市場概況
1月の世界株式は、米連邦準備制度理事会(FRB)をはじめ、主要各国の中央銀行による早期利下げ期待が後退する中、国や地域によってまちまちとなりました。米国株式は、米国経済がソフトランディングを達成するとの期待が広がったほか、好調な企業決算も支援材料となり上昇しました。ユーロ圏では、半導体製造装置に対する底堅い需要を受けて関連銘柄が堅調に推移したことで、欧州株式は上昇しました。日本株式については、円安や海外投資家による需要等が追い風となり上昇しました。一方、エマージング株式については、中国および香港株式の下落がマイナス要因となり軟調に推移しました。債券については、足元ではディスインフレが継続しているものの、早期利下げ期待が剥落したことで主要国の国債利回りは上昇しました。クレジットについては、金利上昇に伴い下落したものの、スプレッド縮小を受けて、投資適格債券、ハイイールド債券ともに国債をアウトパフォームしました。
主な投資行動
株式の保有比率を引き上げ
月中旬に株式の保有比率を引き上げた。米国株式は、一株当たり利益が全体的に拡大傾向にあるほか余剰資金が積みあがっており、さらなる上昇をサポートする可能性があるほか、欧州株式は、欧州経済を巡る悲観的な見通しから、株価バリュエーションは割安な水準にあると判断。また、日本株式については、一部の日本企業は円安の恩恵を受けているほか、コーポレートガバナンス改革等が追い風になると見ている。そのほか、米国REITについても追加購入を実施。
米国プットオプションの購入
インプライド・ボラティリティの低下を受けて割安な状態にあると判断。株式ベータ・エクスポージャーの維持を目的として、米国株式、日本株式を追加購入。
レラティブトレードの解消
米国10年国債ロング/カナダ10年国債ショートのポジションを解消:市場は米連邦準備制度理事会(FRB)による急速な利下げ期待を織り込んでいるため米国債は割高と判断。一方、カナダ銀行による利下げ開始は今年後半になるとの見方が市場コンセンサスであり、利益確定を目的として当ポジションを解消。
今後の資産配分と運用戦略
2023年末の上昇から、株式市場には割高感が浮上しています。当運用チームが想定する基本シナリオは「米国経済のソフトランディング」ですが、この見通しは十分に市場に織り込まれていると考えます。新たな材料や投資機会を発見するにあたり、株式と債券に対する見方を中立としています。市場はFRBの早期利下げ期待を織り込む一方、当運用チームは、2024年6月からの利下げ開始、今年の利下げが計3回となることを見込んでおり、市場コンセンサスよりややタカ派的な見方としています。インフレ圧力の緩和は継続しており、賃金上昇率もピークに達したものの、米国労働市場は依然として逼迫しているため、3月にFRBが利下げを開始するのは時期尚早だと考えます。米国の大統領選挙が近づく中、選挙の年に財政政策を転換する可能性は低いと考えており、米国の財政赤字に対する懸念を強めています。
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