経済&市場見通し(定期)

マクロ経済見通し 2019年11月

シュローダーのエコノミスト・チームによる、マンスリー・マクロ経済見通し

2019年11月7日

アイリーン・ラウロ

アイリーン・ラウロ

エコノミスト

クレッグ・ボサム

クレッグ・ボサム

新興国市場エコノミスト

ピヤ・サチャデワ

ピヤ・サチャデワ

エコノミスト

基本シナリオ
 世界

2019年の世界経済の成長率については2.6%、2020年には2.4%と世界金融危機以降最低の水準まで減速すると見込んでいます(2018年は3.3%)。インフレ率については、2019年は2.5%、2020年は2.6%を見込んでいます(2018年は2.7%)。

 米国

2019年の米国経済の成長率は2.1%と考えていますが、2020年は1.3%に減速すると見込んでいます。直近、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利の引き下げを行ったことから、年内は更なる政策金利の引き下げの可能性は低下したと考えていますが、米中貿易摩擦の影響や、景気刺激を企図した財政政策の効果が薄れ、経済が減速するのに伴い、2020年前半に2回の利下げを実施するとみています。

 英国

2019年の英国経済の成長率は1.1%、2020年は1.0%に減速すると見込んでいます(2018年は1.4%)。またインフレ率については、2019年は原油価格の低迷により1.8%に低下、2020年は経済成長の低迷やブレグジット(英国の欧州連合(EU)離脱)をした場合に、その後の英ポンドの回復が見込まれることから、1.9%程度に抑制されると見込んでいます。また、イングランド銀行(BOE)は、2020年7-9月期に利上げを実施すると予想しています。

 ユーロ圏

2019年のユーロ圏経済の成長率は、米中貿易摩擦等の影響から1.1%に減速すると見込んでいます(2018年は2.0%)。2019年のインフレ率については、原油価格の低迷により、引き続き物価目標を下回る推移が見込まれるほか、コアインフレ率についても、低調な経済成長につき、上昇は見込まれないと考えます。その中、欧州中央銀行(ECB)は、2019年末までに中銀預金金利を-0.6%に引き下げ、当面は量的緩和を維持すると考えます。

 日本

2019年の日本経済の成長率は1.2%に上昇すると見込んでいますが(2018年は1.1%)、今年10月には消費税増税が実施されており、増税に伴う消費の鈍化など経済活動への影響も予想されることから、2020年の成長率は-0.1%を見込んでいます。インフレ率は2%以下での推移が見込まれますが、円高進行や貿易摩擦の動向を背景に日本銀行は今年12月に利下げに踏み切る可能性があると考えます。

 エマージング諸国

2019年のエマージング諸国経済の成長率は、米中貿易摩擦の激化を背景に4.2%に減速すると見込んでいますが(2018年は4.8%)、2020年については中国以外のBRIC諸国経済の回復を見込むことから4.5%にやや回復する見通しです。長期化する米中貿易摩擦の影響は中国にとってマイナス要因ではありますが、先進国の中央銀行による緩和姿勢は、その他エマージング諸国の中央銀行が緩和的政策を実施するうえで支援材料となっています。

今後想定される他のシナリオ

基本シナリオ以外で今後考えられるシナリオを総括すると、スタグフレーション*・シナリオの可能性が高いといえますが、個別のリスクシナリオでは、デフレーション・シナリオである「世界景気後退」が、発生確率が最も高いシナリオであると考えています。次いで、米国が貿易戦争を中国以外の国々にも拡大する、スタグフレーション・シナリオの「世界貿易戦争」が発生確率の高いリスクシナリオとして挙げられます。

*スタグフレーション:景気後退と物価上昇が同時に起こること

 

世界の実質GDP成長率見通し

 

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