パーム油:実際のところ、どこまで問題なのか?


パーム油は企業の広報における重要な問題となっています。鬱蒼とした熱帯雨林が燃えていたり、伐採によりオランウータンが住処を失う、といったイメージに結び付くことが多く、英国のスーパーマーケットチェーンが2018年末までにプライベートブランドからパーム油をなくすつもりであるということを表明した際には、ブランド認知が高まる等の効果がありました。
この事例のように、より多くの企業と消費者はパーム油をボイコットしていく方がよいのでしょうか?このレポートでは、パーム油にかかる議論の賛否両面を分析していきます。

パーム油反対派の見方

森林伐採へつながる

パーム油が森林伐採の大きな要因であることは実証されており、気候変動へつながっています。World Resources Instituteによる調査の結果、森林伐採による炭素排出量は、欧州連合(EU) 域内での排出量を上回ることがわかりました。1 パーム油生産のための農園用に土地を開墾することは、温室効果ガスの排出量が増加するだけではなく、それ以外にも洪水リスクの増加や土壌侵食、生物の多様性を脅かすことにもつながります。

パーム油は本当に必要なのか

パーム油には利点もあることは事実ですが、果たしてそれはどの程度重要なものなのでしょうか?例えば、トランス脂肪酸を減らすという観点から食品に活用されていますが、洗濯用液体洗剤やシャンプーの見た目を良くするため等、トランス脂肪酸の有無は関係ないはずの家庭・パーソナル用品にも用いられています。 パーム油の不必要な使われ方以外にも、消費者がより環境に優しい製品を選好するようになってきていることも企業側への圧力となります。消費者ニーズに応える形でプラスチックの使用量を減らした洗剤製品が発売されるようになったのと同様に、パーム油についても使用量が削減される可能性があります。

実行可能な代替案は現れない、声を上げない限り・・・

大手消費財メーカーによる新たなトレンドへの適応というのは、瀬戸際になるまで遅れることがしばしば見受けられます。食品の塩分量についても公衆衛生機関や消費者の行動がメーカーに変化を迫るまで削減する動きは見られませんでした。砂糖についても同様で、砂糖税が導入されるや、一夜にしてイノベーションや改革が進みました。 消費者のパーム油に対する意識が、無糖やビーガンの時のように急激に変化した場合、企業はどのように対応するのでしょうか?過去、研究開発費の少なさが消費財セクターのネックとなってきました。シュローダーの独自のESGツールであるSustainExでの調査では、食品メーカーと家庭用品・パーソナルケア用品セクターは、平均して売上の1.1~1.6%程度を研究開発に費やしている一方、メディアは約3.7%、レジャー用品は約6.5%、小売りは約8.4%等、よりイノベーティブとされる消費財セクターではこの値は高くなっています。一方、いくつかのブランドでは、すでにパーム油不使用の製品を販売しています。 このことは、サステナビリティや社会的責任に取り組む企業に対する消費者や従業員からの幅広い要求と関連があります。最先端の企業は、もはや悪影響をゼロにしたりカーボンニュートラルを目指すのではなく、ポジティブな影響を及ぼすことを目標としています。The Consumer Goods Forumといった業界団体が2020年末までに森林伐採をネットでゼロにすることを目指すと表明していること等がプラスに捉えられていますが、日用消費財メーカーにとっては過去のパーム油生産の開発が起こした影響をなかったことにすることはできません。既に発生したダメージに対して、企業はさらに責任を取ることが期待されているかもしれません。  

 

レポートの続きはこちら

 

【本ページに関するご留意事項】本ページは、情報提供を目的として、シュローダー・インベストメント・マネージメント・リミテッド(以下、「作成者」といいます。)が作成したページを、シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社(以下「弊社」といいます。)が和訳および編集したものであり、いかなる有価証券の売買の申し込み、その他勧誘を目的とするものではありません。英語原文と本ページの内容に相違がある場合には、原文が優先します。 本ページに示されている運用実績、データ等は過去のものであり、将来の投資成果等を示唆あるいは保証するものではありません。投資資産および投資によりもたらされる収益の価値は上方にも下方にも変動し、投資元本を毀損する場合があります。また外貨建て資産の場合は、為替レートの変動により投資価値が変動します。 本ページは、作成時点において弊社が信頼できると判断した情報に基づいて作成されておりますが、弊社はその内容の正確性あるいは完全性について、これを保証するものではありません。 本ページ中に記載されたシュローダーの見解は、策定時点で知りうる範囲内の妥当な前提に基づく所見や展望を示すものであり、将来の動向や予測の実現を保証するものではありません。市場環境やその他の状況等によって将来予告なく変更する場合があります。 本ページ中に個別銘柄についての言及がある場合は例示を目的とするものであり、当該個別銘柄等の購入、売却などいかなる投資推奨を目的とするものではありません。また当該銘柄の株価の上昇または下落等を示唆するものでもありません。 本ページに記載された予測値は、様々な仮定を元にした統計モデルにより導出された結果です。予測値は将来の経済や市場の要因に関する高い不確実性により変動し、将来の投資成果に影響を与える可能性があります。これらの予測値は、本ページ使用時点における情報提供を目的とするものです。今後、経済や市場の状況が変化するのに伴い、予測値の前提となっている仮定が変わり、その結果予測値が大きく変動する場合があります。シュローダーは予測値、前提となる仮定、経済および市場状況の変化、予測モデルその他に関する変更や更新について情報提供を行う義務を有しません。 本ページ中に含まれる第三者機関提供のデータは、データ提供者の同意なく再製、抽出、あるいは使用することが禁じられている場合があります。第三者機関提供データはいかなる保証も提供いたしません。第三者提供データに関して、本ページの作成者あるいは提供者はいかなる責任を負うものではありません。 シュローダー/Schroders とは、シュローダー plcおよびシュローダー・グループに属する同社の子会社および関連会社等を意味します。 本ページを弊社の許諾なく複製、転用、配布することを禁じます。