ESG四半期レポート:ネットゼロへの道のりとシュローダーの行動喚起、化石燃料融資に関する銀行へのエンゲージメント活動

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シュローダーでは、企業とのエンゲージメントや実態調査など、サステナビリティへの取り組みを掲載したサステナブル・インベストメント・レポートを四半期毎に作成しています。本レポートでは、2021年第1四半期のサステナブル・インベストメント・レポートを構成する内容の一部をご紹介します。今回のテーマは、ネットゼロへの道のりとシュローダーの行動喚起、化石燃料融資に関する銀行へのエンゲージメント活動についてです。

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シュローダーでは20年以上前からサステナビリティに注目し、昨今はこの領域における目標も能力もますます高まり、前進しています。気候変動は今後の最大の関心事の一つです。2050年を迎える頃には、野放しにされた地球温暖化の結果に比べれば新型コロナウイルスのパンデミックによる影響は小さかったということになるかもしれません。

シュローダーは、世界的なアクティブ運用の資産運用会社として、企業やその他ステークホルダーに対し、温室効果ガス排出量のネットゼロに向けた移行を計画、実行し、長期的な気温上昇を1.5°Cに抑えるよう働きかける重要な役割を負っています。

2021年1月には、シュローダーのグループ・チーフ・エグゼクティブからFTSE 350構成銘柄企業(投資信託を除く)のトップ宛てに2021年内にネットゼロ移行プランの公表を求める書簡を送りました。

企業レベルでのネットゼロの実現とは

SBTイニシアティブ(SBTi)によると、気候とサステナビリティに関する社会の目標に沿い、世界全体での温室効果ガス排出量ネットゼロ実現に整合した形で企業がネットゼロの状態を達成するには2つの条件があります。

1. 気温上昇を1.5°Cに抑える過程で達成される削減幅と整合する形で、バリューチェーンにおいても排出量削減を達成する

2. 削減不可能な排出については、同等量の大気中の二酸化炭素を削減することでその影響を相殺させる

FTSE 350構成銘柄企業宛ての書簡では、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという英国政府の目標に従い、同じく2050年までの事業活動におけるネットゼロ移行に関して、コストを含む詳細なプランの策定と公表を強く求めました。こうした取り組みは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)やSBTイニシアティブ(SBTi)が提言するベストプラクティスを反映するものでもあります。

コストを含む詳細なプランとは

企業のネットゼロへのロードマップを分析するに際して、私たちはさまざまな要素に注目します。

– プランは公表されているか

– ネットゼロ目標を達成するために今後どのような対策を講じるか

– ネットゼロ目標の実行に伴う財務的インパクトを把握しているか

– 10~30年スパンの計画に必然的に伴う不確実さにどのように対処しているか

– ネットゼロ目標の実行に伴う従業員およびその他ステークホルダーへの影響を考慮しているか

コンタクトした295社のうち、本レポートの執筆時点で42社から回答があり、そのおよそ半数が気候変動移行プランの詳細を提示すると答えています。

エンゲージメント活動は一部のケースですでに効果が現われています。ある企業は先頃、2021年末までに事業活動のネットゼロ転換を図ると表明し、シュローダーからの書簡が決断の最後の一押しになったと話しています。これは正しい方向への最初の一歩ではありますが、カーボンオフセットだけに頼る彼らの方法は長期的な解決策ではないことを指摘し、今後は進捗をモニタリングしていきます。もう一社はすでにネットゼロを表明していましたが、具体的な目標や、どのように達成するかの詳細を公表していませんでした。エンゲージメントの結果、弊社からの書簡が担当チームに渡り、この件に関する文書が取締役会に提出されることがわかりました。

エンゲージメント活動・調査の初期結果

予備的な分析によると、既に約60社が遅くとも2050年までに温室効果ガス排出量ネットゼロの達成を目指すと表明していることが明らかになりました。このうち半数以上がSBTiの下で科学的根拠に基づく目標を定め(またはその予定)ています。

業界を挙げた取り組みは、企業のネットゼロプランの進展に大きな影響を及ぼすことがわかっています。例えば、英国の主要商業用不動産オーナーと関連団体により設立された組織であるBetter Buildings PartnershipのNet Zero Carbon Pathway Frameworkは、不動産業界における気候変動対策の支援を目的に構築されたものですが、結果として、不動産業界にはコストを含む詳細なプランの好事例がすでに多数あります。

こうしたエンゲージメント活動に基づく調査結果によって、パリ協定を軸に協調する世界に向けてどの企業がきちんと態勢を整えているのかを当社の投資担当者が詳しく理解でき、これが企業・セクター分析や、最終的には投資判断の情報源として活かされます。

