マクロ経済見通し 2020年4-6月期


基本シナリオ
 世界

2020年の世界経済の成長率は、新型コロナウイルス感染拡大が需要やサプライチェーンにもたらす影響を加味して2.3%にやや減速すると見込んでいます(2019年は2.6%)。ただし、新型コロナウイルスを巡る事態は収束し、中国をはじめとする各国の経済活動は4-6月期末には新型コロナウイルス発生前の水準に回復すると見込むことから、景気後退には陥らず景気回復の後ずれに留まると想定しています。しかしながら、同影響により2020年の経済成長率は2009年の世界金融危機以降、最低水準となることが見込まれます。一方で、2020年のインフレ率については2.6%程度で安定的に推移すると考えます。

 米国

米中貿易協議を巡る「第一段階」合意文書が正式署名され、2020年内は米中貿易摩擦リスクは抑制されると考えますが、中国は2年間で2,000憶ドル以上の米国産品を追加購入するという合意内容を達成することが困難であることから、2021年には米中貿易摩擦問題が再燃する可能性が高いと見込んでいます。さらに「第二段階」合意に向けた協議は難航が予想され、2021年後半には追加関税が発動される可能性があると考えています。2020年の米国経済の成長率は、ボーイングの737MAXの生産停止や新型コロナウイルス感染拡大の影響から1.6%に減速すると見込んでいます(2019年は2.3%)。2020年のコアインフレ率は2.3%程度の安定的な推移を見込みますが、エネルギー価格は低位で推移すると見込むことから2020年のインフレ率は2.0%程度での推移を見込んでいます。経済成長率の減速や新型コロナウイルス感染拡大の影響から、米連邦準備制度理事会(FRB)は、2020年4月に1回、2021年に1回の利下げを実施すると予想しています。(作成時2020年3月2日時点。2020年3月3日にFRBは臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)にて政策金利を0.5%引き下げました。)

 英国

2020年の英国経済の成長率は、1.1%に減速すると見込んでいます(2019年は1.4%)。英国は欧州連合(EU)を離脱を巡り、2021年の移行期間終了後に向けて産業別に貿易協議を行うことが想定されます。ブレグジットを巡る不透明感が後退するに伴い、経済見通しは改善し2021年の経済成長率は2.2%を見込んでいます。 2020年のインフレ率は、原油価格や経済成長の低迷、英ポンドの回復が見込まれることから1.6%程度に低下すると考えます。2021年にインフレ率は上昇し、イングランド銀行(BOE)は利上げに踏み切ると予想しています。

 ユーロ圏

2020年のユーロ圏経済の成長率については、ドイツ経済の回復やスペイン経済の安定的推移が、イタリア経済の低迷やフランス経済の減速により相殺されると考えることから0.9%に減速、2021年は1.4%に回復すると見込んでいます。また、2020年のインフレ率については1.1%にやや低下すると見込んでいます。これらを背景に欧州中央銀行(ECB)は2020年4-6月期に利下げを実施し、2021年にわたり量的緩和を維持すると考えます。

 日本

消費税増税や新型コロナウイルス感染拡大の影響から、2020年1-3月期に日本経済は景気後退入りすると考えます。2020年後半は経済活動の回復が期待されるものの、2020年の日本経済の成長率は-0.7%を予想しています。また、日本銀行は金融政策を据え置くと考えます。

 エマージング諸国

2020年のエマージング諸国経済の成長率は4.1%を見込んでいます。中国の経済成長率については1-3月期に4.3%に低下し、4-6月期は5%を下回る水準へ、そして2020年後半に6%以上に回復すると考えています。2020年後半にV字回復を見込んでいるものの、2020年の中国の経済成長率は5.5%に減速、2021年には6%に回復すると考えます。新型コロナウイルス感染拡大が供給サイドにもたらす影響で2020年前半のインフレ率は上昇が見込まれることから、2020年のエマージング諸国のインフレ率は4.3%を見込んでいます。また、中国の中央銀行による利下げが期待されるほか、インフラへの財政支出も想定されます。

今後想定される他のシナリオ

基本シナリオ以外で今後考えられるシナリオを総括すると、デフレーション・シナリオの可能性が高いといえます。個別のシナリオでは、デフレーション・シナリオである「米大統領選挙:左派政権の勝利」が、発生確率が最も高いリスクシナリオであると考えています。次いで、同じくデフレーションシナリオの「新型コロナウイルス・パンデミック」が発生確率の高いリスクシナリオとして挙げられます。

 

 

世界の実質GDP成長率見通し

 

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