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個人投資家はサステナブル投資のリターンをどのように考えているのか


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サステナブルファンドは人気が高い。誰もが聞いたことがある話です。サステナブル投資の運用資産残高は、主に欧州において成長が続いていることを背景に、2021年半ばには過去最高の2兆3,000億ドルに達しました(出所:Reuters)。

2021年上期の純流入額はすでに2020年の数字を超えています。ちなみに、2020年も、その1年前の2019年も対前年比で倍以上の伸びを続けています。

こうした目覚ましい成長の背景には、(特に2020年の)力強いパフォーマンス、新しいファンドの設定、サステナビリティ重視の度合いを高めた既存ファンドの戦略転換などさまざまな要因があります。そして、ファンドの販売額の伸びは単に供給量が増えたからというわけではなさそうです。個人投資家は純粋にサステナブルファンドに資金を投資したいと考えているのです。

では、サステナブルファンドの魅力とは一体何でしょうか?リターンの期待は投資理由のどの程度を占めているのでしょうか。シュローダーが毎年行う「シュローダー・グローバル投資家意識調査」からいくつかのインサイトを導き出すことができます。

インサイト1:リターンは大切だが、環境への影響ほどではない

結果は明らかです。投資家がサステナブルファンドに関心を抱く一番の理由は、環境に影響を与えることができるからです。高いリターンが期待できることはもちろん大切ですが、それが最優先ではありません。

この結果はすべての地域に共通していますが、注目すべき点として世界最大のサステナブルファンド市場が展開される欧州の投資家は、他の地域と比べて期待リターンに影響されにくい傾向にあります。これは、各地域内の国別に見ても同様で、例えば、ドイツやフランスと、米国や中国を比較した場合でも同様です。

すべての地域と大半の国においてパフォーマンスを懸念してサステナブルファンドへの投資を見送っている投資家はわずかな割合にとどまっています。興味深いことに、スウェーデンやデンマーク、ドイツなど伝統的にサステナビリティへの関心が高い複数の国においてパフォーマンスに対する懐疑的な意見が相対的に目立ちました。これに対して、米国と中国の個人投資家の間ではパフォーマンスへの懸念からサステナブルファンドを敬遠する人は比較的少ないようです。

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「シュローダー・グローバル投資家意識調査」のこの他の結果からは、若年層と投資知識レベルが比較的高い投資家は、一般的にサステナブル投資に積極的な傾向があることがわかりました。これと一致して、そうした投資家はサステナブルファンドのリターンが高くなる可能性を肯定的に捉えていることが分かりました。

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インサイト2:多くの人はポートフォリオ全体をサステナブルファンドに移行させることに前向きだが、懐疑派はリターンへの懸念から消極的

個人投資家は(リスク、分散度合いが変わらないことを前提に)ポートフォリオ全体をサステナブルファンドに移行させる可能性についてかなり前向きに考えています。この提案を肯定的に捉える理由はここでもパフォーマンスではなく、ポジティブな影響を与えることを考えてのことです。その一方で、割合はわずかですが否定的に回答した人はリターンの心配が最も大きなハードルになっていました。

実際のところ、ポートフォリオの移行を肯定的に考えるか否定的に考えるか、その理由は概ね一致しています。肯定的に回答した人はリターンよりもインパクトを重要視し、反対に否定的に回答した人はリターンに対する懸念が大きいのです。このことに地域、年齢層、投資知識は関係していません。

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ここでも、欧州の投資家はアジアの主要市場や米国などのそれ以外の地域と比較してポートフォリオ全体をサステナブルファンドに移すことにあまり前向きではないようです。

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そして先の質問と同様、若年層と投資知識レベルが比較的高い投資家はポートフォリオをサステナブルファンドに完全に移行することに前向きな傾向があります。

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インサイト3:多くの人をサステナブル投資へと動かすものは何よりも、サステナブルファンドのリターンの高さを示すエビデンス

前述の結果では、多くの人が良い影響を期待してサステナブルファンドに投資し、多くの人が同じ理由でポートフォリオ全体をサステナブルファンドに移行することに前向きであることが示されていました。どちらの場合もリターンは大切だがもっと大切なものがあるという意見です(リターンの懸念が最大の阻害要因になっている懐疑派を除く)。

