市場概況
8月、金利上昇や米国の金融引き締め長期化観測、中国経済の先行き懸念などを背景に世界株式は下落しました。米国株式は、金融引き締めの長期化観測が広がり、月初から月中にかけて下落しましたが、月末はジャクソンホール会議を無難に通過したことを受け、下落幅を縮めて終えました。欧州株式は、世界的な利上げの長期化や、中国の経済減速への懸念から下落しました。エマージング株式については、米国金利が長期に亘り高水準で維持されることに対する懸念や中国経済や中国不動産セクターを巡る懸念から下落し、先進国株式をアンダーパフォームしました。債券については、フィッチによる米国債の格下げや金融引き締め長期化の観測を背景に、米国10年国債利回りは上昇しました。ドイツ10年国債利回りは、ほぼ横ばいとなりました。社債については、スプレッドが拡大し下落しました。
主な投資行動
株式のシクリカル・エクスポージャーを引き上げ
ソフトランディングの可能性の高まりを背景に、シクリカル・エクスポージャーの引き上げを企図して、NYダウ先物を組み入れたほか、米国小型株式ロング/米国大型株式ショートの組入比率を引き上げました。
レラティブトレードの構築
日本株式ロング/ドイツ株式ショートのポジションを構築:日本の経済成長率は改善しているほか、企業改革や新NISA制度が日本株式の追い風となる一方で、欧州では金利の上昇を受け、経済減速の兆候が見られていることから同ポジションを構築
今後の資産配分と運用戦略
米国のインフレ圧力は緩和しているほか、差し迫った景気後退の兆候もみられていない状況が継続しています。これらを背景に、ソフトランディングの可能性が高まっているほか、米国金利のさらなる上昇余地は限定的であると考えます。
株式については、バリュエーションは引き続き割高であることから、中立の見通しを維持しています。ポートフォリオでは、日本のファンダメンタルズが底堅く、日本国債利回りの上昇リスクは限定的であることから、日本株ロング/ドイツ株式ショートのポジションを組み入れています。また、ソフトランディングの可能性の高まりを背景に保有している米国小型株式ロング/米国大型株式ショートのポジションについては、組入比率を引き上げました。
ヘッジコストを考慮し、ポートフォリオの日本円比率の水準には引き続き注視しており、主要国中央銀行の金融政策の見通しや日本とその他の国々の金利差に注目しています。
全般的には、景気サイクルの次の局面を巡る不透明感が後退するのを待つ中で、足元ではプロシクリカルな株式のポジションを取るなどの対応をしています。ポートフォリオでは、引き続き経済活動や中央銀行の金融政策の動向に注視しつつ、機動的な資産配分を行う方針です。
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