市場概況
7月、インフレの鈍化などが好感され、世界株式は上昇しました。米連邦準備制度理事会(FRB)は、景気後退を招くことなく、インフレが鎮静化するソフトランディングの可能性を示唆したことから、投資家心理が上向き米国株式は上昇しました。欧州については、欧州中央銀行(ECB)は利上げを実施しましたが、インフレ圧力の減速に伴い、利上げサイクルが終盤に近いとの見方が拡がり、欧州株式は上昇しました。。債券については、投資家のリスク姿勢が高まった環境下、米国とドイツの長期金利は上昇しました。日本では、イールドカーブ・コントロールの運用の柔軟化が決定され、日本国債の長期金利は上昇しました。
主な投資行動
米国REITの一部を米国株式に入れ替え
- 経済は底堅く推移しており、経済の減速は後ずれしていることから、当面は企業業績の減速リスクが低下していると判断し、米国REITの一部を米国株式に入れ替え
エネルギーセクター株式を組み入れ
- これまで景気後退懸念や地政学リスクなどを反映してコモディティは軟調に推移していましたが、今後は供給サイドの圧力が戻り、底堅い経済を背景に、需要が下支えされると考えることから、コモディティの代替ポジションとして、エネルギーセクター株式のポジションを組み入れ
米国株式プットオプションの調整
- 株式の上昇に伴い、保有している米国株式プットオプションのストライクプライスを引き上げ
- 株式のボラティリティの低下(プットオプションの価格は下落)を背景に、米国株式プットオプションをさらに追加
円ヘッジ比率の調整
- 月中、円高が進んだことを受け、過度な水準であると判断するほか、継続するヘッジコストの上昇を考慮し、日本円ヘッジ比率を引き下げ
- 日銀によるイールドカーブ・コントロールの調整を受け、ボラティリティ上昇の可能性を考慮し、リスク管理で日本円ヘッジ比率を引き上げ
- その後、通貨市場は、相対的に安定的となったことを確認し、日本円ヘッジ比率を元の水準に引き下げ
今後の資産配分と運用戦略
6月の米国のインフレ率は3%(前年同月比)に低下し、ベース効果の影響を除いても、家賃やコアサービス価格の減速がみられており、米国の利上げは最終段階にあると考えられています。経済成長率はいまだプラスであることから、株式にはさらなる上昇余地がある可能性があると考えます。足元では株式の見通しは中立を維持しており、ポートフォリオではソフトランディングとなった場合に備え、米国小型株ロング/米国大型株ショートのポジションを維持しています。
当月、ポートフォリオではエネルギーセクター株式を新規で組み入れました。コモディティは、中国の経済再開を受けた回復が予想を下回ったことや、需給の緩みなどを背景に軟調となってきましたが、今後供給サイドの圧力が戻ることが見込まれると考えます。
ポートフォリオでは、引き続き経済活動や中央銀行の金融政策の動向に注視しつつ、機動的な資産配分を行う方針です。
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