しかしながら「シュローダー・グローバル投資家意識調査」からは、一見矛盾すると思われる結果も明らかになっています。つまり、大半の人がサステナブル投資を増やすきっかけとなるのは、サステナブル投資がより高いリターンをもたらすことを示すデータやエビデンスだというのです。定期的なインパクトレポートや第三者のサステナビリティ認証などのそれ以外の要素と比べてはるかに強力なトリガーとなるのです。

重要なポイントとして、この結果は地域や年齢層、投資知識レベルとは関係していません。

言い換えると、サステナブル投資において多くの人はリターンを最重要項目と捉えてはいないかもしれませんが、変化の推進力としては最も大きな力を発揮する可能性があるということになります。

 

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投資のインプットとアウトプットから見たサステナビリティ

サステナブル投資とそのパフォーマンスについては賛否両論の幅広い議論が展開されています。ビジネスがサステナブルであるほど、ビジネスモデルに対するリスクに強いという意見もあります。例えば、炭素排出量の多い企業に対して今後圧力が増すことが予想されます。その一方で、すでに株価に反映されているのであればサステナブル戦略のリターンにとっては必ずしもプラスではないという意見もあります。また、ポートフォリオに制約を加えることは、結果的に悪い方向にしか進まないという意見もあります。

理論的には様々な理由からサステナビリティ特性の高い企業がアンダーパフォームする可能性はありますが、重要なのは、なぜ実際にはそうならないのかということです。市場がサステナビリティリスクをどの程度正しく評価しているか、あるいはどのように評価されているか、またファンダメンタル分析とサステナビリティ分析の境界がどの程度曖昧であるかなど、さまざまな要因が絡んでいます。

そもそも、サステナブルファンドから具体的な水準で一定のリターンを期待すべきでしょうか?今回の調査結果から、投資家を大きく2つのグループに分けることができます。1つ目のグループはサステナビリティをちょっとした付け足し、より高いリターンにつながる可能性のある魔法のようなものだと考えている人たちです。2つ目のグループは、1つ目のグループよりも数は少ないものの、サステナビリティをポートフォリオにとっての制約と考え、そうした制約がなかった場合と比べてリスク・リターンの結果が悪化するだけ、少なくとも最適ではない結果になるだけだと考えている人たちです。

この両方に共通するのがサステナビリティはもっぱらインプットだという考え方です。ですがサステナビリティがインプットであると同時に、アウトプットでもあるとしたらどうでしょうか。

サステナビリティは、トレンドやリスク、機会を見つけ出し、変化し続ける環境に適応できるサステナブルなビジネスモデルの結果と捉えることができ、だからこそ価値が生まれます。

投資家は、どの企業がサステナブルな経営を行っているか見極めるために、多くの分析ツールを有しています。そうした分析ツールの中には、財務関連の測定項目を用いるものもあれば、非財務的な測定項目を用いるものもあります。例えば文化のように、適切な数値化が難しい測定項目もあります。サステナビリティ要素を考慮するとは、分析ツールの幅を広げ、複数の視点を持ってその会社が事業を続け、成長できるかどうかを見極めることを意味します。

利益を出していても、人や地球に害を及ぼしている企業はサステナブルではありません。そうした企業が事業を続けるための社会的なライセンスは訴訟や消費者行動、政策措置などによっていずれは失効します。

これに対処し、サステナビリティを投資において追求するためのアプローチはさまざまです。例えばスクリーニング、これはサステナビリティを制約とする考え方に由来しています。インパクト投資やテーマ投資など、リターンと並行して結果も狙う手法もあります。さらに、投資家としての影響力を行使し、企業にサステナビリティの強化を促すアクティブ・オーナーシップというアプローチもあります。

結局のところ、サステナビリティにたどり着くためにどの道を通るかはたいした問題ではありません。本当に大切なのは、サステナブルなビジネスがサステナブルなリターンを支えるという最終的な帰結なのです。

 

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