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【全4回連載①】株式市場の存在意義とは?

2018年8月31日

ダンカン・ラモント

ダンカン・ラモント

ヘッド・オブ リサーチ&アナリティクス

株式市場は、企業が財務成長を目的に資金を調達する場として機能してきました。しかし、欧米では上場企業数の減少がみられるなど、従来株式市場が果たしていた役割に変化が起こっていることを示唆しています。他の資金調達先へのアクセスが容易になったことに加え、株式公開に掛かる費用やその他の負担が要因として挙げられます。しかしながら、すべての役割が消失したわけではなく、株式市場は、一部の地域では現在も発展しており、また、新規株式公開が減少する地域においても、従来とは異なる形で経済的役割を果たし続けています。

 

最初の金融取引所は、1531年にベルギーのアントワープで設立されました。当時は、株式ではなく、約束手形や債券、コモディティが取引される場でした。その後、17世紀初めにオランダ東インド会社が、投資家間で取引することを可能にした紙の株券を発行したことが、現在の株式市場の先駆けとなっています。その後数世紀をかけて発達し、株式市場は金融システムにとって不可欠な存在となりました。

本来の株式市場の目的は、企業の観点からすると、事業拡大のための資金を調達することでした。また、投資家の観点からは、透明性のある価格で株式を他の投資家に売却することが可能となり、流動性をもたらしました。以来、これらの本来の機能は拡張を続け、現在、公開株式市場は企業や投資家に、より多くの恩恵をもたらしています。しかしながら、一方で企業に掛かる費用や負担は増加し、以前からは考えられない程の重荷となっています。

株式公開するか否かは、期待される恩恵が費用を上回るかどうかに基づいて判断されますが、企業にとってはもはや容易に答えられる問題ではありません。米国では、上場企業数は1996年と比べて、約半数に減少しました。また、IPO(新規株式公開)を選択する企業は1980年から2000年では、年平均300社存在していましたが、2001年以降現在までは年平均108社にすぎません(図表1)。英国市場でも同様の事象がみられます。

一方、公開株式市場の繁栄は、一般投資家が企業の成長に参加できる最もアクセスが容易で安価な方法を提供するなど、多くの恩恵をもたらしています。また、公開市場が提供する透明性についても、企業にとっては負担となり得る一方で、経営者や企業活動に問題がある場合、直ちに責任を問うことが可能となるなど、社会的、経済的には恩恵があると言えます。規制当局は、これらの特性を認識しており、英国の金融行為規制機構(FCA)は、株式発行市場を「繁栄と投資機会を提供するための重要な役割」を担うと指摘しています。米国、英国、欧州連合(EU)等主要な規制当局は、効果的な発行市場にとって障壁となるものを特定するための研究を行っています。
 

しかし、株式公開に価値を見出す企業が今後も減少していくとするならば、本レポートのタイトルでもある「株式市場の存在意義とは?」という疑問が浮かび上がってきます。本レポートでは、米国と英国を中心に考察し、新規株式公開が減少している理由を探り、他の市場との比較を行います。また、従来とは異なる形で発展する株式市場の役割についても取り上げます。

 



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