市況
8月のグローバル債券市場は、主要国の国債利回りはまちまちの動きとなりました。米国は、政策金利が長期間高水準で維持されるとの観測が高まり、米10年債利回りは一時、世界金融危機時以来の高水準に達しました。ただし、月末には、雇用関連指標で軟化の兆候がみられたことを受けて国債利回りは低下し、これまでの上昇を一部相殺して月を終えました。欧州は、月中旬は利回りが上昇しましたが、月下旬は低調な経済指標を受けて翌月の欧州中央銀行(ECB)理事会での利上げ見送りの可能性が意識され、利回りは低下しました。
エマージング債券市場は、米国債利回りの上昇がマイナス要因となったほか、中国不動産問題の深刻化を受けた同国資産の下落がエマージング市場全体に対する投資家心理の悪化につながり、夏場の薄商いの環境下、月半ばに下落の勢いが強まりました。米ドル建てエマージング債券市場では、エルサルバドルやエクアドル等一部のラテンアメリカ国は堅調となった一方、アルゼンチンは、大統領選挙の予備選の結果を受けて下落となりました。また、クーデターが発生したガボン等アフリカ地域が軟調となりました。現地通貨建てエマージング債券市場は、高利回りによるインカムはプラスに寄与したものの、米ドルの上昇を受けたエマージング通貨下落が主に影響し、米ドル建て債券を上回る下落となりました。国別では、南アフリカ、コロンビア、トルコが主にマイナスとなりました。
パフォーマンス
8月のパフォーマンスは-2.44%となりました。現地通貨建て国債・通貨では、インフレの顕著な鈍化が確認されたハンガリーの保有はプラスに寄与したものの、グローバルのリスクセンチメントの悪化がエマージング通貨の下落につながり、南アフリカ、コロンビア、メキシコ、ブラジル等の保有がマイナスに寄与しました。米ドル建て債券では、エクアドル等が小幅ながら寄与したものの、外貨準備高が従来開示していた水準を大きく下回ることを中央銀行が明らかにしたことを受けて下落したナイジェリアのほか、エジプト等アフリカ地域が軟調となりました。
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