市況
6月のグローバル債券市場は、主要国の国債利回りは上昇しました。米国は、カナダ中央銀行の利上げを受けて、翌週の連邦公開市場委員会(FOMC)でのタカ派姿勢維持が見込まれるなか、米国債利回りは上昇しました。FOMCでは政策金利は据え置かれましたが、堅調な経済と緩慢なインフレ鈍化を背景に年内に追加利上げが必要となるとの見方が示されました。また、1-3月期の実質国内総生産(GDP)確報値が上方修正されたことを受けて、月末に短・中期債を中心に利回りが上昇し、月を終えました。欧州は、欧州中央銀行(ECB)が政策金利を8会合連続で0.25ポイント引き上げ、ラガルドECB総裁が歴史的な利上げサイクルの終了を近く宣言することはできないだろうと発言する等タカ派な姿勢を維持したことからドイツ国債利回りは上昇しました。ただし、ドイツの軟調な経済指標や欧州各国のインフレ鈍化を受けて月後半はドイツ国債利回りは低下しました。英国は、イングランド銀行が政策金利を0.5ポイント引き上げ、5%としました。ベイリー総裁はインフレ抑制の取り組みを強化するとし、金利がさらに高水準へ向かうとの従来のガイダンスを維持しました。英国2年債利回りは米欧を大幅に上回る上昇幅となりました。
6月の国債市場では、米国10年債の利回りは3.64%から3.84%、ドイツ10年債の利回りは2.28%から2.39%、英国10年債の利回りは4.18%から4.39%に上昇となりました。クレジット市場については、グローバル投資適格社債の対国債超過リターンは0.94%と、国債をアウトパフォームしました。
パフォーマンス
6月の超過収益は0.01%となりました。金利戦略は、米連邦準備制度理事会(FRB)がタカ派姿勢を維持するなか、米国のオーバーウェイト(利回り低下を見込むポジション)やスティープ化ポジションが主にマイナスに寄与しました。通貨戦略は、高利回り通貨のキャリー獲得のために組み入れたメキシコ・ペソのオーバーウェイト(対加ドル)がプラスに寄与した一方、月中に解消した英ポンドのアンダーウェイトはマイナスに寄与し、全体ではほぼ中立となりました。クレジット戦略は、リスク性資産が堅調に推移するなか、投資適格社債の小幅なオーバーウェイトや国際機関債等の保有がプラスに寄与しました。
投資行動・投資方針
[テーマ1]短期的なボラティリティ低下局面:高利回り債券・高金利通貨に妙味
コロナ禍を経て、マクロ経済の先行指標と一致指標の関係性が弱まっている可能性があります。先行指標は悪化傾向の一方、実体経済や遅行指数である労働関連指標は引き続き堅調となっています。結果、差し迫った景気後退リスクは年後半に後ろ倒しになったと考えます。インフレは、緩やかなディスインフレ・トレンドが先行指標を通じて確認されています。このような環境下、クオリティの高い高利回り債券を通じたインカム獲得の機会が拡大していると考えます。
クレジット戦略において、米欧投資適格社債をオーバーウェイトとするほか、政府系MBSもオーバーウェイトといたします。金利戦略では、フランスを対ドイツでオーバーウェイトといたします。通貨戦略では、高利回りエマージング通貨をオーバーウェイトといたします。
[テーマ2]金利低下トレンドへのカタリスト不在:先進国国債を含む高金利環境の到来
実体経済、労働市場が底堅く推移する中、銀行への経営不安も収まりつつあり、中央銀行は金融環境の引締めスタンスを継続する姿勢を示しています。中央銀行が緩和姿勢に転じるカタリストとしては、堅調な労働市場の悪化、インフレ率の予想を上回る低下、(金融安定性など)システミックなショック、が挙げられますが、債券市場は当面は方向感を欠く展開となることが見込まれます。
金利戦略では、全体では中立を基本としますが、米国、欧州に対してはオーバーウェイトバイアスで臨む方針といたします。
[テーマ3]非グローバル化は金融政策にも影響:利上げサイクル終了タイミングは一様にあらず
各国中銀の政策スタンスの乖離がさらに拡大するとみられます。カナダは、一旦利上げを休止しましたが、住宅市場の回復、インフレ圧力の粘着性、労働市場の逼迫を受け、利上げを再開しました。金融引締めが緩やかながらさらに進むリスクがあるとみています。豪州もカナダ同様の問題を抱えており、インフレ率を金融政策の目標に戻すことに苦慮しています。一方、欧州では今後数ヵ月でインフレのピークアウトが確認されると予想しますが、労働市場の堅調さと賃金上昇率の高止まりが懸念事項です。英国は、市場では今後複数回のタカ派な利上げが織り込まれていますが、労働市場の軟調さが確認されれば、これらの織り込みの調整が入る可能性があるとみています。
金利戦略において、カナダおよび豪州のアンダーウェイトを対米国もしくは対英国で構築する方針といたします。(ただし、英国は労働市場の軟調さが確認されるまでは中立スタンスを維持いたします)
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