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「ネットゼロ」の動きは世界中で勢いが加速していますが、銀行業界では全体として取り組みが進んでいません。2020年半ばに最初の調査を行った時点では、調査対象のグローバルな銀行のうち、パリ協定の目標または国のネットゼロ目標に沿った融資活動に取り組んでいる、または科学的根拠に基づく目標を設定している銀行は20%に達していませんでした。

銀行では化石燃料融資がサステナブル融資をはるかに上回り、その割合が特に高い銀行は、低炭素社会への移行に伴い、財務や規制、レピュテーション(評判)の観点において大きなリスクに直面しています。

シュローダーは銀行セクターの債券を多数保有する立場として、ネットゼロに向けた世界的シフトにおいて誰が将来の勝者となり敗者となるかを見極める必要があります。

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調査

この問題に関するテーマ別調査の一環として、社債チームとサステナブル投資チームは、化石燃料融資に関する各種ファクターに照らして各銀行のパフォーマンスをチェックできる、ファンドマネジャー用のスコアカードを開発しました。従来型と非従来型の両方のデータソースに基づき、化石燃料融資事業、気候変動に関する長期的戦略・ビジョンの強度、サステナブル融資能力、気候ガバナンス・リスク管理の成熟度、気候変動に関するレポーティングの質の観点から銀行を評価します。

このスコアカードは、詳細な分析とエンゲージメント活動の優先順位付けに使用します。現時点で100を超える世界の大手銀行と一部の中小型の銀行グループを網羅しており、社債チームの銀行セクターエクスポージャーが十分カバーされています。

エンゲージメント活動

社債チームは株式チームと協働し、欧州、北米、アジア地域から、詳細な分析とエンゲージメント活動の対象となる約50の銀行をピックアップしました。化石燃料関連企業への融資額が多い銀行と、バランスシート上、これらの企業へのエクスポージャーが高いと考えられる銀行に着目しています。

エンゲージメント活動を踏まえ、今後12カ月にその銀行に取り組んでほしい目標として以下の例が挙げられます。

– パリ協定の目標に沿った融資に取り組み、具体的な道しるべや目標を定める

– 最新の科学的根拠や模範事例に沿った形で銀行の化石燃料ポリシーを見直し、強化する

– その他気候変動に関する測定項目の開示を含め、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)や気候変動リスクに関するレポートを作成する

これらの観点においてすでに進んでいる銀行については、パリ協定に則した融資事業の目標設定および測定方法の強固さや改善を中心に議論しました。

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これまでの回答

今回のエンゲージメントの効果を見極めるには時期尚早ですが、これまでのところ銀行からはまずまずの回答があり、この半年に接触した50行のうち、2021年3月末までに21行と面会しました。

この半年間、私たちはこの問題に関して大きな前向きな勢いを感じています。各銀行が化石燃料ポリシーや気候変動リスクに関する情報開示を強化し、パリ協定の目標に則した融資ポートフォリオに取り組んでいます。

すでに目標や詳細な計画を立てていたり、もしくは近い将来立てる予定であり、世界的なエネルギー転換に対応できる融資体制が整っている先進的な銀行群を特定することができました。

一方で、データの収集において課題があったり、このような課題をサポートできる人材が社内に不足していたり、ポートフォリオの評価や目標設定において確立された方法がない等の問題点も明らかになりました。

こうした銀行については、エンゲージメント活動を通じて他行で活用されている模範事例を紹介することができました。ただし私たちが指摘した課題について最終的に進捗が見られない場合は、今後環境面に対する評価を引き下げる可能性もあります。

第1回のエンゲージメント活動が完了し、次は対象銀行を広げ、スコアカードに保険会社などの銀行以外の金融サービス会社も加える予定です。

運用プロセスへの組み込み

社債のESG評価:エンゲージメント活動から得た情報を基に企業のキャッシュフローに対する潜在的なリスクをを特定し、社内で行うESGおよび社債評価の精度を高めています。

社債のESGセクターレビュー:化石燃料融資に関する調査やエンゲージメント活動から得た情報は、社債アナリストが行うESGセクターレビューに組み込まれています。レビューでは、アナリストがファンドマネジャーとともに、各種ESGファクターや、その企業の円滑な債務返済能力に影響を与え得るESGリスクや機会に関するエクスポージャーのランキングについて議論します。

シュローダーの独自ツール:化石燃料融資スコアカードの開発によって特定することができた新しい環境評価項目について、社内の社債担当者と株式担当者が使用するCONTEXT等、シュローダー独自のサステナビリティツールに活用されています。

議決権行使:調査やエンゲージメント活動の結果、化石燃料融資や気候変動対策全般に関する各銀行への要求の精度を高めることができました。これは年に1度見直される議決権ポリシーのほか、先頃行われた銀行の気候変動に関する株主決議にあたっての議決権行使判断にも反映されています。

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