当化し、スタッフは柔軟性のある働き方を好みます。企業はオフィススペースを削減することでコストを削減できます。一方、多くの従業員が週に3、4日オフィスでの勤務を選択した場合、雇用主は大量のスペースを維持する必要があります。在宅勤務は、中期的にはイノベーションと職業訓練の機会を阻害し、生産性を低下させるという懸念もあります。欧州のほとんどの都市では、今後18か月でオフィス賃料が約5%下がると予想されています。ただし、2022年以降、都心部や大学近郊の質の高いオフィスへの需要は回復すると見込んでいます。新しいテクノロジーによって需要が損なわれる可能性が高いバックオフィスのスペースについてはより慎重な見方をしています。

最後にCovid-19危機の最も重要な教訓の1つは、投資家はすべての不動産が運営型資産であることを理解する必要があるということです。家主とテナントの関係が、四半期毎の賃料請求を超えて完全に長期のリース契約にのみ基づいていると考えることは近視眼的です。テナントの事業が変化している場合、または市場が構造的に機能不全に陥っている場合、単に賃料を支払う側に発生した問題ではないことが多くのセクターで明らかになっています。

固有のオペレーショナルリスクを理解することで投資家は将来のパフォーマンスに対してより適切な理解ができるようになります。クライアントのビジネスを深く理解している投資家は、ホテル、小売、オフィス、生活、ロジスティクスの分野において、すべての関係者に良好な結果をもたらすことができると考えられます。このような「ホスピタリティ」を理解するアプローチを採用している投資家は、回復の恩恵を最初に享受することができる可能性があります。

 

インフラストラクチャー:

ジェローム・ネイロウド, ヘッド・オブ・インベストメント、インフラストラクチャーデット

Covid-19危機は、ここ数年、インフラストラクチャー投資をサポートしてきた脱炭素化、デジタル化、低金利環境などの主要な投資テーマを拡大および加速させました。足元では脱炭素経済への移行とESGを意識した投資アプローチに取り組むことがますます必須になっています。インフラストラクチャーは、再生可能エネルギーと電動化されたモビリティへの新規投資(電気自動車の充電所など)において重要な役割を果たします。それ以上にインフラストラクチャー投資は、既存のインフラストラクチャーを改善し、より効率的でスマートなネットワークを構築し、目的に合ったデジタル・インフラストラクチャーを整備する上で重要な役割を果たします。

Covid-19危機は、デジタル・インフラストラクチャーへの投資が不可欠であることを明らかにしました。特にCovid-19危機後の在宅勤務の必要性を考慮すると尚更です。デジタル・インフラストラクチャーは最早、あれば望ましいものではなく、すべての人々の日常生活に水や電気と同じくらい不可欠になっています。経済のデジタル化と仮想化も私たちの旅行方法に影響を与え、空港インフラストラクチャーはCovid-19危機の影響を受けています。ただし、バリューチェーンでの他の事業者(航空会社、空港サービス業者、ケータリング業者、旅行代理店)と比べると悪影響は大きくはありません。

約20年の長期の投資期間を持つインフラストラクチャーは、Covid-19危機に対しても耐性があり、それらに耐えられない可能性があるビジネスサイクルが5年程度の企業よりも優位なポジションにあります。Covid-19危機により、負債は急増していますが、引き続き、リスクフリー・レートはゼロに近いかマイナス水準にあります。2021年にはインフラストラクチャー投資(シニアデット、ジュニアデット、エクイティ)が、利回りを求める投資家にとって魅力的な投資対象となり、予測可能で安定したキャッシュフローを提供すると考えています。

 

保険リンク証券:

ステファン・ルオフ, ヘッド・オブ・保険リンク証券

殆どの投資家にとって2020年はCovid-19危機の年として記憶されています。しかし、保険リンク証券への投資家である弊社を含め、保険リスクの移転ビジネスに携わる人々にとっては、2020年は、大西洋での記録的な数の命名された風災、非常に多くの山火事、米国での激しい風災、アジアでの台風が発生した年でもありました。

Covid-19に関連した保険請求の観点からも多大な影響があり、特に事業中断と死亡超過リスクにおいて影響が見られました。ただし、一般的にその影響の規模は小さく、保険リンク証券は、予想通り、パンデミックの影響を殆ど受けませんでした。実際、非常に多くの自然災害が発生したにもかかわらず、これまでのところ、当資産クラスは全体的に良好に機能し、パフォーマンスは期待通りに推移しています。実際、大西洋の中でも米国において風災が多く発生しましたが、人口の多い地域に上陸したものはありませんでした。 

保険リンク証券の2021年の見通しはポジティブです。世界の再保険市場はファンダメンタルズ面で修正され、2021年以降もその動きが継続すると予想されます。近年、非常に高い水準で自然災害が発生し、2017年はこれまで最も大きな損失を生んだ年となりました。

このことは最終的に一部の再保険会社と保険リンク証券マネージャーにとって損失をカバーする準備金が十分ではないことを意味し、これは2018年にかけて露呈しました。

長期にわたって「ロス・クリープ」(時間の経過と共に拡大する損害)が発生する原因は気候変動の影響を最も受けた災害エクスポージャーに関するモデル化の精度が不十分であったことです。これはプライシングの改善に向かう傾向を引き起こしました。これらの課題は、改訂された契約条件とストラクチャーを通じて市場において積極的に対処されました。プライシングは2020年に上昇を示し、Covid-19のパンデミックによって資本の利用可能性に制限が掛ったことによる追加的な影響も相まって、その後も上昇を続けています。

この損失準備金の補充によるバランスシートの弱体化、および、持続的な低金利環境による(再)保険会社の投資収益の減少により、格付機関は業界見通しについてややネガティブな見方をしています。このような見方により、保険会社には収益改善の圧力が存在し、強力な改善行動が取られ、新規の資本流入や保険引受条件の改善されることで、ここ10年間において保険リンク証券が、最も魅力的な利回りレベルを提供する局面に入ると考えています。

 

 

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