市況
- 9月のグローバル債券市場は、主要国の国債利回りは上昇しました。米国は、経済指標がインフレ圧力の根強さを示す中 、利回りは上昇して始まりました。米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利が据え置かれたものの、金利見通しが前回時点より引き上げられ、政策金利が長期にわたって高水準で維持されるとの見方から、米国債利回りは一段の上昇となりました。月末は、10年債利回りは上昇基調を維持した一方、2年債利回りは5%を若干上回る水準へ低下し、イールドカーブはスティープ化して月を終えました。欧州は、欧州中央銀行(ECB)理事会で10会合連続の利上げが実施されました。ECB当局者がタカ派姿勢を示したことから、政策金利の高止まりが意識され、利回りは上昇基調が継続しました。ただし、月末には、ユーロ圏各国のインフレ率が低下したことから、利回りは小幅に低下して月を終えました。英国は、8月の消費者物価指数(CPI)上昇率が市場予想に反して前月を下回り、イングランド銀行は14会合連続で実施してきた利上げを停止し、政策金利を据え置きました。英国債利回りは月半ば過ぎまでは低下となりました。その後、英10年債利回りは前月末を上回る水準に上昇して月を終えた一方、英2年債利回りは月を通じて低下となりました。
- 9月の国債市場では、米国10年債の利回りは4.10%から4.57%、ドイツ10年債の利回りは2.47%から2.84%、英国10年債の利回りは4.36%から4.44%に上昇しました。クレジット市場については、グローバル投資適格社債の対国債超過リターンは
0.12%と、国債をアウトパフォームしました。
パフォーマンス
- 9月の超過収益は0.20%となりました。
- 金利戦略は、欧州の対米国でのオーバーウェイト(相対的な利回り低下を見込むポジション)は、経済状況の乖離を捉え、奏功したほか、米国のスティープ化がプラスに寄与しました。一方、デュレーション戦略での欧州のオーバーウェイトはグローバルに利回りが上昇するなかでマイナス寄与となりました。
- 通貨戦略は、スウェーデン・クローナの対豪ドルでのアンダーウェイトは寄与は小幅にプラスとなり、利益確定で解消しました。
- クレジット戦略は、米国の銀行セクターはスプレッド拡大により、マイナス寄与となったものの、欧州の投資適格社債は米国対比で堅調に推移したことから、オーバーウェイトがプラスに寄与しました。
投資行動・投資方針
短期的には景気後退は回避され、ソフトランディングが達成される、とのシナリオの実現可能性が高いとの見方を維持しており、市場の織り込みも進んでいます。このような見方が市場のコンセンサスとなっている状況においては、今後このシナリオに基づいてアルファを創出する可能性は低下したと考えており、グローバル経済が向かう先について継続的に分析することの重要性がさらに増しています。 「ハードランディング」シナリオと「ノーランディング」シナリオのリスクは依然として存在し、今後ますます関連性が高まるとみています。
大幅な財政赤字と底堅い米国消費は、ここ数年で経験したセクター・ローテーションと同様、現在のサイクルの延長を示唆していると考えます。伝統的な景気循環であれば、一般的に先行指標である製造業の低迷がサービス業に波及し、最終的に景気後退につながると予想されます。しかしながら、今回の景気循環はこれとは異なり、地域やセクターによって弱さと強さを示す時期が異なっています。製造業が急落した時期に、住宅市場は昨年のマイナス期からの回復を示しています。そして、サービス部門は好調を維持していることから、製造業とサービス業が同時に悪化する状況は今のところ回避されています。
ただし、政策金利が高水準で長期間維持される環境はリスクを伴っていると考えています。現在の市場では楽観的な見方が大勢を占めていますが、来年の景気後退の可能性は依然として存在しているとみています。堅調な需要と供給サイドの問題を背景とする原油価格の上昇は、中国経済の安定化とともに、最近のディスインフレの進展を覆す可能性があります。
このような背景を踏まえ、ポートフォリオでは、国や地域の乖離を捉えるポジションを重視する方針といたします。また、質の高いセクターを選好する資産配分を通じて、利回りを追求する機会に対しても引き続き注力してまいります。
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