経済&市場見通し(定期)

マクロ経済見通し 臨時アップデート


キース・ウエ―ド

キース・ウエ―ド

チーフ・エコノミスト

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新型コロナウイルス感染拡大が、世界の経済活動に深刻な影響を及ぼすことが見込まれる不透明感の強い環境下、本レポートでは、新型コロナウイルスの影響を加味し、経済見通しのアップデートを行います。

 

2020年世界経済成長率はマイナスへ

2020年の世界経済成長見通しは-2.9%、2021年は6.9%に回復すると考えます。2020年前半は景気の大幅な後退が見込まれると考えており、現時点では2020年後半には回復することを見込むものの、2020年を総括して見た場合、1930年代以降最低の水準となると考えています。

中央銀行や政府による大胆な経済政策が実施される一方で、政府による新型コロナウイルス感染拡大防止措置の影響で経済活動が低迷している状況です。

新型コロナウイルス感染拡大が及ぼす影響の規模は、中国の経済指標から読み取ることができます。中国では1-2月の小売売上高が前年同期比20%程度の下落、また、同期間の固定資産投資は前年比約25%の減少となっており、これらの数値は、その他の国々において見込まれる影響を測るヒントとなります。

中国での感染者数は、ピークアウトしたとされますが、欧州や米国では今後も拡大が見込まれます。

中国に続き、欧米の主要都市ではロックダウンが実施されており、4-6月期のGDPは10%〜20%(前期比)下落すると考えられます。 1%〜2%の範囲内での変動が通常であり、このような大幅な変動は、戦後の経済では、これまでほとんど見られていません。

 

政策当局による経済支援

足元および今後実施が見込まれる、金融政策、財政政策の影響も経済見通しに加味しています。これらの政策は、経済ダメージを抑えるためのセーフティーネットであり、また金融システムが企業や家計に対して流動性の供給を維持し、経済活動の停滞による影響をキャッシュフローの面で抑えることが重要であると考えます。

これらを行わなければ、一時的な景気後退が、供給サイドに永久的なダメージを与えかねません。仮に、企業破綻が広範にひろがった場合は、経済回復の手段として残された手段は限定的となります。

この観点では、低金利が果たす役割の重要性は低く、銀行が貸付業務を維持できる状況にあることやコマーシャルペーパーやクレジット市場の流動性を維持することの重要度の方が高くなります。

英国では、イングランド銀行による利下げに加え、政府による政府保証付き融資や小売・観光・娯楽業に対する事業税の1年間免税などを含む経済政策などが実施されており、中央銀行および政府双方による英国経済の支援が行われています。

また、米トランプ大統領が検討している国民一人当たり1000ドル以上の給付も、今後失業率上昇が不可避であると考えられるなか、消費を支援するという面で有効であると考えます。

エコノミクスチームでは、欧米で取られている新型コロナウイルス感染拡大防止措置は効果を発揮し、現時点では、夏季ごろには感染者数の増え方は鈍化し、経済は7-9月期に回復局面入りすると考えています。そして、利下げや減税、財政出動などの効果が表面化し始めると見込んでいます。

 

新型コロナウイルス感染再拡大のリスク

一方、ウイルスは変異するものとされており、経済を見通す上でも不透明感を強める要因となっています。

Warwick McKibbinとRoshen Fernando が行った研究では、新型コロナウイルスの変異を含んだ7つのシナリオが想定されており、死者が6800万人にも上るシナリオなども含まれています。

シュローダーのデータ・インサイト・ユニットも、再感染率の高さによって、予想される結果が大きく異なってくることを示唆しています。短期的なリスクとしては、感染拡大防止措置の終了後に再度感染が拡大するリスクが考えられます。

英国政府の当初の戦略は、新型コロナウイルス感染拡大を許容することで「集団免疫」の獲得を狙うというものでした。同戦略に伴うリスクが考慮された結果、同戦略は修正され、他の欧州諸国と同様の感染拡大防止措置が取られることになりました。

ただし、感染拡大防止措置を取るリスクとして、感染の再拡大のリスクが高まること、およびそれに伴い再び今年後半に感染拡大防止措置を取らねばならない状況に陥ることが挙げられます。

このような状況に陥った場合、再び景気は後退することが想定されるほか、今後感染者数が減少へ向かわなかった場合にも、同様の状況となると考えます。

 

欧州危機再燃のリスク

2つ目のリスクは、ウォーレン・バフェットの名言「潮が引いたとき、初めて誰が裸で泳いでいたかわかる」にもあるように、新型コロナウイルスを巡る危機的状況が世界経済の弱さを露呈する可能性です。政府があらゆる手を尽くす中、悲観的に感じられるかも知れませんが、世界金融危機時も、経済の弱さが露呈されたのは、危機が発生した後です。

英国では、すでにファンダメンタルズの弱い企業が破綻し始めています。さらに懸念されるのは欧州危機の再燃であり、コロナウイルス感染拡大が深刻化しているイタリアの財政は、欧州で最も脆弱な国の一つです。財政赤字が欧州連合(EU)が定める上限を超える国々が出てくることが予想され、欧州危機後に実施された緊縮財政のような手段は到底見込まれないと考えられます。現在のような状況が長引く程、見込まれる景気の後退は欧州にとって厳しいものとなると考えられます。

 

 

 

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