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2022年市場の見通し(グローバル転換社債(CB))


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  • 株式市場に対する追随力を発揮しづらい市場局面となった2021年はいよいよ終わりを迎えます。
  • 2022年、新発債市場は引き続き活況となることが予想されます。
  • ボラティリティ(資産価格の変動)の高まりが予想される2022年において、転換社債(CB)は抵抗力を発揮すると考えます。

新型コロナウイルスのオミクロン変異種の出現により再び都市封鎖の懸念が高まる中、グローバルの市場は、不安定になっています。この不透明な環境下において、CBは株式市場に対する下値抵抗力と上昇時の追随力を併せ持つ魅力的な資産です。

2021年、CBはやや活気を失っていました。グローバル株式市場は、MSCIワールド指数で見ると、年初来11月末時点までに12.4%上昇しました。従来、バランス型のCBは株式市場の上昇に対する追随率は60%以上となりましたが、CBの代表的な指数であるRefinitiv Global Focus 指数においては、同期間の騰落率は米ドルベースで-0.3%の下落となりました。これは2020年の+23%という記録的な上昇を見せた後の減速であると考えます。

同時にCBは強い抵抗力を発揮しました。9月、インフレ懸念を背景とした株式市場の下落時には、CBは株式市場の下落に対して60%程度の下落にとどまり、下値抵抗力を見せました。11月末、新型コロナウイルスのオミクロン変異種が確認された際の市場調整時も、同様の特性を発揮しました。株式市場におけるボラティリティの高まりが予想される2022年において、CBはその下落局面での効果的な特性を発揮し、安心感を提供してくれると考えます。

2020年の良好なパフォーマンスと2021年の動向を振り返ると、2020年以降のCBのリスク調整後リターンは説得力があるように見えます。長期的には、CBという資産クラスは、下値抵抗力と上昇追随の組み合わせを提供しています。

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増加する新規発行量がカギ

2020年に始まり、今後も続くと思われる重要なトレンドの1つは、新規発行量の増加です。

企業は借り換えを行うため、競ってCBを発行しています。2021年、記録的な額となる1,700億米ドルの新規CBが発行されました。2022年は約1,650億米ドルになると予想しています。新規発行が多く見られる中、現在、CBのグローバルでの残高は7,000億ドル近くまで成長しています*。

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通常、株式市場の上昇時において、CBの市場価格は適正価格を約3-6%上回る水準まで上がる傾向があります。しかし、足下では、活発な新発債市場によって需給環境に歪みが生じ、この動きは発生せず、バリュエーションは低く抑えられています。供給量は高水準にある中、広範なミスプライシングが発生していると考えます。特に米国のテクノロジーセクターの銘柄において割安感は顕著となっています。

このバリュエーションの乖離は、市場の上昇時、下落時、いずれの場合においても相対的に良好なパフォーマンスを提供します。株式市場が下落すれば、下値抵抗力が強まり、現在の割安の状況はさらなる緩衝材の役割を果たします。また、もし株式市場が引き続き上昇をすれば、CBは現在のバリュエーションの乖離から通常値に戻る動きとなることを期待します。

歴史的に、CBの新発債市場は活動的であり、波の様に特定の業種にフォーカスされます。例えば、2020年にはITセクターによる新発債が占め、堅調な動きとなったNASDAQ市場において大量のCBが発行されました。この傾向は2021年も継続し、ITセクターによる発行は全新発債の20%以上を占めましたが、来年以降、この傾向は変わり、その他の業種でも発行が見られると考えます。

サステナビリティとESGはますます顕著に

世界の気温上昇を1.5度に抑えるというパリ協定の目標を達成したいという意思があれば、世界の環境変化を可能にし、貢献する企業への投資が必要となります。今後、CBの発行セクターに関しては、素材、エネルギー、設備投資へのダイナミックなシフトが起こる可能性があります。インフレが長引くと、これらの業種において投資資本が必要となるため、比較的簡単にCB市場で資金調達が可能となります。

持続可能性、ESGのテーマにはさまざまな要素があります。インフラ、フィルター、電池、およびその他の一連の技術機器を作り上げるだけでなく、必要となるリチウム、銀や銅の採掘資金、そして移行には電力を要する為、ガスや原子力発電所の建設資金が必要となります。

当社の専門家は、2030年台初頭には、グローバルのGDPの2%超の資金をESGの移行に充てる必要が生じると考えます。企業は、ESGに移行するための資金調達を試みるため、CB投資家にとって投資機会が豊富に提供されると考えます。

2022年:CBが特性を発揮する年

2021年後半、株式市場は高値を更新しましたが、良好なパフォーマンスは、一部の少数の企業の業績に寄るもので、市場全体での幅広い動きではありませんでした。同時に、サプライチェーンの問題、新たな都市封鎖やインフレ懸念、中央銀行のテーパリングと金融引締め、エネルギー問題、レバレッジが高水準となっている株式市場など、市場調整のきっかけとなる要因は多数存在しているにもかかわらず、市場は不合理といえる上昇を受け入れた形となりました。

これにより、2022年は、株式市場の後退が見られ、ボラティリティが高くなる可能性があります。このような場合、通常全ての資産が売られ、株式、債券、CB、金その他のリスク資産価格は下落するということを意味します。

2022年、すべての資産が無差別的に売られる局面が到来しても驚くことではありません。この様な状況下では、資産の分散投資効果は無くなります。このようなケースにおいて、セーフティーネットが組み込まれたCBは、下落時における衝撃を自ら緩和することが出来る資産クラスです。2022年、CBはその特性を大いに発揮する重要な年となり、価値ある資産クラスとなるでしょう。

 

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