シュローダー・インサイト

非効率性の残る米国小型バイアウト市場 付加価値創出余地も豊富

ポートフォリオの補完に最適

 “景気拡大期のピークにあるとみられる今、過剰な資金が米国バイアウト市場に殺到しているのではないか”との懸念がよく聞かれる。しかし労を惜しまない投資家にとっては、非常に魅力的な投資機会が十分に存在すると考えている。大型バイアウト(企業価値(EV)が5億米ドル超)をコアとするポートフォリオにおいて、小型バイアウト(EVが1億米ドル未満)は、高水準のリターンを追求するサテライト資産として、ポートフォリオ全体の補完に最適だ。

小型企業は売却価格よりパートナー選定を重視

 M&A市場が完全に効率的な場合、企業は企業価値で売買され、裁定の余地はほぼない。米国の大型バイアウト市場はこの典型で、主要投資銀行による投資案件では多くの場合、入札によって価格が決定される。しかし米国小型企業の場合、依然として相対で価格交渉を行うケースが存在する。2017年の企業価値/EBITDAで計算するエントリー・マルチプルの平均は、大型の10.9倍に対し、小型は7.1倍であった。
 小型企業は創業者一族に所有されているか、大企業傘下の一部門であるケースが多く、米小型バイアウトにおける投資案件の約80%もこのような所有構造だ。これらの所有者にとって、売却価格は売却先選定における唯一の決定要因ではない。むしろ、今後のビジネス展開のための適切なパートナーを選定することの方が、価格よりも重要と考えるケースが多い。このような非効率性により、小型バイアウトの運用者はより魅力的な価格での買収が可能となっている。
 また小型企業には、付加価値創造の機会も多く存在する。同族経営企業では堅実な運営がなされている一方、効率性に改善の余地がある場合が多いためだ。大企業傘下の一部門でも、経営陣の注目は全体のけん引役となるメインのビジネスに向きがちで、小規模な部門にまでは目が向きにくいのが実情だ。

小型バイアウトファンドへの効果的なアクセス

 大型バイアウト投資を行う投資家でも、適切なパートナー、つまり小型セグメントに特化したファンドオブファンズ、共同投資ファンド、個別口座等を通じた投資により、優秀な小型バイアウト・ファンドへのアクセスが可能だ。加えて、ファンドのライフサイクルや投資タイプなど、様々な観点からの分散も期待できる。市場サイクルを通じて、安定的で魅力的なリターン獲得が実現するだろう。

 

 

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