米ドルと双子の赤字がもたらすエマージング債券への影響


本稿執筆時点では、米大統領選挙は、民主党のバイデン大統領の誕生、およびねじれ状態の議会の誕生という結果が予想されています。これは米国の財政赤字が拡大し、米ドル安トレンドが発生すると市場が予想した「ブルーウェーブ」とは異なるシナリオと言えます。しかしながら、構造的に増大傾向となっている財政赤字に加え、様々なファクターが重なり、市場では米ドル安が継続する可能性が高いと考えます。

米ドルの動向は、エマージング市場の資産リターンに影響を与える構造的ファクターの1つとみなされており、過去の市場環境でも、米ドル安はエマージング市場のリターンに対してポジティブな影響をもたらしてきました。一方、多くの要因によって変動する為替レート(特に米ドル)の変動を予想することは困難であり、正しい予想には、各国政府の重大な政策転換やマクロ経済トレンドの変化を狂いなく精査する必要があります。それでも、現在シュローダー・エマージング債券チーム(以下、運用チーム)では、エマージング債券市場がポジティブな市場サイクルに突入したことを示唆するいくつかのサインを確認しています。

  • 米国の双子の赤字:米ドルの潤沢な流動性とともに双子の赤字が拡大していることは、とりわけ世界的に金利差が縮小している現在の市場状況において、長期的な米ドル安トレンドのサポート材料と考えます。ただしこれは、米ドルのサイクル的な下落トレンドの一貫であり、米ドルが世界の基軸通貨としての地位の変化に伴う構造的な下落ではないと考えます。
  • 過去の米ドル・トレンドとエマージング債券市場の一貫した関係性:過去20年間、米ドル市場には2つの明確なトレンドがありましたが、他の要素が常に影響してはいたものの、いずれも一貫した形で新興国債券市場に影響を与えているように見受けられます。

エマージング債券市場の今後の期待リターンは、米ドル建ておよび現地通貨建てエマージング債券市場の両市場の利回りが過去対比で低位であることを考慮すると、リーマンショック以前ほど高水準とはならない可能性があります。それでも、市場がまさに今、今後数年間にわたる米ドル安トレンドに入ろうとしているとすると、エマージング通貨の相対的な上昇は、特に現地通貨建てエマージング債券の期待リターン上昇に繋がる可能性があり、米ドル建てエマージング債券市場の利回りも、その他債券市場対比で見ると相対的妙味が高いと考えられます。

過去の米ドルの長期サイクル

運用チームでは、エマージング債券市場に対する米ドルのサイクルの影響は、”はかりに指を載せるような”重要性があると考えています。すなわち、米ドル安トレンドは、エマージング市場に影響する数多くのその他ドライバーが存在する中でも、エマージング市場のパフォーマンスをプラスへと傾ける力を秘めると考えます。以下の図1では過去20年の米ドル指数を表していますが、米ドルの2つの長期トレンドが確認できます。

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