中国社債はポストコロナにおける魅力的な投資機会を提供


これまでの数年間で中国の社債市場は大幅に拡大し、世界最大級のクレジット市場に向かって順調に歩みを進めています。一方で直近数か月は、中国が新型コロナウイルス感染拡大の震源地となったほか、米中関係の緊迫化や通商交渉の不透明感等が市場全体のボラティリティ(変動性)上昇の要因となりました。

結果、中国経済は、新型コロナウイルス感染拡大によりその他先進国経済と同様大幅に減速しました。しかし、先進国に比べるとその影響は抑えられ、2020年の国内総生産(GDP)成長率は2%とプラスを維持すると予想されており、2021年には8.6%と力強い回復が見込まれています。

コロナ禍の当局対応に目を向けると、中国の金融・財政政策による支援は、他の国と比べると大規模とは言えません。これは、過去数年間で進めてきたデレバレッジの流れを反転させないために当局が慎重に対応していると捉えられます。世界金融危機後のクレジット・ブームの中で、企業による借り入れが膨らみ、中国における負債比率は増大しました。そのため、直近数年間、当局は負債を管理可能な水準へと抑制するために債務削減に向けたさまざまな対策を実施し、実際に効果が出始めています。

具体例をあげると、シャドーバンキング(銀行システム外のルートでの信用仲介)資産の対GDP比率は過去4年間で低下しています。今後に関しては、新型コロナによって減速した経済の回復を支えるため、金融政策および信用政策は緩和的となっていることから、中期的にレバレッジ比率が上昇することは避けられないとみられますが、上述のような中長期の当局の方針に則り、上昇の勢いは抑制されたものとなるとみています。そのため、金融システムが不安定になるリスクは低いと考えます。

中国の経済構造自体についても、2012年に発足した習近平指導部が経済構造改革を推進し、製造業・輸出主導から国内消費主導への転換を目指した取り組みを実施しています。グローバル貿易への依存を弱め、負債抑制を重視することで、中国経済はより頑健で回復力の高い構造へと進化してきています。

このようなマクロファンダメンタルズの強化は債券にとってプラスの材料である一方、足元の債券価格は割安な水準になっているとみています。よって、急成長する魅力的な中国債券市場には多くの投資機会が存在すると考えます。

中国社債はどれほど割安か?

2020年2月後半から3月にかけて、新型コロナウイルスがグローバルで感染拡大し、経済活動停止による世界経済成長への懸念が高まったことから、様々なリスク資産が大幅な下落に見舞われましたが、中国社債も例外ではありませんでした。ハイイールド社債だけではなく、投資適格社債も影響を受けました。

図表1にあるように、米ドル建ての中国投資適格社債のクレジット・スプレッド(米国債に対する追加的な信用利回り)は、2月半ばの130ベーシスポイントから3月には286ベーシスポイントへと拡大しました。その後市場は回復し、220ベーシスポイントまで縮小していますが、過去数年で見ると、高水準にあるといえます。

米ドル建て中国投資適格社債市場は、国有企業や銀行が大部分を占める構成となっています。明示的ではないものの政府のサポートがあるとみなされ、発行体の財務健全性の一助になっています。

 

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