市況
- 10月のグローバル債券市場は、主要国の国債利回りはまちまちの動きとなりました。米国は、前月比上昇した米消費者物価指数(CPI)や、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言等が影響し、米国10年債利回りは一時5%を上回る水準まで上昇しました。その後は、財務省が10-12月期の借り入れ額が従来見通しより少なくなるとの見通しを示したこともあり、月下旬にかけてはやや低下し、月を終えました。なお、イールドカーブはスティープ化が継続しました。欧州は、経済の弱さを示す指標や中東情勢を受けた安全資産需要からドイツ国債利回りは月半ばにかけて低下しました。その後、米英国債利回りの動きに伴って一旦は上昇したものの、月末にはドイツのインフレ率が鈍化したことや7-9月期の国民総生産(GDP)速報値が前期比でマイナスとなったこと等が影響し、再び低下基調となり月を終えました。英国も欧州と同様に弱い経済指標や中東情勢を受けて月半ばに英国債利回りは低下しました。その後、根強いインフレ圧力が示されたことを受けて英国債利回りは上昇に転じました。月後半は市場が追加利上げの見方を後退させるなかで2年債利回りが大幅に低下しました。月を通じては、英2年債利回りは低下、英10年債利回りは上昇となりました。
- 10月の国債市場では、米国10年債の利回りは4.57%から4.91%に上昇、ドイツ10年債の利回りは2.84%から2.81%に低下、英国10年債の利回りは4.44%から4.52%に上昇しました。クレジット市場については、グローバル投資適格社債の対国債超過リターンは-0.29%と、国債をアンダーパフォームしました。
パフォーマンス
- 10月の超過収益は0.13%となりました。
- 金利戦略は、欧州の対米国でのオーバーウェイト(相対的な利回り低下を見込むポジション)および米国のスティープ化がプラスに寄与しました。
- 通貨戦略は、リスク配分を引き続き限定的とし、目立った寄与はありませんでした。
- クレジット戦略は、欧州投資適格社債は銘柄選択による寄与が小幅にプラスとなったものの、米国投資適格社債はスプレッド拡大により、マイナス寄与となったほか、米国のモーゲージ債のオーバーウェイトも小幅にマイナスとなりました。
投資行動・投資方針
一方、米国の住宅指標の悪化やサービス部門活動の弱さ等、より深刻な景気減速の可能性を示す兆候も徐々に忍び寄ってきており、「ハードランディング*2」のシナリオを意識する必要が出てきています。現時点では、サービスセクターは景気後退を懸念するほどの急激な弱さではないものの、今後の見通しを比較的保守的とする一因となっています。
このような見通しに基づき、金利戦略では、一旦全体のデュレーションを抑え目とする方針といたします。米国のスティープ化は確信度が高いポジションの一つではありますが、市場の動きが急速に進んだことからリスクを削減し、英国やカナダ等他の国のイールドカーブで投資機会を模索する方針といたします。クレジット戦略では、控えめながら落ち着いた市場見通しを背景に、高クオリティ資産への選好を継続する方針といたします。欧州の投資適格社債への強気な姿勢を継続するほか、米モーゲージ債の保有を増加する方針といたします。通貨戦略は、リスク配分を抑制した状況を継続します。スウェーデン等金利上昇の経済への影響が大きいと考えられる国の通貨に対して弱気な姿勢を維持します。
*1:ソフトランディングは、グローバル経済が緩やかに減速し、市場も緩やかな景気後退を織り込むシナリオを指します。このシナリオにおいて想定する主な市場の動きは、金利低下、米ドル小幅下落、スプレッド堅調となります。*2:ハードランディングは、グローバル経済が急激に悪化し、市場のリスク許容度が急低下するシナリオを指します。このシナリオにおいて想定する主な市場の動きは、金利低下、米ドル上昇、スプレッド軟調となります。
本資料は、情報提供を目的としてシュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社(以下「弊社」といいます。)が作成した資料であり、いかなる有価証券の売買の申込み、その他勧誘を意図するものではありません。弊社はお客様との投資一任契約の締結という形態にて機関投資家のお客様に運用戦略をご提供させて頂きます。本資料に示されている運用実績、データ等は過去のものであり、将来の投資成果等を示唆あるいは保証するものではありません。投資資産および投資によりもたらされる収益の価値は上方にも下方にも変動し、投資元本を毀損する場合があります。また外貨建て資産の場合は、為替レートの変動により投資価値が変動します。本資料は、作成時点において弊社が信頼できると判断した情報に基づいて作成されておりますが、弊社はその内容の正確性あるいは完全性について、これを保証するものではありません。本資料に記載された特定のファンドに関する情報は、本資料でご紹介する運用戦略等を説明するための参考情報として記載したものであり、当該ファンドの募集その他勧誘を目的としたものではありません。本資料中に記載されたシュローダーの見解は、策定時点で知りうる範囲内の妥当な前提に基づく所見や展望を示すものであり、将来の動向や予測の実現を保証するものではありません。市場環境やその他の状況等によって将来予告なく変更する場合があります。シュローダー/Schroders とは、シュローダー plcおよびシュローダー・グループに属する同社の子会社および関連会社等を意味します。本資料を弊社の許諾なく複製、転用、配布することを禁じます。
投資一任契約に基づいた運用を前提とするお客様へ 本資料に記載されている特定のファンドに関する情報は、本資料でご紹介する運用戦略等を実現する際に投資一任契約口座にて投資対象となりうる有価証券を例示することを目的としたものであって、弊社が当該ファンドの募集その他勧誘を目的としたものではありません。ご契約に際しては、必ず契約締結前書面をご熟読ください。
【費用等について】弊社が投資運用業としてお客様に資産運用サービスをご提供する際には、運用報酬の他、組み入れ資産の売買手数料、保管費用等をお客様にご負担いただきます。運用報酬及びその他の手数料、費用等は、契約の種類、契約資産残高、運用手法、及び運用状況等により異なるため、あらかじめその料率やその上限額等を表示することはできません。
【リスクについて】 受託資産の運用には、組み入れ有価証券等の価格変動リスク(ファンド等かかる有価証券等がさらに組み入れている対象物の価格変動リスクも含みます)、金利や金融市場の相場の変動リスク、十分な流動性の下で取引が行えない市場流動性リスク、及び株式やその他の有価証券の発行体の信用リスク等の影響を受けます。また、外貨建ての資産は、為替変動リスクの影響も受けます。また、デリバティブ取引を利用する場合、取引開始時に差し入れた証拠金の額を上回る損失が生じるおそれがあります。また証拠金の額や算出方法は取引の内容等により異なるため、取引の額の当該証拠金の額に対する比率は表示することができません。従って、これらの影響により組入れ資産の価格が変動して損失を生じ、投資元本を毀損する可能性があります。受託資産の運用によって生じた損益はすべてお客様に帰属します。
Topics